ムシモール

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ムシモール
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C4H6N2O2
識別情報
CAS登録番号 18174-72-6
特性
モル質量 114.10 g/mol
融点

184-185°C

への溶解度 易溶
エタノールへの溶解度 難溶
メタノールへの溶解度 易溶
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ムシモール [1](muscimol)は、イボテン酸脱炭酸した化学物質である。抑制系の神経伝達物質のひとつであるγアミノ酪酸(GABA)の作動薬として作用するため、ヒトにおいては摂取によって神経伝達物質の放出頻度が落ち[2]、つまり脳の働きが不活発になる。ベニテングタケなどテングタケ属キノコに含まれる成分であるが、同時に人間味覚においては強いうま味成分でもある。

ベニテングタケAmanita muscaria

ムシモールは、イボテン酸ムスカゾンムスカリンという3つのアルカロイドとともにキノコの体内で産生される。摂取によるヒトの死亡は稀であるが、幼児や高齢者、慢性疾患の患者では死亡する可能性が大きくなる。7-20 mg 程度の摂取量でその向精神作用を認識できる[3]が、イボテン酸の5-10倍の摂取量を要する[3]。多く摂取すると身体には痙縮、嘔吐、平衡感覚の喪失、めまい、手足の感覚の麻痺を起こし、精神には2時間ほど幻覚を伴う混迷、眠気などを起こした後、高揚させ感覚と知覚を鋭敏にし、身体イメージを変化させる[3]。高用量では譫妄、昏睡、記憶喪失[3]が生じ得る。

ムシモールを誘導するイボテン酸が日本で発見されたこともあって、ムシモールも日本でよく研究され、イボテン酸同様にハエの発育を阻害する作用がある事が発見されたが、その作用はイボテン酸の方が強い[4]

出典[編集]

  1. ^ KEGG COMPOUND: C08311”. www.genome.jp. 2021年11月8日閲覧。
  2. ^ 草野源次郎「キノコの毒成分」『遺伝』第39巻第9号、1985年9月、 p32-36、 NAID 40000130647
  3. ^ a b c d レスター・グリンスプーン、ジェームズ・B. バカラー 『サイケデリック・ドラッグ-向精神物質の科学と文化』 杵渕幸子訳、妙木浩之訳、工作舎、2000年。ISBN 978-4875023210。58頁。Psychedelic Drugs Reconsidered, 1979
  4. ^ ニコラス・P.マネー 著、小川真 訳 『キノコと人間 医薬・幻覚・毒キノコ』築地書館、2016年、172頁。ISBN 978-4-8067-1522-1  Mushroom, 2011.

関連項目[編集]