マグダレナ・アンデション

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マグダレナ・アンデション
Magdalena Andersson
Magdalena Andersson in 2022 (cropped).jpg
2022年
 スウェーデン 第44代 首相
就任
2021年11月30日
君主カール16世グスタフ
代理官モルガン・ヨハンソン英語版
前任者ステファン・ロベーン
社会民主労働党党首
就任
2021年11月4日
幹事長トビアス・ボーダン英語版
前任者ステファン・ロベーン
 スウェーデン 財務大臣英語版
任期
2014年10月3日 – 2021年11月30日
首相ステファン・ロベーン
前任者アンダース・ボルグ
後任者ミカエル・ダンベリ英語版
 スウェーデン リクスダーゲン議員
就任
2014年9月29日
選挙区ストックホルム県
個人情報
生誕Eva Magdalena Andersson
(1967-01-23) 1967年1月23日(55歳)
 スウェーデン ウプサラ
政党社会民主労働党
配偶者
Richard Friberg (m. 1997)
子供2
教育ストックホルム商科大学

エーヴァ・マグダレナ・アンデション(Eva Magdalena Andersson (スウェーデン語発音: [eːva maɡdalena andɛʂɔn])、1967年1月23日 - )は、スウェーデン政治家経済学者。同国第44代首相(在任: 2021年11月30日 - )。スウェーデン社会民主労働党党首[1]

2021年11月24日リクスダーゲンはアンデションを首相に選出し[2]11月26日に就任する予定だった[3]。しかし、緑の党との連立政権が崩壊し、連立政権による予算案が否決されて野党の予算案が採択されたことにより、首相に選出された数時間後に選出を辞退することになった[4]。アンデションは、社会民主労働党一党による政権を目指し、議会の信任を得ることを発表した[5]11月29日に再投票が行われ、首相に再選出された。11月30日に首相に就任し、スウェーデン初の女性首相となった。

若年期と教育[編集]

アンデションは、ウプサラ1967年1月23日に生まれた。父はウプサラ大学統計学の講師をしていたヨーラン・アンデション(Göran Andersson、1936年-2002年)、母は教師のビルギッタ・アンデション(Birgitta Andersson、1939年-)で、マグダレナは一人っ子である[6]

若い頃にはエリートレベルの水泳選手だった[7][8]

ウプサラのカテドラルスコーラン(高校)で社会科学を学び、1987年に1科目を除く全ての科目でトップの成績を収めて卒業した[9]

高校卒業後はストックホルム商科大学に入学し[10]、1992年に経済学の修士号を取得した。その後、同大学の博士課程に進んだが、1995年に博士号を取得せずに修了した。1994年秋にウィーン高等研究所英語版に、1995年春にハーバード大学に留学した[11]

アンデションは、1983年、中学1年生のときに、社会民主労働党の青年組織であるスウェーデン社会民主青年同盟英語版(SSU)に加入した[12]。1987年にはSSUのウプサラ支部長に選出された[13]

キャリア[編集]

顧問・公務員[編集]

1996年から1998年まで首相ヨーラン・ペーションの政治顧問としてローゼンバード英語版(首相府)に勤務し、その後1998年から2004年まで企画部長を務めた。2004年から2006年まで財務省の長官を務め、2007年から当時野党だった社会民主労働党の党首モナ・サーリンの政治顧問を務めた。2009年、政府がアンデションを税務局のチーフディレクターに指名し、2012年まで同職を務めた。2014年の総選挙英語版で社会民主労働党の候補者となったのを機に辞任した[14]

財務大臣[編集]

2014年の総選挙で社会民主労働党が勝利し、リクスダーゲン(国会)議員に初当選したアンデションは、ステファン・ロベーン新首相により財務大臣英語版に任命された[15]。連立交渉の結果、アンデションが財務省の全体的な責任を負う一方で、緑の党ペール・ボールンド英語版が金融市場担当大臣として金融市場と消費者保護の監督責任を負うことになった[16]。アンデションは2018年の総選挙英語版で再選され、ステファン・ロベーン首相によって財務大臣に再任された[17]

2020年、国際通貨基金(IMF)理事会の主要政策諮問委員会である国際通貨金融委員会(IMFC)は、アンデションを3年の任期で委員会の議長に選出した[18]。同委員会の議長にヨーロッパ人が就任するのは10年以上ぶりで、女性の就任は初だった[19]

2021年8月、ステファン・ロベーン首相は、同年11月に開催される党大会をもって党首を辞任することを発表した[20]。すぐに後継者候補としてアンデションが有力視され、9月29日、党の指名委員会は、党大会に先立ってアンデションを党首に指名することを決定したと発表した。この指名が党大会で承認されれば、アンデションは党首となり、スウェーデン初の女性首相となる[21][22]

社会民主労働党党首[編集]

11月4日、アンデションは社会民主労働党の党首に選出され[23]、野党時代のモナ・サーリン以来の同党2人目の女性党首となった[8]

11月10日、現職の首相であるステファン・ロベーンが正式に辞任した[24]。11月11日、リクスダーゲン議長は2021年スウェーデンの政権樹立英語版の一環として全政党の党首と会談し、その後にアンデションに1週間の猶予を与えて政権樹立を要請した[25]。11月23日、アンデションは、左翼党との間で首相投票で自分を支持することで合意したと発表した。中央党もアンデションを支持することに合意していたため、アンデションは次期首相になるために必要な数の議員の支持を得た[26]

スウェーデン首相[編集]

2021年11月24日、リクスダーゲンはアンデションを次期首相に選出した[5]。賛成票は過半数に達しなかったものの、棄権により反対票も過半数に達しなかったため首相の選出には十分であり[5]、選出の時点で11月26日に正式に首相に就任することになっていた[27]。アンデションは、1921年に普通選挙が導入されて以来、スウェーデン初の女性首相となるはずであった[28]

アンデションの首相選出の数時間後、連立政権が提出した予算案はリクスダーゲンで否決され、野党が提出した予算案が可決された。野党の予算案は右派の民主党の支援を受けて作成されていたため、連立を組む緑の党はその予算での政権運営を嫌って連立から離脱し[29]、アンデションは首相就任前に選出を辞退することになった[30][31]。これは、連立政権から政党が離脱した場合、首相は辞任するという慣例に基づくものである。アンデションはアンドレアス・ノルリアン英語版議長に、社会民主労働党一党で政権を率いる意思があることを伝えた[32] [29]

11月29日、アンデションは首相に再選された[33][34]。1回目の投票でアンデションを支持した全ての政党(中央党、緑の党、左翼党)が、11月29日に行われる再投票でアンデションを支持する意向を示していることから、アンデションは首相に再選されることが予想されていた[35][36]。11月30日に首相に就任し、スウェーデン初の女性首相となり、これで北欧の全ての国が女性を政権トップに置いたことになった[5][37][38]。同国のトップに女性が就任するのは、1720年ウルリカ・エレオノーラ女王退位以来のこととなる。2022年9月11日に執行された総選挙英語版で与党連合は173議席にとどまり、176議席の右派陣営が僅差ながら上回った。これを受けアンデションは9月14日に敗北を認め退陣を表明した[39]

その他の役職[編集]

私生活[編集]

1997年にストックホルム大学経済学部教授のリッカルド・フリーバリスウェーデン語版と結婚し、2人の子供がいる[48]。夫婦ともにアウトドア派で、ハイキングやカヤック、登山などをよく楽しんでいる[49]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Dutt, Sujay (2021年11月4日). “Magdalena Andersson elected as new Social Democrat leader”. Sveriges Radio. https://sverigesradio.se/artikel/magdalena-andersson-elected-as-new-social-democrat-leader 2021年11月23日閲覧。 
  2. ^ Sweden's Andersson elected as nation's first woman PM” (2021年11月24日). 2021年11月27日閲覧。
  3. ^ Magdalena Andersson becomes Sweden's first female prime minister” (2021年11月24日). 2021年11月27日閲覧。
  4. ^ Omröstning om ny statsminister” (スウェーデン語). SVT Nyheter (2021年11月11日). 2021年11月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e Sweden's first female PM resigns hours after appointment”. BBC News (2021年11月24日). 2021年11月24日閲覧。
  6. ^ Lagercrantz, Hemmets Journal | Victoria. “Magdalena Andersson om sorgen efter pappa Göran”. Hemmets Journal. 2021年11月1日閲覧。
  7. ^ Jag tycker om att prestera!” [I like to perform] (スウェーデン語). Civilekonomen (2013年3月1日). 2013年3月1日閲覧。
  8. ^ a b The "most stingy finance minister in the EU" may become Sweden's first female prime minister” (スウェーデン語). Yle (2021年8月24日). 2021年8月24日閲覧。
  9. ^ “Hon vill vara bäst i klassen – och älskar doften av strid” (スウェーデン語). Dagens Nyheter. (2016年8月13日). http://www.dn.se/valet-2014/hon-vill-vara-bast-i-klassen-och-alskar-doften-av-strid/ 2021年10月17日閲覧。 
  10. ^ Låt inte kön avgöra valet” [Do not let gender determine the choice of Prime Minister] (スウェーデン語). Smålandsposten (2021年8月23日). 2021年8月24日閲覧。
  11. ^ Ett komplement till en god välfärdsstad” [A complement to a good welfare state] (スウェーデン語). Expressen (2013年12月15日). 2014年8月30日閲覧。
  12. ^ Magdalena Andersson tackar ja: Väldigt hedrad”. Västerbottens-Kuriren (2021年9月29日). 2021年11月1日閲覧。
  13. ^ Nyheter, S.V.T.; Carlbaum, Julia (2021年9月10日). “Länets socialdemokrater vill ha Magdalena Andersson som ny ledare”. SVT Nyheter. https://www.svt.se/nyheter/lokalt/uppsala/s-i-uppsala-lan-vill-se-magdalena-andersson-som-ny-partiledare 2021年11月1日閲覧。 
  14. ^ Falkirk, John (2021年9月30日). “Magdalena Andersson: Jag har rökt marijuana” (スウェーデン語). Expressen. 2021年11月1日閲覧。
  15. ^ Orange, Richard (2021年8月28日). “Sweden lines up Magdalena Andersson to be its first woman prime minister”. The Telegraph. 2021年11月1日閲覧。
  16. ^ Kroet, Cynthia (6 October 2014), "Löfven unveils Swedish government", European Voice. Retrieved 1 November 2021.
  17. ^ SSE alum and Minister for Finance Magdalena Andersson visited SSE”. hhs.se. 2021年11月1日閲覧。
  18. ^ IMFC Selects Sweden’s Minister for Finance Magdalena Andersson as New Chair International Monetary Fund (IMF), press release of 17 December 2020.
  19. ^ Lawder, David (17 December 2020), "IMF steering committee names Swedish finance minister as next chair", Reuters. Retrieved 1 November 2021.
  20. ^ Sweden’s Finance Chief Nominated to Become First Female PM Bloomberg. Retrieved 1 November 2021.
  21. ^ Nyheter, S. V. T.; Schau, Oscar; Knutson, Mats (2021年9月29日). “Valberedningen föreslår Magdalena Andersson” (スウェーデン語). SVT Nyheter (SVT). https://www.svt.se/nyheter/inrikes/socialdemokraternas-valberedning-kallar-till-presstraff 2021年9月29日閲覧。 
  22. ^ Milne, Richard (29 September 2021), "Finance minister on course to become Sweden’s first female PM", Financial Times. Retrieved 1 November 2021.
  23. ^ Magdalena Andersson set to become Sweden's first female Prime Minister”. Euronews (2021年11月4日). 2021年11月11日閲覧。
  24. ^ “Swedish PM resigns, finance minister likely successor”. Reuters. (2021年11月10日). https://www.reuters.com/world/europe/swedish-pm-hand-resignation-fin-min-likely-successor-2021-11-10/ 2021年11月10日閲覧。 
  25. ^ Swedish Fin Min Andersson handed task of forming new government”. Reuters (2021年11月9日). 2021年11月11日閲覧。
  26. ^ Nyheter, S. V. T.; Fors, Ebba (2021年11月23日). “Regeringen och Vänsterpartiet överens – V släpper fram Andersson som statsminister [Government and Left Party agree – Left Party will allow Andersson as Prime Minister]” (スウェーデン語). SVT Nyheter (Sveriges Television). https://www.svt.se/nyheter/inrikes/kvallen-fore-statsministeromrostningen-nu-har-s-och-v-kommit-overens-om-pensionerna 2021年11月24日閲覧。 
  27. ^ Tanaka (2021年11月22日). “S-ledaren hos talmannen – har hon stöd för en regering?”. Dagens Nyheter. 2021年11月24日閲覧。
  28. ^ Klart: Magdalena Andersson blir ny statsminister” (スウェーデン語). Aftonbladet (2021年11月24日). 2021年11月24日閲覧。
  29. ^ a b Fors, Ebba (2021年11月24日). “Miljöpartiet lämnar regeringen – ny statsministeromröstning kan vänta” (スウェーデン語). Sveriges Television. オリジナルの2021年11月24日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20211124162204/https://www.svt.se/nyheter/inrikes/miljopartiet-lamnar-regeringen-ny-statsministeromrostning-vantar 2021年11月24日閲覧。 
  30. ^ Sweden’s first female prime minister resigns after less than 12 hours”. The Guardian (2021年11月24日). 2021年11月25日閲覧。
  31. ^ So… who is the prime minister of Sweden right now?” (英語). The Local Sweden (2021年11月26日). 2021年11月27日閲覧。
  32. ^ Magdalena Andersson (S) väljer att avgå” (スウェーデン語). Sveriges Television (2021年11月24日). 2021年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月24日閲覧。
  33. ^ Magdalena Andersson chosen as Sweden’s first female PM... again” (英語). euronews (2021年11月29日). 2021年11月29日閲覧。
  34. ^ Magdalena Andersson Elected As Sweden's First Woman Prime Minister Again”. NDTV.com. 2021年11月29日閲覧。
  35. ^ “'Var Andersson någonsin statsminister?' – frågor och svar om regeringsbildningen” (スウェーデン語). Sveriges Television. (2021年11月24日). https://www.svt.se/nyheter/inrikes/detta-hander-nu-1 2021年11月25日閲覧。 
  36. ^ “Talmannen: Ny omröstning om Andersson (S) på måndag” (スウェーデン語). Sveriges Television (Sveriges Television). (2021年11月25日). https://www.svt.se/nyheter/inrikes/talmannen-ny-omrostning-om-andersson-s-pa-mandag 2021年11月25日閲覧。 
  37. ^ Finance chief Andersson tapped to be Sweden's 1st female PM”. The Washington Post (2021年11月4日). 2021年11月8日閲覧。
  38. ^ Magdalena Andersson: Sweden's first female PM returns after resignation” (2021年11月29日). 2021年11月29日閲覧。
  39. ^ “スウェーデン首相が辞意表明、総選挙の敗北認める”. ロイター. (2022年9月15日). https://jp.reuters.com/article/sweden-election-result-idJPKBN2QF21H 2022年9月15日閲覧。 
  40. ^ フィンランドとスウェーデン NATO加盟「賛成」の世論が初の過半数に”. 東京新聞 (2022年3月7日). 2022年3月9日閲覧。
  41. ^ Board of Governors Asian Infrastructure Investment Bank (AIIB). Retrieved 1 November 2021
  42. ^ Board of Governors European Bank for Reconstruction and Development (EBRD). 1 November 2021
  43. ^ Board of Governors: Magdalena Andersson European Investment Bank (EIB). 1 November 2021
  44. ^ Board of Governors Multilateral Investment Guarantee Agency (MIGA), World Bank Group. 1 November 2021
  45. ^ Board of Governors Archived 29 October 2017 at the Wayback Machine. Nordic Investment Bank (NIB). 1 November 2021
  46. ^ Board of Governors World Bank. 1 November 2021
  47. ^ Curriculum Vitae Minister for Finance Magdalena Andersson”. government.se. Government of Sweden. 2021年11月11日閲覧。
  48. ^ Magdalena Andersson about the grief after father Göran Andersson” (スウェーデン語). Hemmets Journal (2015年7月15日). 2021年10月17日閲覧。
  49. ^ Magdalena Andersson: Hidden privacy with her husband and children” (2021年9月18日). 2021年11月23日閲覧。
公職
先代
ステファン・ロベーン
スウェーデンの旗 スウェーデン王国首相
第44代:2021年 - 現在
現職
先代
アンダース・ボルグ
スウェーデンの旗 財務大臣英語版
2014年 - 2021年
次代
ミカエル・ダンベリ英語版
党職
先代
ステファン・ロベーン
スウェーデン社会民主労働党党首
2021年 - 現在
現職