コンテンツにスキップ

マリッツァ・コレイア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マリッツァ・コレイア
ニックネーム リッツ
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
泳法 自由形
大学 アメリカ合衆国の旗 ジョージア大学
生年月日 (1988-12-11) 1988年12月11日(35歳)
生誕地 プエルトリコの旗 サンフアン
身長 175cm
体重 61kg
獲得メダル
国際大会 1 2 3
オリンピック 0 1 0
世界選手権 1 2 0
世界短水路選手権 1 1 1
パンアメリカン大会 2 0 0
ユニバーシアード 3 0 0
合計数 7 4 1
競泳 女子
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
オリンピック
2004 アテネ 4x100mフリーリレー
世界選手権
2003 バルセロナ 4x100mフリーリレー
2001 福岡 4x100mフリーリレー
2001 福岡 4x100mメドレーリレー
世界短水路選手権
2004 インディアナポリス 4x100mフリーリレー
2006 上海 4x100mメドレーリレー
2006 上海 100m自由形
パンアメリカン競技大会
2007 リオデジャネイロ 4x100mフリーリレー
2007 リオデジャネイロ] 4x100mメドレーリレー
ユニバーシアード
2005 イズミル 50m自由形
2005 イズミル 4x100mフリーリレー
2005 イズミル 4x100mメドレーリレー
テンプレートを表示
2018年

マリッツァ・コレイア(Maritza Correia, 1988年12月11日 - )は、プエルトリコサンフアン出身の元女子競泳選手。専門は自由形。競泳においてオリンピックのメダル獲得と世界記録(及びアメリカ記録)樹立を達成した史上初のアメリカ黒人女子選手であり、オリンピックのアメリカ代表に選ばれた史上初の黒人女子選手である。結婚後はマリッツァ・マクレンドン(Maritza McClendon)として知られる。

経歴

[編集]

生い立ち

[編集]

ガイアナ人の両親であるヴィンセントとアンの下、プエルトリコサンフアンに3人兄妹の末っ子として生まれる[1][2]。水泳を始めたきっかけは7歳の時に医師から重度の脊柱側弯症と診断され、治療のために水泳体操を勧められたからだった[3]。9歳の時に家族でアメリカ合衆国タンパに移住し[1]、兄ジャスティンの背中を追ってブランドン・ブルーウェーブスイムクラブ(Brandon Blue Wave Swim Club)に入会した[4]

高校時代

[編集]

高校はタンパ・ベイ工業高校英語版に進学すると、18歳以下のカテゴリーにおいて50m自由形の全米チャンピオンに輝いたほか、100m自由形の4回を含む5つの種目で計6回フロリダ州チャンピオンに輝くなど輝かしい実績を残した[5]

大学時代

[編集]

1999年、全額の奨学金を得てジョージア大学に進学し、同大学初のアメリカ黒人競泳選手となった[6]

2000年3月、NCAA選手権(全米学生選手権)400mメドレーリレー決勝でジョージア大学の第4泳を務め、第1泳のコートニー・シーリー英語版、第2泳のクリスティ・コワル英語版、第3泳のキーガン・ウォークリー(Keegan Walkley)と共に3分57秒46の短水路世界新記録(当時)を樹立した[7]。これによりコレイアは世界記録及びアメリカ記録を保持する史上初のアメリカ黒人女子選手となった[8]

2000年、全米オリンピック選考会では代表入りの最有力候補だったにもかかわらず、100m自由形で18位、200m自由形で34位に終わった。その結果5,6ヶ月鬱状態に陥り、コレイアは本気で現役引退を考えたが、コーチやチームメイト、母親の説得や励ましによって4年後のオリンピック出場を目指すことにした[4][8][5]

2002年、NCAA選手権50y自由形で21秒69を記録し、エイミー・ヴァン・ダイケンの持つアメリカ記録21秒77を塗り替えて優勝した[9]。これによりコレイアは個人種目のアメリカ記録を保持する史上初の黒人女子選手となった[8]。コレイアは100y自由形でもジェニー・トンプソンの持つアメリカ記録47秒61を塗り替える47秒56で優勝したほか[10]、200yフリーリレーと400yフリーリレーでもアメリカ新記録樹立と優勝に貢献して4冠を達成した[11][12][13]

大学在籍中にNCAAタイトルを11回獲得、オール・アメリカ英語版に27回選出、男女通じて史上初のカンファレンス選手権自由形全種目優勝など輝かしい実績を残し、2005年に社会学学位を取得して卒業した[3]

  • NCAAタイトル[14]
    • 2000年 - 200m自由形、400mフリーリレー、400mメドレーリレー
    • 2001年 - 800yフリーリレー
    • 2002年 - 50y自由形、100y自由形、200yフリーリレー、400yフリーリレー
    • 2003年 - 50y自由形、100y自由形、200yフリーリレー
  • カンファレンス選手権(SEC選手権)の自由形全種目優勝[14]
    • 50y自由形 - 2002年、2003年
    • 100y自由形 - 2001年、2002年、2003年
    • 200y自由形 - 2000年
    • 500y自由形 - 2000年
    • 1650y自由形 - 2000年

2001年世界選手権

[編集]

福岡で開催された世界選手権に出場すると、4×100mフリーリレー決勝で第3泳を務め(スプリットタイム54秒94)、第1泳のコリーン・ラン英語版(56秒15)、第2泳のエリン・フェニックス英語版(54秒68)、第4泳のコートニー・シーリー英語版(55秒03)と共に銀メダルを獲得した[15]リンゼイ・ベンコ英語版が膝を故障したため出番が回ってきた100m自由形では準決勝に進出し、8位と0秒17差の9位で惜しくも決勝進出を逃した[16]。4×100mメドレーリレーでは予選で第4泳を務めて全体2位での決勝進出に貢献した[17]。予選だけの出場に終わったがアメリカが2位に入ったためコレイアも銀メダルを獲得した。

2003年世界選手権

[編集]

バルセロナで開催された世界選手権の4×100mフリーリレー予選に出場し、第4泳を務めて全体6位での決勝進出に貢献した[18]。予選だけの出場に終わったがアメリカが優勝したためコレイアも金メダルを獲得した。これによりコレイアは世界選手権で金メダルを獲得した史上初のアメリカ黒人女子選手となった[8]

2004年全米オリンピック選考会

[編集]

100m自由形で54秒77の4位(2位と0秒35差)[19]、50m自由形で25秒15の3位(2位と0秒04差)となり[20]、この結果アテネオリンピック4×100mフリーリレーのアメリカ代表に選出された。過去にオリンピック競泳アメリカ代表に選出された黒人選手は2000年シドニー大会アンソニー・アービン(男子選手)しかおらず、コレイアはオリンピック競泳アメリカ代表に選出された史上初の黒人女子選手となった[21][8]

2004年オリンピック

[編集]

アテネで開催されたオリンピックの4×100mフリーリレー予選に出場すると、第4泳を務めて54秒74のスプリットタイムをマークし、第1泳のアマンダ・ウィアー英語版(54秒50)、第2泳のコリーン・ラン(55秒42)、第3泳のリンゼイ・ベンコ(54秒80)と共に全体2位で決勝に進出した[22]。予選だけの出場に終わったがアメリカが2位に入ったためコレイアも銀メダルを獲得した。これによりコレイアはオリンピックの競泳メダルを獲得した史上初のアメリカ黒人女子選手となった[8]

現役引退

[編集]

2004年アテネオリンピックの前から始まっていたという肩の痛みにキャリア終盤は悩まされながらも競技を続けていたが、2007年を最後に現役を引退した[5][8][23]

水泳の普及活動

[編集]

シグマ・ガンマ・ロー英語版のメンバーであるコレイアはSwim 1922のスポークスウーマンを2013年から務めている。Swim 1922はシグマ・ガンマ・ローとアメリカ水泳連盟英語版が提携して2012年に立ち上げたプログラムで、全米各地で黒人などの有色人種に水泳のレッスンを行い溺死率を低下させることを目標としている[24][6][1]

人物・家族

[編集]

世界大会の成績

[編集]

世界水泳連盟ウェブサイト参照[26]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
1999 世界短水路選手権 香港 100m自由形 準決勝13位 55秒42
200m自由形 予選19位 2分02秒25
400m自由形 予選20位 4分19秒64
800m自由形 4位 8分43秒11
4x100mフリーリレー 予選失格 DSQ 第4泳
4x200mフリーリレー 8位 8分13秒64 第1泳
4x100mメドレーリレー 予選10位 4分12秒11 第4泳
2001 世界選手権 福岡 100m自由形 準決勝9位 55秒60
4x100mフリーリレー 銀メダル 3分40秒80 第3泳
4x200mフリーリレー 予選4位 8分05秒02 第4泳、[注釈 1]
4x100mメドレーリレー 予選2位 4分05秒07 第4泳
2003 世界選手権 バルセロナ 4x100mフリーリレー 予選6位 3分43秒14 第4泳
2004 オリンピック アテネ 4x100mフリーリレー 予選2位 3分39秒46 第4泳
世界短水路選手権 インディアナポリス 4x100mフリーリレー 予選1位 3分37秒76 第2泳
2005 ユニバーシアード イズミル 50m自由形 金メダル 25秒38 [27]
4x100mフリーリレー 金メダル 3分43秒97 第2泳、大会記録[27]
4x100mメドレーリレー 金メダル 4分07秒00 第4泳[27]
2006 世界短水路選手権 上海 50m自由形 8位 25秒23
100m自由形 銅メダル 53秒54
4x100mフリーリレー 4位 3分37秒70 第1泳
4x100mメドレーリレー 銀メダル 3分55秒65 第4泳

樹立した記録

[編集]

短水路世界記録

[編集]
種目 記録 日付 泳順 大会 場所 備考 脚注
1 4x100m
メドレーリレー
3分57秒46 2000年3月17日 1.コートニー・シーリー英語版
2.クリスティ・コワル英語版
3.キーガン・ウォークリー
4.マリッツァ・コレイア
NCAA選手権 インディアナポリス 世界記録 [7]

短水路アメリカ記録(個人種目)

[編集]
種目 記録 日付 大会 場所 備考 脚注
1 50y自由形 21秒69 2002年3月21日 NCAA選手権 オースティン 元アメリカ記録 [9][28]
2 100y自由形 47秒56 2002年3月23日 NCAA選手権 オースティン 元アメリカ記録 [10][28]
3 100y自由形 47秒29 2003年3月22日 NCAA選手権 オーバーン 元アメリカ記録 [29][28]

自己ベスト

[編集]

世界水泳連盟とSwimRankings.net参照[26][30]

種目 記録 日付 大会 場所 備考
長水路
50m自由形 25秒15 2004年7月7日 全米オリンピック選考会 ロングビーチ
100m自由形 54秒77 2004年7月7日 全米オリンピック選考会 ロングビーチ
200m自由形 2分02秒08 2002年8月12日 全米選手権 フォートローダーデール
短水路
50m自由形 24秒49 2006年4月8日 世界短水路選手権 上海
100m自由形 53秒54 2006年4月7日 世界短水路選手権 上海
200m自由形 1分57秒33 2000年3月16日 NCAA選手権 インディアナポリス

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 決勝のアメリカは失格

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e Maritza Correia McClendon” (英語). uniquecoloring.com. Unique Coloring. 2024年8月29日閲覧。
  2. ^ Vance Brinkley (2016年8月12日). “A league of her own” (英語). andscape.com. Andscape. 2024年8月29日閲覧。
  3. ^ a b Michael Doti (2022年4月7日). “McClendon’s swimming impact still felt nationally and at Georgia” (英語). redandblack.com. The Red & Black. 2024年8月29日閲覧。
  4. ^ a b c d e Pamela Snow (2012年4月18日). “Maritza Correia – Olympic Athlete” (英語). guyanagraphic.com. Guyana Graphic. 2024年8月29日閲覧。
  5. ^ a b c d Olympic medalist knows about physical challenges” (英語). tampabay.com. タンパベイ・タイムズ (2008年4月25日). 2012年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月29日閲覧。
  6. ^ a b A Career Of Firsts” (英語). georgiadogs.com. Georgia Bulldogs (2019年2月7日). 2024年8月29日閲覧。
  7. ^ a b Georgia Sets World Record In 400 M. Medley Relay” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World (2000年3月15日). 2024年8月29日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g Tom Slear (2020年2月12日). “Maritza McClendon: The Trailblazer Who Nearly Wasn't” (英語). usaswimming.org. USA Swimming. 2024年8月29日閲覧。
  9. ^ a b Phillip Whitten (2002年3月21日). “Women’s NCAA Div. I Champs, Day One: Maggie, Maritza Set Stunning Records” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年8月29日閲覧。
  10. ^ a b Auburn Dethrones Georgia for NCAA Women’s Crown; Coughlin, Correia, Kirk, Ripple Set Records” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World (2002年3月23日). 2024年8月29日閲覧。
  11. ^ Auburn Dethrones Georgia for NCAA Women’s Crown; Coughlin, Correia, Kirk, Ripple Set Records” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World (2002年3月23日). 2024年8月29日閲覧。
  12. ^ Phillip Whitten (2002年3月21日). “Women’s NCAA Div. I Champs, Day One: Maggie, Maritza Set Stunning Records” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年8月29日閲覧。
  13. ^ Maritza Correia” (英語). usolympicteam.com. U.S. Olympic Team. 2008年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月29日閲覧。
  14. ^ a b Circle of Honor Game Recognition” (英語). GeorgiaDogs.com. Georgia Bulldogs (2015年11月5日). 2024年8月29日閲覧。
  15. ^ 4X100m FREESTYLE FINAL RESULTS” (英語). fina.org. 世界水泳連盟. 2004年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月29日閲覧。
  16. ^ Scott Purks (2005年9月10日). “Correia earns silvers at world meet” (英語). tampabay.com. タンパベイ・タイムズ. 2024年9月1日閲覧。
  17. ^ 4X100m MEDLEY RELAY HEATS RESULTS” (英語). fina.org. 世界水泳連盟. 2004年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月29日閲覧。
  18. ^ Women's 4x100 Free Relay -- prelims” (PDF) (英語). omegatiming.com. Omega Timing. 2024年8月29日閲覧。
  19. ^ PHillip Whitten (2004年7月13日). “US Olympic Trials, Day 6 Finals Kara Lynn Joyce Upsets Natalie Coughlin to Take the 100m Free; Weir and Correia Complete the US Sprint Relay” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年9月3日閲覧。
  20. ^ Phillip Whitten (2004年7月14日). “US Olympic Trials, Day 8 Finals: Jenny, Kara Lynn Go 1-2 in the 50 Free” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年9月3日閲覧。
  21. ^ Beth Harris (2004年7月14日). “Correia hopes to be minority role model” (英語). spokesman.com. The Spokesman-Review. 2024年8月29日閲覧。
  22. ^ Stephen J. Thomas (2004年8月14日). “Women’s 400 Freestyle Relay Prelims: Aussie Women Qualify Fastest Ahead of Team USA; Germans and Dutch in the Mix” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World. 2024年8月29日閲覧。
  23. ^ Mike Watkins (2017年2月28日). “Maritza Correia McClendon: Mother, Wife, Mentor, Icon” (英語). usaswimming.org. USA Swimming. 2024年8月29日閲覧。
  24. ^ Mike Watkins (2021年2月11日). “Black History Month Trailblazers: Maritza Correia McClendon” (英語). usaswimming.org. USA Swimming. 2024年9月3日閲覧。
  25. ^ Bob Schaller (2017年2月14日). “Black History Month: 20 Question Tuesday with Maritza (Correia) McClendon” (英語). usaswimming.org. USA Swimming. 2024年8月18日閲覧。
  26. ^ a b Maritza CORREIA” (英語). worldaquatics.com. 世界水泳連盟 (2024年8月9日). 2024年8月9日閲覧。
  27. ^ a b c RESULTS” (英語). fisu.net. 国際大学スポーツ連盟. 2007年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年8月29日閲覧。
  28. ^ a b c WOMEN’S ALL-TIME SC YARDS PERFORMERS-PERFORMANCES RANKINGS” (PDF) (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World (2017年2月). 2024年8月16日閲覧。
  29. ^ Auburn Women Take Second Straight NCAA Title” (英語). swimmingworldmagazine.com. Swimming World (2003年3月22日). 2024年8月16日閲覧。
  30. ^ CORREIA, Maritza” (英語). swimrankings.net. 2024年8月29日閲覧。

外部リンク

[編集]