チェルノブ
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ジャンル | アクション |
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対応機種 |
アーケード[AC] メガドライブ[MD] X68000[X68] |
開発元 |
AC:データイースト MD:データイースト X68:マイコンソフト |
発売元 |
AC:データイースト MD:データイースト X68:電波新聞社 |
人数 | 1人(2人交互プレイ可能) |
メディア |
AC:業務用基板 MD:8Mbitロムカセット X68:5インチFD |
発売日 |
AC:1988年1月 MD:1992年10月16日 X68:1993年1月29日 |
デバイス | X68:ジョイスティック変換アダプター(オプション) |
『チェルノブ』は、1988年にデータイースト社から発売されたアーケードで、ジャンルは強制横スクロール型のアクションゲームである。タイトル画面には『ATOMIC RUNNER CHELNOV 戦う人間発電所』と書かれている。
ストーリー
ある日、原子力発電所の爆発事故に巻き込まれた、炭鉱夫チェルノブ。九死に一生を得た彼ではあるが、その体には、放射線の影響で異常能力が身に付いてしまっていた。そして謎の組織デスタリアンが、その能力を狙って魔手を伸ばしてきた。チェルノブとデスタリアンの死闘が、今ここに始まる。
「行け!チェルノブ 我前に敵は無し」
解説
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8方向レバーと3ボタン(攻撃、ジャンプ、振り向き)で、主人公チェルノブを操作する。6種類の武器を拾うことで、多彩な攻撃を繰り出すことができる。またパワーアップアイテムを回収することで、武器の火力・連射距離・射程距離、チェルノブのジャンプ力がそれぞれ向上する。
画面は一定の速度で右方向にスクロールし続け、レバーから手を離していてもチェルノブは走り続ける。「レッツランニング」というキャッチコピーの表す通り、前進はできるが、レバーを左に入れてもその場に停止してスクロールの速度で画面左へ流されて行くだけで、事実上後退はできない(ジャンプ中に後退は可能)という、非常に特殊なゲームシステムとなっている。だが、その仕様がテンポの良いゲーム展開を促し、ゲーム内容を大胆なものとしていた。
敵キャラや、背景に描かれる奇怪な植物は、前衛芸術的とさえ言えるほどの異彩を放つデザインをしていた。また、主人公チェルノブの疾走は、非常に緻密なスプライトアニメーションで描かれており、極めて滑らかな動きを見せた。同じく滑らかなアニメーションを売りにした『プリンスオブペルシャ』(1989年ブローダーバンド社)に、一歩先じていたと言えよう。
全7面中5つのステージで流れるメインテーマは、非常に単調ながら印象深いメロディラインを持つ。データイーストのゲーム音楽の特徴であるリズムパターンの反復によるトランス感を醸し出し、作品の明確な印象作りに貢献している。
ただし、本作が日本ゲーム史上に残る問題作と言われる所以は、ストーリーなどの設定のきわどさにある。タイトル画面のソ連国旗、「原子力発電所の事故で被爆した炭鉱夫」という設定、「円高(ドル安)コイン」というアイテムのネーミング、最終面に登場する自由の女神(最後には頭部が炎に包まれる)、そして何より『チェルノブ』というそのタイトルから、1986年のチェルノブイリ原発事故を茶化した不謹慎ゲームであると、当時の世間から轟々たる非難を浴びた。
その際データイーストはTV番組のインタビュー[1][2]で「チェルノブはカルノフ(同社作品)の従兄弟という設定であり、原発事故とは全く関係ない」と釈明したが[1]、同番組の構成・編集等の影響もあって[3]当時この釈明を信用するものは少なく、ゲームファンの間では「見事にシラを切り通した」「苦しい言い訳」などと評された。
後に関係者が語ったところでは、当初は別の名前でゲームが開発されていたものの、事故発生の半年前にたまたま開発者の間でチェルノブイリ原発の話題が出て、その際に「名前の響きが気に入ったから」という理由でゲームの名称が変更された、というのが真相で、結果的に不謹慎ゲームとなってしまったのは本当に「全くの偶然の一致」だという[1]。ただしチェルノブイリ原発事故(1986年4月)から本作の発売(1988年1月)までには1年半以上の期間があり、その間にゲーム名称の再変更等の措置が取られなかった点など、当時の同社の対応には疑問が残る。
とはいえ、スラブ神話では実際にカルノフとチェルノブという兄弟神(スラブ神話における死神チェルノボグの子供)が存在しており[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。、いくら見るからに苦しいこじつけとはいえ、デコの当事者たちは知ってか知らずかそれなりに根拠になりそうなものが存在してしまっており、この方面に造詣のある人間たちの間でも当時よく話のネタにされていた。
『ヒットラーの復活』(カプコン)と並び称されるセンセーショナル極まるタイトルや奇抜なゲーム内容、或いは当時の周囲を取り巻く状況ばかりが話題になることが多い本作ではあるものの、純粋にアクションゲームとして見た場合のゲーム性は意外な程にまともで完成度も高い。1991年に同社から発売され大ヒット作となった『ウルフファング』のゲームシステムには、本作の濃い影響を見て取ることができる。
チェルノブの武装
- 光子力光線
- 初期装備の光線銃。連射が効くので結局これが最強という場合が多い。
- エネルギーブーメラン
- 往復能力を持つブーメラン。ジャンプ中に放つと変則的な軌道で帰還するため意外に強いが、連射能力に難がある。
- 光輪
- 幅の広い直線攻撃。やや威力が低い。
- 電撃むち
- 判定が持続する鞭を放つ。射程が短めで威力はあまり無いが敵を貫通する。メガドライブ版では飛鉄球になっている。
- 重力分銅
- 円弧を描きながら飛んで行く分銅。弾単体の威力は強いが、弾の画面外への進行速度が遅い上、連射のパワーアップレベルが上がる毎に円軌道が拡大するので、無駄に画面内に滞留して弾切れを起こしたり倒したい目標物に思うように当たらなかったりする事が多いため、使い勝手は悪い。
- 赤城山ミサイル
- 誘導ミサイル。爆風にも判定がある。チェルノブを代表する著名な武器であるが、爆発パターンがやたらに滑らかで、その間次の弾が出せないなど問題点ばかりが目立つ。大抵微妙な敵配置の場所に設置されており、意図的に仕込まれたマイナスアイテムとみるのが妥当。ちなみに元ネタは『プロジェクトA子』である。
関連作品
- カルノフ(1987年)
- トリオ・ザ・パンチ(1989年)
- この二作とチェルノブは、合わせて「デコ3大奇ゲーム」と呼ばれ、一まとめにして語られることも多い。
- また『トリオ・ザ・パンチ』には、敵キャラクターとしてチェルノブが出演している。
- ドラゴン忍者(1988年)
- 貨物列車の中に、チェルノブを輸送する冷凍コンテナが見られる。
- ウルフファング(1991年)
- ゲームシステムに本作の強い影響が見える。
- タンブルポップ(1991年)
- 敵キャラとしてチェルノブが出演している。
- ファイターズヒストリー ~溝口危機一髪!!~(1995年)
- ラスボス、隠しキャラとしてチェルノブが出演している。
移植
- メガドライブ版(1992年)
- 基本設定やグラフィック、ステージ構成等に大きな変更が加えられており、移植というよりはリメイクと言った方が正しい内容となっている。ストーリーに関しては「さらわれた妹を助ける為に、父が開発したコンバットスーツで戦う」という大人しめのものになっていて、それを残念がるファンも多かったが、古代文明をベースにした敵組織や背景などは別のベクトルでの怪しさを放っている。
- Wiiのバーチャルコンソールで2007年9月11日に配信された。
- X68000版(1993年)
- 開発はマイコンソフト、発売は電波新聞社。ビデオゲームアンソロジーのVol.2として。内容は、アーケード版の完全移植である。メガドライブ用コントロールパッド変換アダプターが付属していた。このアダプターは通称「チェルノブアダプタ」と呼ばれ、当時普及していたメガドライブ用のコントローラを使用できるということで他社メーカーのソフトも公式非公式含め広く対応していた。回路的にはX68側の7・8・9番のピンを、パッド側をそれぞれ9・7・8に入れ替えるごくシンプルなもので、部品さえそろえば自作も容易。
- セガサターン版 (未発売)
- 1997年頃に、東京ゲームショーや秋葉原の一部店舗の店頭にて、製作途中だと思われるバージョン(ただし、タイトル画面も含めほぼ完成していたと思われる)の展示が行われたが、その後発売中止となった。内容はアーケード版の完全移植。
脚注
- ^ a b c 「超アーケード」(多根清史・箭本進一・阿部広樹著、太田出版、2002年)pp.94 - 97、p.170
- ^ 一般に「社長の記者会見」と書かれることが多いが、「超アーケード」によれば「あれは担当者への個別インタビューであって、記者会見ではない」とのこと。
- ^ 「超アーケード」によれば「ゲームへの悪意に満ちた編集をされた」とのことで、データイーストではテレビ局に抗議したが、局からは型どおりの謝罪文が送られてきたのみだったという。