ランウェイで笑って
ランウェイで笑って | |||
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ジャンル | 少年漫画、ファッション | ||
漫画 | |||
作者 | 猪ノ谷言葉 | ||
出版社 | 講談社 | ||
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掲載誌 | 週刊少年マガジン | ||
レーベル | 講談社コミックス | ||
発表号 | 2017年26号 - | ||
発表期間 | 2017年5月31日[1] - | ||
巻数 | 既刊11巻(2019年7月17日現在) | ||
テンプレート - ノート | |||
プロジェクト | 漫画 | ||
ポータル | 漫画 |
『ランウェイで笑って』(ランウェイでわらって)は、猪ノ谷言葉による日本の少年漫画。ファッションを題材としており、ファッションデザイナーを志望する少年と、低身長ながらもトップモデルを目指す少女の姿を描く[2]。
本作は作者の連載デビュー作であり[3]、『週刊少年マガジン』(講談社)において、2017年から連載されている。
あらすじ
モデル事務所「ミルネージュ」の社長令嬢・藤戸千雪は、ミルネージュのファッションモデルとしてパリ・コレクションに出演することを目指しているが、低身長のため事務所のオーディションを突破できずにいた。そんなある日、千雪は、高校のクラスメイト・都村育人がファッションデザイナー志望だと知り、自分が着たときに魅力的に見える服を作るよう、彼に依頼する。そして、育人が作った服を着てオーディションに臨み、合格を勝ち取る。また育人も千雪の父から才能を評価され、柳田一というデザイナーの下で働くことになる。
育人が柳田の下で働き始めた翌日、東京コレクションが開催される。柳田が主宰するファッションブランドもこのコレクションに参加するが、モデルに欠員が出るというトラブルに見舞われる。これを受けて千雪が代役を務めることになり、育人は柳田から服の直しを任される。育人はこれに応え、柳田も成功を収める。
東京コレクション終了後、服飾芸華大学という服飾学校の学生が2人、柳田のブランドに加わる。1人はデザイナー志望のモデル・長谷川心、もう1人は大学随一の実力者・綾野遠だった。2人が通う大学では毎年秋にファッションショーが開催されており、育人も外部生としてショーに参加することを決意する。ショー当日、育人は遠に勝つことを目指すが及ばず、敗れる。その遠もグランプリを辞退したため、ショーのグランプリは、繰り上がりで心が手にすることとなった。
服飾芸華大学のファッションショー終了後、柳田は自身のブランドを畳み、国内最高峰のファッションブランド・「Aphro I dite」のデザイナーに転身する。育人は勤め先を失うが、その後、インターンシップを経てAphro I diteの社員として登用される。
登場人物
- 都村 育人(つむら いくと)
- 本作の主人公。ファッションデザイナー志望の少年。初登場時点では高校3年生で、高校卒業後はAphro I diteの社員として働いている。母子家庭の長男で[4]、ほのか・葵・いち花という3人の妹がいる。
- 服を見ただけで、その服のパターンをほぼ正確にイメージできる力を持つ[5]。一方で生家は貧しく[6]、作中ではしばしば金銭面で苦境に立たされている。
- 藤戸 千雪(ふじと ちゆき)
- 本作のヒロイン[7]。ミルネージュの社長令嬢で、育人の高校のクラスメイト[6]。「ミルネージュのファッションモデルとしてパリ・コレクションに出演する」という夢を抱いている。
- ルックスとスタイルは良いが、身長は158センチメートルとファッションモデルとしては小柄である[8]。負けん気が強く、意地っ張りな性格の持ち主[4]。
- 柳田 一(やなぎだ はじめ)
- ファッションブランド「HAZIME YANAGIDA」を主宰するデザイナー。
- デザインの腕は確かだが、服を縫うことはできない[7]。もとはミルネージュのデザイナーであり、ミルネージュから独立した後は自分のブランドで活動していたが、活動を通じて自身の知名度を上げる必要を感じ、Aphro I diteのデザイナーに転身する。
- 長谷川 心(はせがわ こころ)
- 服飾芸華大学の女子大生。東京コレクション終了後にHAZIME YANAGIDAに加わったスタッフの1人で、自分より年下である育人のことを「先輩」と呼び、慕っている。
- 身長が181センチメートルあり、大学に入学する前からモデルとして活動していた。しかし本人はファッションデザイナーを志望しており、1年生の秋に参加した大学のファッションショーでグランプリを獲得したのを機にモデルを辞め、パリに留学する。
- 綾野 遠(あやの とお)
- 服飾芸華大学の歴史上、随一の腕を持つデザイナー。Aphro I diteの代表取締役の孫で、自身もAphro I diteで働いていたが、育人がAphro I diteの社員となった後、独立する。
- 東京コレクション終了後に育人と知り合い、彼に興味を抱いて一時的にHAZIME YANAGIDAに加わる。育人のことはパタンナーとして高く評価しているが、その反面、「デザイナーとしての育人」に対する評価は低い。
登場用語
作風
本作はファッションを題材としており、少年漫画としては「異色の漫画」と評されている[7]。しかし、ストーリー展開は少年漫画の王道を行くものであり[7]、「友情」や「努力」といった要素を盛り込みながらデザイナーとモデルの成長過程が描かれている[3]。
作者はファッションを題材に選んだ理由について問われた際、「スポーツ漫画の友情や熱い感じが好き」だと前置きした上で、スポーツと違って男女が同じ舞台で切磋琢磨できるという理由からファッションを選んだ、と答えている[3]。一方で、ファッション業界には、ファッションに疎い読者でも目標としてイメージできる「全国大会」のようなイベントがないため、本作では序盤で育人や千雪の将来像を示し、物語のゴールをイメージさせやすくするという工夫がなされている[3]。この他にも、本作ではファッションに興味がない人を取り込むために「ヒューマンドラマを軸にする」方針が採られており[3]、登場人物が抱える悩みは読者にも理解できる内容にするよう注意が払われている[7]。
他方で、ファッションやファッション業界に関する作中描写はリアリティーを追求したものになっている[10]。専門家による監修も行われており、コミックス第7巻からはHASEGAWA KAZUYAと東京服飾専門学校が正式に協力している[11]。
評価
ライターの花森リドは、ショーに出演するモデルはランウェイで笑わないと前置きした上で、「ランウェイで笑って」という本作のタイトルは「ありえない」ことを意味している、と述べている[12]。作中では「ありえない」ことに挑む育人や千雪に対して困難が襲いかかるが[12]、マンガ情報メディア「マンガ新聞」の編集長・駒村悠貴は、2人が困難に打ち克って成長を遂げていくさまが本作の見どころだと評している[6]。また、ダ・ヴィンチニュースに掲載されたレビューでは、「意志あるところに道は開ける」という言葉を地で行く本作のストーリーに「胸を打たれ、時に爽快感すら感じ」る、と記されている[13]。
作中で描かれるファッション業界の描写についても評価が寄せられており、ファッションジャーナリストの増田海治郎は、本作について「ファッション業界をリアルに描いていて、読み応えがある」と語っている[10]。
賞歴・ノミネート歴
発表年 | 賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
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2018 | マンガ大賞2018 | ランウェイで笑って | 6位[14] | |
次にくるマンガ大賞 2018 | コミックス部門 | 12位[15] | ||
2019 | 第64回小学館漫画賞 | 少年向け部門 | ノミネート[16] |
書誌情報
- 猪ノ谷言葉 『ランウェイで笑って』 講談社〈講談社コミックス〉、既刊11巻(2019年7月17日現在)
- 2017年9月15日第1刷発行(同日発売[講 1])、ISBN 978-4-06-510130-8
- 2017年11月17日第1刷発行(同日発売[講 2])、ISBN 978-4-06-510370-8
- 2018年1月17日第1刷発行(同日発売[講 3])、ISBN 978-4-06-510758-4
- 2018年3月16日第1刷発行(同日発売[講 4])、ISBN 978-4-06-511073-7
- 2018年5月17日第1刷発行(同日発売[講 5])、ISBN 978-4-06-511413-1
- 2018年8月17日第1刷発行(同日発売[講 6])、ISBN 978-4-06-511796-5
- 2018年10月17日第1刷発行(同日発売[講 7])、ISBN 978-4-06-512997-5
- 2018年12月17日第1刷発行(同日発売[講 8])、ISBN 978-4-06-513490-0
- 2019年2月15日第1刷発行(同日発売[講 9])、ISBN 978-4-06-514129-8
- 2019年4月17日第1刷発行(同日発売[講 10])、ISBN 978-4-06-514887-7
- 2019年7月17日第1刷発行(同日発売[講 11])、ISBN 978-4-06-515313-0
出典
- ^ “身長158cmのヒロインがパリコレデビューを目指す成長物語がマガジンで”. コミックナタリー. ナターシャ (2017年5月31日). 2018年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月23日閲覧。
- ^ “《視点》明るい業界に”. 繊研電子版. 繊研新聞社 (2017年7月26日). 2018年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月23日閲覧。
- ^ a b c d e “「ランウェイで笑って」作者が語る服の世界の魅力とは”. 繊研電子版. 繊研新聞社 (2017年12月11日). 2018年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ a b “目指せスーパーモデル、158センチだけど 『ランウェイで笑って』跳ねっ返り娘・藤戸千雪の戦い”. ねとらぼ (2017年10月9日). 2018年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月23日閲覧。
- ^ 猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って 3』講談社、2018年、182頁。ISBN 978-4-06-510758-4。
- ^ a b c d “漫画『ランウェイで笑って』デザイナーとモデル、それぞれの夢を追う姿に号泣! 最新刊6巻まで読んだ感想”. マンガ新聞 (2018年8月14日). 2018年8月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ a b c d e 徳重辰典 (2017年12月16日). “「鳥肌モノ」「久々に痺れる」 少年誌で異例のファッション漫画、なぜ生まれた?”. BuzzFeed. BuzzFeed Japan. 2018年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ 宮﨑雄 (2017年11月18日). “他人の夢に「無理」って言うとき、自分の夢も否定してない? 『ランウェイで笑って』”. マンガ新聞. 2018年1月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月23日閲覧。
- ^ 猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って 1』講談社、2017年、13頁。ISBN 978-4-06-510130-8。
- ^ a b 山村翠 (2018年3月22日). “ファッション界 リアルな情熱”. 読売新聞東京夕刊 (読売新聞東京本社): p. 7
- ^ 猪ノ谷言葉『ランウェイで笑って 7』講談社、2018年、189頁。ISBN 978-4-06-512997-5。
- ^ a b 花森リド (2018年6月9日). “美醜に残酷な業界に挑む! モデル少女とデザイナー少年の必殺バトル『ランウェイで笑って』”. 講談社コミックプラス. 講談社. 2018年6月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ “モデルとして致命的な低身長、周囲からの容赦ない言葉…。でも彼女は屈しない! 「マンガ大賞2018」ノミネート作品『ランウェイで笑って』”. ダ・ヴィンチニュース (2018年1月27日). 2018年10月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ “マンガ大賞2018:大賞受賞作・板垣巴留の「BEASTARS」は78ポイント 順位とポイント発表”. MANTANWEB. MANTAN (2018年3月22日). 2018年5月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年5月26日閲覧。
- ^ “次にくるマンガ大賞「錦田警部はどろぼうがお好き」3位で青山剛昌がエール、新装版も発売決定”. コミックナタリー. ナターシャ (2018年8月23日). 2018年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月21日閲覧。
- ^ 「第64回 平成30年度 小学館漫画賞」『週刊少年サンデー』第61巻第14号、小学館、2019年2月27日、312頁。
講談社コミックプラス
以下の出典は『講談社コミックプラス』(講談社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。
- ^ “ランウェイで笑って (1)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (2)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (3)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (4)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (5)”. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (6)”. 2018年8月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (7)”. 2018年10月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (8)”. 2018年12月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (9)”. 2019年2月15日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (10)”. 2019年4月17日閲覧。
- ^ “ランウェイで笑って (11)”. 2019年7月17日閲覧。
外部リンク
- ランウェイで笑って - マガジンポケット
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