テングタケ
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テングタケ Amanita pantherina | |||||||||||||||||||||
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![]() 神奈川県横浜市青葉区・2014年10月
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Amanita pantherina | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
テングタケ |
テングタケ(天狗茸、Amanita pantherina (DC. : Fr.) Krombh.)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のキノコである。毒キノコ。
解説[編集]
テングタケの別名にヒョウタケ(豹茸)、ハエトリタケ(蠅取茸)がある。灰褐色の傘には、広がった際につぼがちぎれてできた白色のイボがある。柄は白色でつばが付いている。針葉樹林のアカマツ林、トウヒ林、広葉樹林のコナラ林、クヌギ林などで夏から秋にふつうに見られる。
本種は有毒で、食べると下痢や嘔吐、幻覚などの症状を引き起こし、最悪の場合、意識不明に至ることもある。毒の成分はイボテン酸で、うまみ成分でもある。また、この成分は殺蝿作用もあり、同じ成分を含むベニテングタケよりも強い毒をもつ。殺蝿作用からハエトリタケの別名が付いた。ヒョウタケは種名pantherina「ヒョウの」に由来するが、「瓢茸」と思っていた人が多く、川村清一は信州で行った講演会で質疑応答の際、「教科書のひょうたけとはどんな毒茸か。ヒョウタンのような形なのか」と問われた思い出を『原色日本菌類図鑑』に記している。日本で最も知名度の高い毒キノコであるが、誤食による中毒は発生している[1][2]。
なおテングタケに酷似し、よりはっきりしたイボ状の膜の破片を持つキノコがあり、イボテングタケという名はあったが同一種とされていた。イボテン酸はこの時代に名づけられた。近年、イボテングタケは独立した別種(A. ibotengutake)となった。
ベニテングタケと同様の成分を含むが、テングタケのほうが含有量が多く、さらにこの成分は乾燥するとムッシモールと呼ばれる物質に変化し毒性が強化されるためこうなったものを口にした場合、重篤な症状が現れる可能性があるので要注意である。
中毒[編集]
- 中毒症状 食べてから15分から90分以内に発現し、2-3時間でピーク。
- 毒成分 イボテン酸(ibotenic acid )、ムッシモール(muscimol)、ムスカリン( musucarine )
- 治療 対症療法で、胃洗浄、活性炭と下剤の投与。このキノコに限らず、一緒に食べた人がいたら無症状でも出来るだけ速やかに胃の内容物を吐かせる。
- 解毒剤 フィゾスチグミン。ムスカリンの拮抗剤であるアトロピンは中毒症状の程度により使用を判定する。
- 後遺症 数日間の頭痛。
脚注[編集]
- ^ キノコ中毒 保健福祉部健康安全局食品衛生課
- ^ 山浦由郎, 中村和夫, 石原祐治、「長野県で発生したきのこ中毒の記述統計」 『食品衛生学雑誌』 1997年 38巻 2号 p.110-115_1,doi:10.3358/shokueishi.38.110, 日本食品衛生学会
外部リンク[編集]
- テングタケ - 厚生労働省
- 食中毒の原因となる毒キノコ テングタケ(毒) - 東京都福祉保健局
- テングタケ - 農林水産・食品産業技術振興協会
- Amanita ibotengutake (イボテングタケ) - 遅スギル