ピアノソナタ第15番 (シューベルト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

フランツ・シューベルトピアノソナタ第15番ハ長調D8401825年4月に作曲された。通称「Reliquie(レリーク)」と呼ばれ、未完成ソナタ作品ながら重要作とされている。1839年ロベルト・シューマンにより発見された。

"Reliquie"は「遺作・文化遺品」の意味だが、出版に当たって、最後の作品だと誤認された結果命名された。実際、出版されたのは死後の1861年で、作曲者の評価も一定していた。だが、出版後にシューマンから自筆譜を贈られたアドルフ・ベットガーは楽譜をバラバラにしてしまい、第2楽章冒頭と第4楽章の全てが現在では行方不明となっている。

エルンスト・クルシェネク1921年)、パウル・バドゥラ=スコダ(ヘンレ版)、マルティーノ・ティリモ(ウィーン原典版…音楽の友社より出版されている)、ジョルジュ・プリュデルマシェールブライアン・ニューボールドウィリアム・ボルコムなどによる補筆版がある。

曲の構成[編集]

4楽章構成。完成されているのは第1・第2楽章のみだがそれでも演奏時間は30分近くになる。 

  • 第1楽章 Moderato ハ長調 4/4拍子
穏やかながら転調の多い複雑な楽章。ソナタ形式で、主題は序奏なく冒頭から現れる。E'-G-E-G-A-Gの旋律はハ長調には遠く、特徴的なもの。この動機は、絶筆となった交響曲ニ長調 (D936A)第1楽章冒頭など、中期以降の作品に登場する。
臨時記号も多くハ長調から遠隔調に頻繁に変化を繰り返す。リズムも三連符に近い音形をシンコペーションで左手に表すなど、ソナタ形式の中に収まらない自由な展開部を持っている。
ロンドに近いソナタ形式。ユニゾンが多く、管弦楽的効果のある美しい楽章。第一主題はG-C、Es-D-Cの緩いリズム。第二主題は変イ長調。再現部ではハ長調で登場し、構成的な中に旋律美を際立たせている。
この楽章以降は未完で、作曲者もなぜか楽譜をぞんざいに扱った形跡がある。校訂・補注をつけたハワード・ファーガソンはその態度を惜しんでいる。
スケルツォ風の曲。下降音階を主題にした優雅な主題。急に遠隔調のイ長調に転調するなどロマン派の作品になっている。中間部は嬰ト短調。主部はイ長調に転調したまま80小節一拍目で未完となっており、作曲者による"etc. etc."(「など、など」)という書き込みが残されている。なお、中間部は完成されている。
  • 第4楽章 Allegro ハ長調 4/2拍子
3連符が中心の明るい楽章。ソナタ形式ながら主題部と展開部のごく一部までしか完成されていない(それでも長さは272小節に及ぶ)。第一楽章同様に転調が多い。バドゥラ=スコダ版およびティリモ版では、晩年の他のソナタ同様に長い展開部を補筆した後に主題を省略なしに再現させている。さらに、ティリモ版ではコーダの最後に第1楽章第1主題を回想させている。

外部リンク[編集]