タテジマキンチャクダイ
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タテジマキンチャクダイ | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Pomacanthus imperator Bloch, 1787 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Emperor angelfish |
タテジマキンチャクダイ(縦縞巾着鯛、学名:Pomacanthus imperator)は、スズキ目スズキ亜目キンチャクダイ科に属する魚。種小名は、皇帝を意味し、日本の天皇に由来する[1]。
形態[編集]
全長40cm。幼魚と成魚とでは、まるで別種のように色彩や模様が違うが、食性は変わらない。
- 幼魚は濃紺の体に白い同心円状の模様が入る。(模様の入り方が渦巻のように見えるため「ウズマキ」と呼ばれる。
- 成魚は青地に多くの黄色い縦縞が入る。(名前の由来は頭を上にするとタテジマになる。ヨコシマではない。また、通称「タテキン」と呼ばれる。模様が変わる途中のものを「ウズキン」と呼ばれる。)
- ヤッコの仲間は、自分の縄張りから配偶者以外の成魚を追い出す。(幼魚同士でも縄張り意識があり争うこともある。基本的に幼魚は単独でいる。)
- 幼魚は、成魚と違った模様を持つことによって縄張りに入っても攻撃されない。(模様をかえることで成魚に対しライバルでないことを表している。)
- 幼魚は、成長して成魚の模様が出始めるとライバルとみなされ、攻撃を受けるようになるという。
- このような習性のため、成魚は群れはつくらずにペアー又は、単独で行動する。
- えらの下には、成魚・幼魚ともに鋭いとげがある。(これはキンチャクダイ科の特徴でもあり、この種類には必ず1対ある。オスと思われる個体には2対あり2対の内1対は短めである。)
- 食性は雑食性で、主にカイメン類やホヤ類などの動物質のほか、海藻などの植物質のものを主食としている。(このほか、プランクトンやサンゴのポリプなども口にする。)
成魚と幼魚とで模様の違いがあるわけ[編集]
上で述べたように、キンチャクダイ科の多くは成魚と幼魚とでまったく違う模様を持つ。成魚と違った模様を持つことによって縄張りに入っても攻撃されない、これも理由の一つとされるが、模様の違いには他にもいろいろな説があり、ここでいくつか挙げてみる。
- 毒をもつウミウシなどに姿を似せることで、敵に狙われにくくするという説。(多くの魚は青系の色のものを襲わない。毒を持っているサインと言う色のため魚は避けると言われているため、多くのウミウシは青系のものが多い。)
- チョウチョウウオ科の幼魚には尻尾のほうに敵を惑わすため目玉のような目立つ黒点があるが、実はこれと同じ理由でこのような模様を持つ。(良く見ると、「タテキン」の幼魚渦巻き模様の中心は目にも見える。)
- 幼魚は襲われないように細い海藻やヤギ、枝サンゴに似せた模様をしている。(枝サンゴの間やヤギの近くで見られることが多い。)
以上、代表的な説である。他にも様々な説がある。
よく似た種[編集]
よく似た種として、サザナミヤッコがいる。しかし、いずれも幼魚期までであり、成魚はどちらも独特のもようである。2cmまでの個体はサザナミヤッコの幼魚と似ているため区別が難しいがサザナミヤッコの幼魚は吻端から背中に白線縦線があるが本種にはそれがない。
生態[編集]
主に外海の岩壁の穴や割れ目などで観察される。また、本州で見られるのは黒潮に乗って流れ着いた幼魚のほうで、成魚はめったに見られない。やはり、ほかのチョウチョウウオなどの南方系の魚と同じ死滅回遊魚であり、水温が急に下がる1月ごろから死んでしまうため、見られなくなる。石垣島など八重山諸島などでは普通種であり、サンゴの根や割れ目などにいる。意外と狭いところを好む。雑食性のためなんでも口にするが、やはりサンゴのポリプをかじる。そのほか、プランクトンや藻類などを食べる。
本州の伊豆半島から西日本の太平洋側では夏ごろから12月まで稚魚や幼魚が採種される。
分布[編集]
太平洋(イースター島を除く)、インド洋、相模湾以南の潮溜まりや浅い岩場の沿岸などで見かける。キンチャクダイ科では最も生息範囲が広い種の1つである。そのため、地域により個体差がある。現在、「太平洋型」と「インド洋型」に分けられる。日本などで見られる「太平洋型」は背びれ後方の軟条部が長く伸びる。インド洋などで見られる「インド洋型」は背びれ後方の軟条部が長く伸びることはなく丸い。なお一部ハワイでは、太平洋であるが、インド洋型をしている。別名ハワイアンエンペラーとして愛好家では呼ばれている。
人間との関係[編集]
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- 近藤滋によって実験に使われた。1995年に生物の斑紋を数学的に証明したチューリング・パターンを実験的に確かめることが出来た魚として知られている[2]。
- ダイビングをする人にも人気があり、特に夏期、黒潮に乗って伊豆半島や紀伊半島で現れる稚魚はかわいらしさなど人気がある。12月まで水温が高いためか見られる。主に外海の岩壁の穴や割れ目などで観察される。しかし、チョウチョウウオに比べ見られる確率は低い。また、主に本州で見られるのは幼魚のほうで、成魚はめったに見られない。やはり、ほかのチョウチョウウオなどの南方系の魚と同じ死滅回遊魚であり、水温が急に下がる1月ごろから死んでしまうため、見られなくなる。沖縄などでは普通種であり、サンゴの根や割れ目などにいる。意外と狭いところを好む。
脚注[編集]
- ^ 荒俣、中村(1997).
- ^ S. Kondo & R. Asai, A reaction-diffusion wave on the skin of the marine an gel fish Pomacanthus, Nature, 1995.
参考文献[編集]
- 荒俣宏、中村庸夫(写真) 『チョウチョウウオの地球』エムピージェー、1997年、17頁。ISBN 4-89512-223-9。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- FishBase
- Dianne J. Bray. “Pomacanthus imperator”. Fishes of Australia. 2020年4月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月11日閲覧。