ホシアサガオ

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ホシアサガオ
ホシアサガオの花
(沖縄県竹富町小浜島にて撮影)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: ナス目 Solanales
: ヒルガオ科 Convolvulaceae
亜科 : ヒルガオ亜科 Convolvuloideae
: サツマイモ連 Ipomoeeae
: サツマイモ属 Ipomoea
: ホシアサガオ I. triloba
学名
Ipomoea triloba L.
和名
ホシアサガオ(星朝顔)
英名
little bell, little-bell morning glory, three-lobe morning glory

ホシアサガオ(星朝顔、学名:Ipomoea triloba[1])はヒルガオ科サツマイモ属一年生草本帰化植物

特徴[編集]

茎は蔓となってよく分岐し、他の物に巻き付いて長さ数mになる。葉は互生し、卵円形~心臓形で全縁または3裂し、葉形は変異が多い。夏から秋にかけて葉腋に葉柄より長い花柄を出し、直径1.5 cmほどの淡紅色で中心部が濃紅色の星形、漏斗型の花を数個まとめてつける。花柄にはイボ状の突起が散生。果実はやや縦長の球形[2][3][4][5][6][7][8]。本種とよく似たマメアサガオは、花の中心部が濃紅色にならないことと花柄にイボ状の突起が密生する点などが本種と異なり、識別可能。

分布と生育環境[編集]

南米原産とされ、北米、オーストラリア、東南アジアなどに広く帰化。関東以南の道端や畑地周辺などに発生・繁殖する[2][5][8][9][10]。戦前からミクロネシアなど熱帯~亜熱帯に生育することが知られ、1944年に花の形態にちなみ和名がつけられた[11][7][12]。日本へは戦後、1951年以前の米国統治下の沖縄へ初めて帰化したと考えられている。明治期から戦前にかけて採集された栽培由来を含む標本と近年見られる個体では葉形が異なり、その由来が異なる可能性があるとされる[13]

強害雑草・外来種問題[編集]

大豆畑などにおいて強害雑草とされ、マメアサガオなどとともに帰化アサガオ類として問題視され、防除技術について研究が進められている[6][14]。また、環境省の生態系被害防止外来種リストにおいて、その他の総合対策外来種に指定されている。我が国における野外での定着段階は「分布拡大期~まん延期」にあるとされ、生態系等への被害のおそれがあるため、防除(野外での取り除き、分布拡大の防止等)、遺棄・導入・逸出防止等のための普及啓発など総合的な対策が必要とされている[15]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 米倉浩司; 梶田忠 (2003年). “ホシアサガオ”. BG Plants 和名-学名インデックス (YList). 2024年2月8日閲覧。
  • 環境省我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト 掲載種の付加情報〈植物〉』(PDF)(レポート)環境省、2015年https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/fuka_plant.pdf2024年2月8日閲覧 
  • 淺井, 康広『エイリアン植物記』ウッズプレス、横浜市、2020年。ISBN 9784907029067 
  • 原, 千代子『琉球弧・花めぐり』南方新社、鹿児島市、2019年。ISBN 9784861244025 
  • 清水, 矩宏 ほか『日本帰化植物写真図鑑』全国農村教育協会、東京都台東区、2001年。ISBN 4881370855 
  • 林, 将之、名嘉, 初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、那覇、2022年。ISBN 9784899824350 
  • 農業・食品産業技術総合研究機構帰化アサガオ類蔓延防止技術マニュアル 大豆畑における帰化アサガオ類の防除技術Ver.1〉』(PDF)(レポート)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センター、2012年https://www.affrc.maff.go.jp/docs/pdf/publication_narc_kika_asagao_boujo.pdf2024年2月8日閲覧 
  • 梶田, 結衣、米倉, 浩司、遠山, 弘法、赤井, 賢成、天野, 正晴、阿部, 篤志、山本, 武能、設樂, 拓人 ほか「沖縄県西表島における外来植物目録」『大阪市立自然史博物館研究報告』第76号、大阪市立自然史博物館、2022年、125–141頁、ISSN 0078-6675 
  • 池原, 直樹『沖縄植物野外活用図鑑』 3巻《帰化植物》、新星図書出版、那覇、1979年。 
  • 津山, 尚「ほしあさがほ(星朝顔)新和名」『植物研究雑誌』第20巻第4号、1944年、226–229頁、ISSN 2436-6730 
  • 伊江村教育委員会『伊江島の植物図鑑』伊江村教育委員会、沖縄県伊江村、2002年。 
  • 森, 昭彦『帰化&外来植物見分け方マニュアル950種』秀和システム、東京都江東区、2020年。ISBN 9784899824350 
  • 神奈川県植物誌調査会 編『神奈川県植物誌:2018』(PDF)(電子版)神奈川県植物誌調査会、2018年。ISBN 9784991053726https://flora-kanagawa2.sakura.ne.jp/attach/eFloraofKanagawa2018v1.pdf 
  • 畜産技術協会『写真で見る外来雑草』(社)畜産技術協会、東京都文京区、2006年。ISBN 4881370561 
  • 田畑, 満大『奄美群島植物目録』南方新社鹿児島市、2023年。ISBN 9784861245008 
  • 早川, 宗志ほか「ホシアサガオ,マメアサガオ,マルバアメリカアサガオ(ヒルガオ科)の日本への初帰化年代」『雑草研究』第64巻第1号、2019年、5–8頁、ISSN 0372-798X 

外部リンク[編集]