モミジバスズカケノキ
モミジバスズカケノキ | |||||||||||||||||||||
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![]() Platanus × hispanica
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Platanus x acerifolia (Aiton) Willd.[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
モミジバスズカケノキ(紅葉葉鈴懸の木)、カエデバスズカケノキ、プラタナス | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
London planetree、London Plane |
モミジバスズカケノキ(紅葉葉鈴懸の木、紅葉葉篠懸の木[3]、学名: Platanus x acerifolia)は、スズカケノキ科スズカケノキ属の落葉高木。別名はカエデバスズカケノキ[1]、プラタナス。
名称[編集]
和名モミジバスズカケノキ(カエデバスズカケノキ)は、葉の形に由来し[4]、「スズカケノキ」は植物学者の松村任三による命名で、「日本の植物学の父」といわる牧野富太郎によると、山伏の法衣の名で篠懸(すずかけ)というのがあるのを、誤ってそこにつけてある球状の飾りの呼び名としてつけてしまったものであるという[5]。牧野は、あえて書くならば「鈴懸」とでもしないと意味が通じないと指摘をしている[5]。
分布・生育地[編集]
イギリスで作られたスズカケノキとアメリカスズカケノキの交配種で、日本には明治時代に渡来した[3]。スズカケノキとアメリカスズカケノキと共に「プラタナス」とよばれ、街路樹でよく植えられている[3]。ロンドンでは、はじめアメリカスズカケノキが初期に植えられたが、成績が悪く、次第にモミジバスズカケノキに置き換えられていった[6]。
特徴[編集]
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北アメリカ原産のアメリカスズカケノキとアジア西部からヨーロッパ東南部原産のスズカケノキの交配種とされる[7][8]。両種の中間的な形態を持っており、日本では一般にプラタナスと呼ばれている樹種である[7]。
落葉広葉樹の高木で、生長が早く、樹高は10 - 30メートル (m) になり[8]、大きなものでは高さ35 mになる[3]。樹皮は、若木から次第に鱗片状に大きく剥がれやすく、灰色と褐色、淡緑色のまだら模様が出来る[7][3]。老木では、株の根元に剥がれ落ちた樹皮がたくさん落ちている[3]。枝が太くて毛がない[3]。葉は大きく、長い柄がついて互生し、葉身は掌状に裂ける[9]。果実は、小さな痩果が多数集まった球状果で、枝から1 - 3個垂れ下がって、秋に熟す[9][3]。冬芽は無毛で、長さ10ミリメートル (mm) 内外の卵形、1枚の芽鱗に覆われる[3]。葉柄内芽で、冬芽は丸い葉痕に囲まれている[3]。冬芽を取り囲む葉痕は、維管束痕が5 - 7個あり目立つ[3]。葉痕の上端から小枝を1周するように、線状の托葉痕がつく[3]。
茶褐色の樹皮。次第に鱗片状に大きく剥がれ落ちる。
スズカケノキ、アメリカスズカケノキとの区別[編集]
葉の切れ込みは、スズカケノキ>モミジバスズカケノキ>アメリカスズカケノキの順に深い[10]。
果実はふつう、スズカケノキは3 - 6個、モミジバスズカケノキは1 - 3個、アメリカスズカケノキは1個ぶら下げる[10]。
利用[編集]
モミジバスズカケノキは、葉の形が優美で、樹皮の斑模様が好まれて人気があり、剪定にも強いという特徴があり[6]、街路樹や公園樹として植えられ、日本ではプラタナスとして最も多く植えられている[7]。材は椅子などの器具材として使われる[7]。
街路樹としては、東京でも1970年代ごろは1番多かった樹種であったが、生長が早く剪定などの管理費がかさむことや、根が歩道の縁石を押し上げたり、電線があって自由に枝を伸ばせないなどの弊害があり、その数を減らしてきている[9]。
ロンドンでは、モミジバスズカケノキの並木は、歩道や柵がモミジバスズカケノキを避けるように作られ、自由にのびのびと育てられている[9]。大気汚染に耐性があり、1952年のロンドン・スモッグ事件では、大気汚染の中でも枯れずに生き残っている[9]。日本では1892年(明治25年)に新宿御苑に植栽されて、現在も皇室専用の門から新宿御苑の奥に向かって並木として植えられている[6]。
脚注[編集]
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Platanus x acerifolia (Aiton) Willd.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月15日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Platanus x hispanica Muenchh.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 222.
- ^ 辻井達一 1995, p. 179.
- ^ a b 辻井達一 1995, p. 181.
- ^ a b c 辻井達一 1995, p. 182.
- ^ a b c d e 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 70.
- ^ a b 田中潔 2011, p. 118.
- ^ a b c d e 田中潔 2011, p. 119.
- ^ a b 林将之 2010, p. 197.
参考文献[編集]
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、222頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 田中潔 『知っておきたい100の木:日本の暮らしを支える樹木たち』主婦の友社〈主婦の友ベストBOOKS〉、2011年7月31日、118 - 119頁。ISBN 978-4-07-278497-6。
- 辻井達一 『日本の樹木』中央公論社〈中公新書〉、1995年4月25日、179 - 182頁。ISBN 4-12-101238-0。
- 林将之 『葉で見わける樹木 増補改訂版』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、2010年、196-197頁。ISBN 978-4-09-208023-2。
- 平野隆久監修 永岡書店編 『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、70頁。ISBN 4-522-21557-6。
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- 茂木透写真 『樹に咲く花 離弁花2』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、8-9頁。ISBN 4-635-07004-2。
- 多田多恵子 『身近な草木の実とタネハンドブック』文一総合出版、2010年、10-11頁。ISBN 978-4-8299-1075-7。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- "Platanus X acerifolia (Aiton) Willd" (英語). Integrated Taxonomic Information System. 2011年11月28日閲覧。 (英語)
- "Platanus x acerifolia". National Center for Biotechnology Information (NCBI) (英語). (英語)
- "Platanus acerifolia" - Encyclopedia of Life (英語)