ナイドルフ・ヴァリエーション

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ナイドルフ・ヴァリエーション
abcdefgh
8
a8 black rook
b8 black knight
c8 black bishop
d8 black queen
e8 black king
f8 black bishop
h8 black rook
b7 black pawn
e7 black pawn
f7 black pawn
g7 black pawn
h7 black pawn
a6 black pawn
d6 black pawn
f6 black knight
d4 white knight
e4 white pawn
c3 white knight
a2 white pawn
b2 white pawn
c2 white pawn
f2 white pawn
g2 white pawn
h2 white pawn
a1 white rook
c1 white bishop
d1 white queen
e1 white king
f1 white bishop
h1 white rook
8
77
66
55
44
33
22
11
abcdefgh

ナイドルフ・ヴァリエーション (Najdorf Variation) は、チェスオープニングの1つで、シシリアン・ディフェンスの変化の1つである。右図がナイドルフ・ヴァリエーションの基本形で[1]、基本形までの手順は1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cd 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6である[2]ポーランド生まれのアルゼンチンチェスプレーヤーであるミゲル・ナイドルフが各大会でこの型を多く用いたことから「ナイドルフ・ヴァリエーション」と呼ばれるようになった[3]。このヴァリエーションの黒の5手目の狙いはb5へ白の駒を動かさせないことと[4]、将来黒からb5へポーンを進めてクイーンサイドからポーンストームを仕掛けることである[4]

主な変化[編集]

6. Bg5 e6 7. f4 Be7 8. Qf3 Qc7 9. 0-0-0 Nbd7 10. g4 b5 11. Bxf6 Nxf6 12. g5 Nd7

白の6手目では他に6. f4、6. g3、6. Be2、6. Bc4、6. h3と指す手もあるが[4][5]、6. Bg5が最も攻撃的な手である[5]。6. f4と指すと6. … Nc6 7. Be2 Qb6 8. Nb3 e6 9. Bf3 Be7と進行し[4]、6. g3と指すと6. … e5 7. Nde2 Be7 8. Bg2 0-0 9. 0-0 b5と進行する[4]。また6. Be2と指すと6. … e5 7. Nb3 Be6 8. f4 Qc7 9. f5 Bc4と進行し[4]、6. Bc4と指すと6. … e6 7. 0-0 Be7 8. Bb3 0-0 9. f4 b6と進行する[4]。そして6. h3と指すと6. … Nc6 7. g4 Nxd4 8. Qxd4 e5 9. Qd3 Be7と進行する[4]

黒の6手目では他に6. … Nbd7、6. … h6、6. … g6、6. … e5、6. … b5と指す手もあるが[5]、6. … Nbd7と指した場合の白の7手目は7. Bc4が好手[4]。もし黒が7. … e6と指すと白に8. Bxe6!と指され黒の陣形が悪くなる[4]

白の7手目では他に7. Qf3、7. Qd3、7. Qd2、7. Bc4、7. Bd3、7. Be2、7. a4、7. f3と指す手もあるが[5]、7. f4が最も多く指されている手である[5]。7. Qf3と指すのは古い手で[4]、黒に7. … h6と指されると以下8. Bh4 Be7 9. 0-0-0 Qc7 10. Bd3 Nc6 11. Nxc6 bc 12. Bc4 Rb8で黒が十分な形勢になるため[4]1980年代以降はあまり指されなくなった[4]

黒の7手目では他に7. … b5[6]、7. … Qb6[4][5]、7. … Qa5[5]、7. … Qc7[5]、7. … Bd7[5]、7. … Nbd7[5]、7. … Nc6[5]がある。7. … b5と指すと8. e5 de 9. fe Qc7 10. ef Qe5+ 11. Be2 Qxg5と進行する[6]。7. … Qb6と指すと8. Qd2 Qxb2と進行し白はb2のポーンをクイーンに取られるが[4][7]、この変化をポイゾンド・ポーン・ヴァリエーションと呼ぶ[4][7]

黒の8手目で8. … Ndb7と指すと9. Bc4と指され白が指しやすくなる[6]。なお8. … h6と指すのは9. Bh4 g5 10. fg Nfd7 11. Nxe6! fe 12. Qh5+ Kf8 13. Bb5!と進行し[6]、白は駒損ながら攻撃が続くので形勢互角ないし白がやや優勢といった局面となる[6]

黒の9手目では他に9. … 0-0や9. … Nc6と指す手もある[6]

白の13手目は13. a3或いは13. f5と指すのが定跡[6]

参考文献[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 『定跡と戦い方』、104-105頁。
  2. ^ 『定跡と戦い方』、100、104頁。
  3. ^ 『やさしい実戦集』、67-68頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『定跡と戦い方』、105頁。
  5. ^ a b c d e f g h i j k 『やさしい実戦集』、68頁。
  6. ^ a b c d e f g 『定跡と戦い方』、106頁。
  7. ^ a b 『やさしい実戦集』、68-69頁。
  8. ^ ISBNコードは新装版のもの。