ハプログループDE (Y染色体)

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ハプログループDE(Y染色体)(ハプログループDE (Yせんしょくたい)、: Haplogroup DE (Y-chromosome))とは、分子人類学で用いられる、人類Y染色体ハプログループ(型集団)の分類で、YAPと呼ばれる変異の型に定義されるものである。

YAP[編集]

ハプログループDEはYAPという変異で定義される。YAP (ヤップ、Y-chromosome Alu Polymorphism)とは、Y染色体の長腕部「DYS287 Yq11」上にある約300塩基からなるAlu配列(Alu sequence)の挿入多型。この古代に起きた「M1」と定義される変異の痕跡(SNP)をY染色体上に持つのは、本来ならばtRNArRNAなどの核内低分子RNAに転写されるべきものが、何らかの要因によってY染色体上のDNA配列に挿入されてしまったもので、生体内での働きについては未解明である。Alu配列とは蛋白質をコードする配列を全く含まず、制限酵素Aluで認識されるためこの名がつけられた。YAP変異をもつ系統はハプログループEハプログループDに限られる[1]

起源[編集]

現生人類共通祖先発祥の地、東アフリカトゥルカナ湖の東北附近に約6.5万年前[2]に住んでいた一人の男性にこの変異が起こりこれが、父系で遺伝するY染色体の特定のSNPを持つ集団(Y染色体ハプログループ)のうち「YAP(M1)」と呼ばれるSNPを持つハプログループDE系統を生み出し、その後6万年程前にこれが更に2つ集団(ハプログループDEに分岐した。
なお、ハプログループDEは系統樹からも分かるように、全ユーラシア人の最近共通祖先であるハプログループCTから早期に分岐したため、他のユーラシア系統とは分岐から7万年以上もの年月を経ている。(一方で、ハプログループDEはアジアで発祥したという説[3]もある。)

さらにその子系統であるハプログループDは、アフリカにおいて既に発生していたと考えられる[4]。ハプログループDの子系統のうち、ハプログループD2はアフリカに留まり、ハプログループD1が出アフリカを果たした。 アフリカに留まり(又は出戻り)アフリカ大陸全土や一部は地中海地域ヨーロッパなどに父系を通じて広がった集団がハプログループEとハプログループD2であり、分岐後出アフリカを経て東方に向かい、チベットアンダマン諸島ヤオ族フィリピンマクタン島グアム島日本列島[5]などに父系を通じて広がったのがハプログループD1である。

またDEの子型でD系統にもE系統にも属さないパラグループDE*がシリアチベット人ナイジェリアなどの西アフリカでごくわずかに発見されている[6][7]

下位系統[編集]

2019年6月19日改訂のISOGGの系統樹(ver.14.106)による[8]

YAP因子を持つ有名人[編集]

ハプログループD

ハプログループE

ヒトY染色体ハプログループ系統樹
Y染色体アダム (Y-MRCA)
A0 A1
A1a A1b
A1b1 BT
B CT
DE CF
D E C F
G H IJK
IJ K
I J K1 K2
L T MS NO P K2*
N O Q R

脚注[編集]

  1. ^ Hammer MF.(1994) A recent insertion of an alu element on the Y chromosome is a useful marker for human population studies.
  2. ^ Karafet TM, Mendez FL, Meilerman MB, Underhill PA, Zegura SL, Hammer MF (2008). "New binary polymorphisms reshape and increase resolution of the human Y chromosomal haplogroup tree". Genome Research 18 (5): 830–8. doi:10.1101/gr.7172008. PMC 2336805. PMID 18385274.
  3. ^ Cabrera, Vicente M.; Rodriguez, Julia Patricia Marrero; Abu-Amero, Khaled K.; Larruga, Jose M. (2017-12-13). “Carriers of mitochondrial DNA macrohaplogroup L3 basic lineages migrated back to Africa from Asia around 70,000 years ago.” (英語). bioRxiv: 233502. doi:10.1101/233502. https://www.biorxiv.org/content/early/2017/12/13/233502. 
  4. ^ Tyler-Smith, Chris; Xue, Yali; Thomas, Mark G.; Yang, Huanming; Arciero, Elena; Asan; Connell, Bruce A.; Jones, Abigail L. et al. (2019-06-13). “A Rare Deep-Rooting D0 African Y-Chromosomal Haplogroup and Its Implications for the Expansion of Modern Humans out of Africa” (英語). Genetics: genetics.302368.2019. doi:10.1534/genetics.119.302368. ISSN 0016-6731. PMID 31196864. https://www.genetics.org/content/early/2019/06/13/genetics.119.302368. 
  5. ^ Y-haplogroup D in Cebu, Philippines”. A Genetic Genealogy Community (2012年5月12日). 2014年10月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月3日閲覧。
  6. ^ Weale ME, Shah T, Jones AL et al. (September 2003). "Rare deep-rooting Y chromosome lineages in humans: Lessons for Phylogeography". Genetics 165 (1): 229–34. PMC 1462739. PMID 14504230.
  7. ^ Shi H, Zhong H, Peng Y et al. (2008). "Y chromosome evidence of earliest modern human settlement in East Asia and multiple origins of Tibetan and Japanese populations". BMC Biol. 6: 45. doi:10.1186/1741-7007-6-45. PMC 2605740. PMID 18959782.
  8. ^ Y-DNA Haplogroup D and its Subclades - 2019
  9. ^ Y-DNA Haplogroup D and its Subclades - 2014

関連項目[編集]

外部リンク[編集]