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国士無双 (麻雀)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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国士無双(こくしむそう)とは、麻雀におけるのひとつ。役満。13種すべてのヤオ九牌、すなわち字牌7種と一九牌6種を1枚ずつ揃え、そのうちのどれか1種を2枚(雀頭)とした和了形。七対子同様、面子の概念を持たない役なので必然的に門前役になる。

概要

七対子と共に4面子1雀頭形に当てはまらない特殊な和了形であり、待ちの形も通常の待ち(両面・辺張・嵌張・シャンポン・単騎)のいずれにも当てはまらない特殊形である。また、面子の概念を持たない為に他の役(ただし天和等を除く)と一切関わり持たない役である。

(例)一萬九萬一索九索一筒九筒東南西白白發中の聴牌形で、北で和了。

役満の中では四暗刻大三元と並び成立させやすい役であるため、多くのプレイヤーが和了または目撃した経験を持つ。配牌にどれくらいのヤオ九牌が含まれているかが成否の最大の要因であり、多ければ多いほどアガリに近い。そのため、九種九牌で流局にできる状況でも敢えて流局にせず国士に向かうといったケースも少なくない。ただし、局の最初から中張牌をバラ切りすることになるため、国士狙いであることは他家に気付かれやすく、中盤過ぎにもなれば少なからず警戒されることになる。

必要となるヤオ九牌を1種類につき1枚でも引ければ良く、和了の成否はツモと展開に掛かっている。しかし、いずれかのヤオ九牌が途中で場に出切ってしまった時や、槓をされた時など、あるいは終盤までテンパイに持ち込めなかった場合等、失敗した時に通常のメンツ手に移行するのがほとんど無理というリスクがある。ただし、他家がリーチをかけてきたような場合、国士を諦めればベタオリをしやすいという点はメリットであると言える。

テンパイ形は2種類に大別できる。上の例のように既に雀頭ができている場合は、足りない1種のみを待つ形になる。これとは別に、13枚のヤオ九牌が全種類手牌に揃っている場合は、雀頭を待つ13面待ちとなる(後述)。大抵の場合1種待ちのテンパイとなるが、通常の単騎待ちが最大1種3枚待ちであるのに対し、国士無双は最大1種4枚待ちである。なお、この待ちに正式な名称はなく、「国士無双○○待ち」「国士○○待ち」と呼ばれる(○○には「發」・「一索」などの足りない牌の名称が入る)。また、この役は日本麻雀において字牌のラス牌(既に場に3枚出て1枚しか残っていない牌)で和了できる唯一の役であり、絶対安全と思われる4枚目の牌での和了に驚かれることもある。

暗槓の槍槓

通常のメンツ手の場合、暗槓に対しロンを宣言することはできない。しかし国士に限り例外的に、暗槓でも槍槓のロン和了を認めるルールになっている場合がある。それほど頻発する事例ではないが、事前に確認しておくのが望ましい。

国士無双十三面待ち

ごくごく稀に、テンパイまでヤオ九牌の対子が一つもできず、13面待ちのテンパイになることがある。すべて1枚ずつ揃った状態でのテンパイ形は、13種どれでもあがれる多面張となる。通称「国士十三面待ち」。

一萬九萬一索九索一筒九筒東南西北白發中 の聴牌形で、どのヤオ九牌でも和了が可能。

九蓮宝燈の9面張と同様、国士十三面待ちをダブル役満とするルールもある。また、あまり一般的ではないが13面待ちの形を十三龍門(シーサンロンメン)と呼んでいる場合もある。龍門とは登龍門の龍門と同じ意味。かつてはこの13面待ちのみが役満扱いとされていた。

国士十三面待ちをダブル役満とする場合、通常の国士1面待ちテンパイからのツモあがりを一旦蹴り、フリテン13面待ちに受けかえる手もある。次のツモ牌がヤオ九牌である確率は概算で34分の13であり、残り巡目が多ければ多いほど期待値は高くなる。もちろんヤオ九牌をツモれないまま他家があがったり、流局したりするリスクはある。なお、フリテンのない純粋な13面待ちのみをダブル役満とするルールになっていることもあり、その場合は最初のツモ和了を蹴ってフリテンに受けても全く意味が無い。また、国士のロン和了に関する例外として、フリテンの13面待ちの時に現物以外の牌ならばロン和了を認めているルールもごく一部に存在する。しかし、フリテンの制約と国士の例外のどちらが優先されるかを考慮した場合、やはりフリテンの制約のほうが上回るため、現在はこの取り決めは廃れている。

名称の由来その他

もともとの名称は十三(十三幺九、シーサンヤオチュー)で、国士無双は雅名である。「国士」はその国の中で最も優れている人物、「無双」は並ぶ者のない意味を指す。語の出典は史記、淮陰侯列伝。語源は、前漢の高祖劉邦に仕えた韓信の才能を、「国に二人といない、得難い人材」と讃えた言葉であるといわれる。なお、本家中国麻雀では「十三」という名称になっており、元々の名称を引き継いでいる。また、英語圏でも「Thirteen Orphans(13人の孤児)」という名称になっており、「十三」の部分が訳出に関わっている。

ヤオの漢字について

「十三ヤオ九」の「ヤオ」は幺の異体字で、「」(公の2画目を取った字。数値文字参照 么)である。この文字はJIS X 0208に含まれてないが、JIS X 0213には含まれており、2-1-10の符号位置を与えられている。すべての日本語環境で表示できるわけではないので、記事名ではカタカナを用いている。

関連項目