夢のお月様

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夢のお月様」(ゆめのおつきさま、Tonight (Could Be the Night))は、ザ・ヴェルヴェッツ (The Velvets) という5人組のグループが歌った、1961年ロックンロールの楽曲。このグループは、テキサス州ラボックのラジオ局KDAVの元ディスクジョッキーヴァージル・ジョンソン (Virgil Johnson) がリード・テナーで、これをバックでマーク・プリンス(Mark Prince:バス)、クラレンス・リグズビー(Clarence Rigsby:テナー)、ロバート・サーズビー (Robert Thursby:ファースト・テナー)、ウィリアム・ソロモン(William Solomon:バリトン)が支えるという編成であった。バックの4人は、もともとジョンソンがテキサス州西部のオデッサで、1959/1960年の学年度に英語を教えた第8学年(中学2年に相当)の生徒たちであった。クラレンス・リグズビーは、1978年に自動車の事故で死去した[1]

この曲は、恋に落ちることや、求婚の告白、誓いの指輪などを待ち望んでいる、若い女性のことを歌っている。ザ・ヴェルヴェッツはドゥーワップ (doo-wop) という歌声を入れているが、これは1955年ザ・ターバンズ (The Turbans) の「When You Dance」という曲で、最初に用いられた技法だった。

「夢のお月様」の歌詞はジョンソンが作詞した。『ビルボード』誌のトップ100チャートでは、最高26位まで上昇した。ザ・ヴェルヴェッツは、その後も1966年まで曲を生み出し続けた。1977年には、ニューヨークリズム・アンド・ブルースのボーカル・グループであるジ・アールズ (The Earls) が、この曲のディスコ・バージョンをリリースした。ジョンソンは、その後も、ノスタルジー的なコンサートなどに時おり出演し続けている[1]

日本への紹介[編集]

英語の原題は「今夜(が後の夜かもしれない)」といった意味であり、初期には「今宵こそは」という曲名で紹介されたという。

夢のお月様」は、漣健児がつけた邦題であり、ザ・ヴェルヴェッツの日本盤もこのタイトルで発売された。漣は日本語の訳詞も手がけ、この日本語詞による歌唱は紀本ヨシオによるものがある[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b Virgil Johnson (The Velvets)
  2. ^ CD『懐かしきロカビリアンたち』キングレコード、2004年 所収