ヴァヴェルの竜

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ゼバスチアン・ミュンスター英語版による『コスモグラフィア・ウニベルサリス/一般宇宙誌 (Cosmographie Universalis ) 』(1544年)の中に描かれたヴァヴェルの竜

ヴァヴェルの竜(ヴァヴェルのりゅう。英語: Wawel Dragonポーランド語: Smok Wawelski)は、ヴァヴェルの丘の竜としても知られ、ポーランドの伝承英語版では有名なの1種である。竜の住み処は、ヴィスワ川の岸の上の、ヴァヴェルの丘英語版の梺の洞窟であった。ヴァヴェルの丘は、当時ポーランドの首都であった、南部の都市クラクフにある。一部の物語では、都市が造られる前、まだ農民が住む地域だった頃に竜が棲んでいたとされている。

ヴァヴェル大聖堂とクラクフのヴァヴェル城英語版は、ヴァヴェルの丘の上に建っている。大聖堂は、ヴァヴェルの竜の像英語版、およびクラクス英語版による竜の敗北を祝う記念銘板を特色としている。記念銘板によれば、クラクスはポーランド人の王子で、殺された竜の住み処の上に都市と彼の宮殿を建設したという。城の下にある「竜の洞窟」は、現在は観光客が休憩する場としても人気がある[1][2]

伝説[編集]

ヴァヴェルの竜の像
ヴァヴェルの竜の像(火を噴いているとき)

伝説についての最も古い有名な報告は、Wincenty Kadłubekによる著書にある、12世紀のものである[3]

広く知られたヴァリアントでは、都市の伝説的な建設者であるクラクス王の統治の世に、クラクフで起こった出来事とされている。凶悪な竜が毎日のように田園地帯の全域を破壊し、踏み固めて回る。さらに、人々を殺害し、人々の家で略奪をし、人々の家畜を貪り食った。物語の多くのヴァリアントで、竜は特に若い女性を食べることに興じており、都市の人々が月に1度、竜の洞窟の前に少女を置き去ることでわずかの間竜を鎮めることができた。国王はもちろん竜を打ち倒したかったが、王の最も勇敢な騎士達も竜の燃えさかる息の前に倒れた。少女の犠牲を必要とするヴァリアントでは、ついに、国王の娘Wanda以外の、都市のあらゆる少女が犠牲になってしまった。自暴自棄となった王は、竜を倒せた者には誰でも王の美しい娘と結婚することを許すと約束した。近くからも遠くからも強力な戦士達が来て、褒美のために戦い、そして失敗した。ある日、スクプという名の貧しい靴職人の見習い (en) が挑戦に応じた。彼は子硫黄を詰め込むと、竜の洞窟の上にそれを置いた。竜は子羊を食べ、間もなく途方もない喉の渇きに襲われた。竜は喉を潤そうとヴィスワ川に向きを変え、水を飲みに飲んだ。しかし竜の痛む胃は多量の水でも和らぐはずはなかった。ついにヴィスワ川の水の半分を飲み、膨れ上がった挙げ句、竜は破裂した。スクプは約束通り王の娘と結婚し、2人はその後ずっと幸せに暮らしたという[4][5]

詩人シェミェンスキによる竜の伝説[編集]

ポーランドの詩人ルツィヤン・シェミェンスキポーランド語版(1809年 - 1877年)は、ポーランドや近隣国の伝説を収録した『ポーランド、ロシア、リトワニアの伝承と伝説 (: Podania i legendy polskie, ruskie i litewskie[6])』を出版しており[7]、この竜の話も「 (: Smok[8])」の題名で収められている。

シェミェンスキの記したところでは、かつて人々は、人間がこの竜に食べられないようにと竜に毎日のように家畜3頭を与えていた。あるとき、靴職人スクプからの助言を受けて、クラク(クラクス)は子牛の皮に硫黄を詰めさせると竜の住む洞窟の前に置かせた。目論見通りに、竜は硫黄ごと子牛を飲み込み、続いて水を多量に飲んで死んだ。クラクはスクプにたくさんの褒美を与えたという[9]

現代の竜[編集]

竜がいたとされる洞窟は、ヴァヴェル城の敷地で一番ヴィスワ川に近い所に位置している[5]。現在、「竜の洞窟」は観光地になっており、火を噴く仕掛けが施された竜の像英語版が有名である[4]。竜の像は城の麓にある[5]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ The Dragon of Wawel Hill - Smok Wawelski. Icbleu.org. Retrieved July 27, 2012. (英語)
  2. ^ The Dragon of Wawel. Michael Resch at NSW AMES. Retrieved July 27, 2012. (英語)
  3. ^ Mistrz Wincenty tzw. Kadłubek, "Kronika Polska", Ossolineum, Wrocław, 2008, isbn = 83-04-04613-X
  4. ^ a b 田村和子「訳者あとがき」『竜の年』pp. 136-137.
  5. ^ a b c 地球の歩き方 中欧』p. 215.
  6. ^ 「出典」『ポーランドの民話』p. 352.
  7. ^ 解説」『ポーランドの民話』p. 345.
  8. ^ 「各話原題」『ポーランドの民話』p. 353.
  9. ^ 」『ポーランドの民話』p. 290.

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]