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スペース・ベビー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スペース・ベビー
Space Babies
ドクター・フー』のエピソード
監督ジュリー・アン・ロビンソン英語版
脚本ラッセル・T・デイヴィス
制作ヴィッキー・デロウ
音楽マレイ・ゴールド
初放送日2024年5月11日
エピソード前次回
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ルビー・ロードの教会
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悪魔のコード英語版
ドクター・フーのエピソード一覧

スペース・ベビー」(原題:"Space Babies")は、イギリスSFドラマドクター・フー』の第14シリーズ第1話。脚本はラッセル・T・デイヴィス、監督はジュリー・アン・ロビンソン英語版が担当した。BBC iPlayerDisney+で2024年5月11日に次話「悪魔のコード英語版」と共に公開された。視聴者数は401万人に上り、批評家からは一般に肯定的なレビューを受けた。

本作では、15代目ドクター(演:チュティ・ガトゥ)とルビー・サンデー英語版(演:ミリー・ギブソン)が未来の宇宙船に到着する。船ではベビーカーに乗って流暢な言語を話せるヒト乳児が育てられており、彼らがステーションの保守管理を行っていた。ルビーとドクターは乳児たちが恐怖するブギーマンと呼称される怪物と対峙する[1]

あらすじ[編集]

前話「ルビー・ロードの教会」から続く。ターディスに乗って未来の宇宙船に到達した15代目ドクター(演:チュティ・ガトゥ)とルビー・サンデー英語版(演:ミリー・ギブソン)は大型の生物と遭遇する。エレベーターを発見した2人は上階に退避し、そこでステーションの管理を行っている乳児の集団と出会う。ドクターの聞き込みの結果、乳児たちが下層に生息するブギーマンを恐れながら暮らしており、また彼らと共に居た成人のクルーが彼らを置き去りにして帰還していたことが明らかになる。

ドクターたちは探索を続けるうち、人工知能NAN-Eを通し、女性ジョセリン(演:ゴルダ・ロシューベル英語版)がステーションに1人残って乳児たちの世話をしていたことを知る。ジョセリンと乳児たちを付近の惑星に送り届けることを考えていたドクターだったが、乳児の1人であるエリックはブギーマンの実在性を否定したルビーの発言を真に受け、1人で下層に赴いてしまう。ドクターとルビーはブギーマンと遭遇したエリックを救出する。

ドクターは船の乳児たちを楽しませるために人工知能が乳児の鼻水からブギーマンを生み出したことを悟る。ジョセリンはルビーとドクターを誘導してブギーマンをエアロックの付近におびき寄せ、宇宙空間へ放逐しようとする。ルビーはブギーマンも乳児と同時期に誕生した仲間であると主張してジョセリンを説得し、ドクターは物理的にブギーマンの救出に成功する。最終的にドクターは彼らを惑星へ送り届けられるよう宇宙ステーションを動かし、またブギーマンの性質をより安全なものに調整する。

事案解決後、ドクターはルビーにターディスの合鍵を渡す。ドクターはルビーが教会の前に置き去りにされた日の夜には絶対に行けないことを告げ、それを条件として彼女を旅に誘う。現代に帰還してルビーの家に入る前に、ドクターはルビーのDNA鑑定を開始する。DNA鑑定中のターディスの内部では、ルビーの記憶の中にある雪が降り始める。

制作[編集]

本作は新しいファンへの番組の紹介として執筆された[2][3]。本作には12人の本物の乳児が出演し、また場合によってはイギリスの法律や俳優の組合の制限に基づいて人形に置き換えられることもあった[4]。伝えられるところによると、これらの人形に演者が怖がることもあったという[5]。乳児の口の動きにはコンピューターアニメーションが用いられた[6][7]

レニー・ラッシュ英語版は当初エリックの声役でキャスティングされていたが、制作チームが彼の演技に感銘を受けたことにより、シリーズのより後のエピソードに登場するUNITの科学顧問モリス・ギボンズの役に抜擢された[8]。エリックの声は代わりにSami Amberが演じた[7]

放送と評価[編集]

放送[編集]

「スペース・ベビー」は批評家向けの試写会が5月6日に行われた[9][10][11]

本作は第13シリーズ最終話「征服者」(2021年)以来となる、スペシャルでないエピソードである[12]。 一般出の公開は2024年5月11日であり、イギリスにおいてBBC iPlayerで公開され[13]、同日に遅れてBBC Oneでも放送された。本作は直後に公開された「悪魔のコード英語版」とともに配信された[13]

Disneyはイギリスとアイルランド以外の国での国際配信も担当した[14][15]。国際配信においても「悪魔のコード」と併せて公開された[1]

レーティング[編集]

BBC Oneでの放送において当日夜の視聴者数は約260万人であり、「悪魔のコード」を20万人上回った[16]ラジオ・タイムズ紙のルイス・グリフィンはこの低視聴者数が20時間早BBC iPlayerで放送されたことによるものであるとし、実際の視聴者数はもっと多かった可能性が高いと主張した[17]。1週間の合計視聴者数は401万人であった[18]

批評家の反応[編集]

ガーディアン紙のジャック・シールは本作を『ドクター・フー』の中で教科書的な中ランクのエピソードとし、「面白いが忘れられやすく、最終的には意味が無い」として星3の評価を付けた[11]イデンペンデント紙に寄稿したエド・パワーは、「スクリーン上で完全に実現することが決してない有望なアイデア」が本作にあるとし、星4の評価とした[19]デン・オブ・ギークに寄稿したステファン・モハメドは本作のCGIを批判した一方、本作が「時を超えた子供たち」(2020年)のプロットラインを追求して上手く料理していることを賞賛した[6]

Inverse' のBui Tran-Hoaiは本作について放棄された宇宙ステーションに忍び寄る怖ろしい生物と喋る乳児が居るひどく滑稽なSF冒険譚であるとした。また、作品の内容の多くがドクターの行動や人物像の紹介に費やされていることから、「長年のファンは基本的に親指をいじりながら良いものを待つことになる」と述べた[10]

出典[編集]

  1. ^ a b 世界最長のSFドラマ「ドクター・フー」新シリーズ開幕 15代目ドクター&コンパニオンの軽妙なやりとりが心地いい”. WEBザテレビジョン. KADOKAWA (2024年5月17日). 2024年6月9日閲覧。
  2. ^ Zhan, Jennifer (2024年5月10日). “Doctor Who Season-Premiere Recap: Babies on Board” (英語). Vulture. 2024年5月19日閲覧。
  3. ^ McEwan, Cameron K. (2024年5月9日). “‘Doctor Who’ Boss Russell T Davies Talks Space Babies, The Beatles and Cameos Ahead of Disney+ Debut” (英語). The Hollywood Reporter. 2024年5月19日閲覧。
  4. ^ Dunn, James (2024年5月9日). “‘Doctor Who’ Star Ncuti Gatwa Filmed With 20 Babies for Season Premiere: ‘They Were Little Divas’”. Variety. 2024年6月5日閲覧。
  5. ^ Prescott, Amanda-Rae (2024年5月12日). “Doctor Who’s Stars Were Freaked Out by “Horrendous, Demonic” Rubber Space Babies” (英語). Den of Geek. 2024年5月20日閲覧。
  6. ^ a b Mohamed, Stefan (2024年5月10日). “Doctor Who Series 14 Episode 1 Review: Space Babies” (英語). Den of Geek. 2024年5月20日閲覧。
  7. ^ a b Griffin, Louise (2024年5月10日). “Meet the cast of Doctor Who – Space Babies” (英語). Radio Times. 2024年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月13日閲覧。
  8. ^ Jeffrey, Morgan (2024年5月11日). “Doctor Who guest star Lenny Rush was originally cast in a different role”. Radio Times. 2024年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月11日閲覧。
  9. ^ Dowell, Ben (2024年5月6日). “Doctor Who first-look review — Space Babies and The Devil’s Chord cause mayhem” (英語). The Times. ISSN 0140-0460. オリジナルの2024年5月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20240506174725/https://www.thetimes.co.uk/article/doctor-who-first-look-tv-review-space-babies-and-the-devils-chord-cause-mayhem-z8lh6d09l 2024年5月6日閲覧。 
  10. ^ a b The Longest-Running Sci-Fi Show’s Latest Reboot Isn’t Really a Reboot” (英語). Inverse (2024年5月6日). 2024年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月6日閲覧。
  11. ^ a b Seale, Jack (2024年5月6日). “Doctor Who first look review – Ncuti Gatwa will make this show far more fun than it’s been for years” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/tv-and-radio/article/2024/may/06/doctor-who-first-look-review-ncuti-gatwa-will-make-this-show-far-more-fun-than-its-been-for-years 2024年5月6日閲覧。 
  12. ^ Belam, Martin (2024年5月11日). “Doctor Who: Space Babies and The Devil’s Chord – season one opening recap” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/tv-and-radio/article/2024/may/11/doctor-who-space-babies-devils-chord-ncuti-gatwa-millie-gibson-beatles-jinkx-monsoon 2024年5月19日閲覧。 
  13. ^ a b Mellor, Louisa (2024年4月25日). “Russell T Davies Teases Doctor Who’s “New Tradition” of Warring Gods” (英語). Den of Geek. 2024年5月2日閲覧。
  14. ^ Doctor Who season 14: Release date, trailers, episodes and latest news”. Radio Times (2024年5月11日). 2024年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年6月4日閲覧。
  15. ^ Lovette, Jamie (2024年5月10日). “Doctor Who Season 1, Episode 1 Recap With Spoilers: "Space Babies"” (英語). ComicBook.com. 2024年6月5日閲覧。
  16. ^ Griffin, Louise (2024年5月16日). “Doctor Who ratings revealed for season 14 launch after early iPlayer debut” (英語). Radio Times. 2024年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月18日閲覧。
  17. ^ Griffin, Louise (2024年5月16日). “Doctor Who's overnight ratings aren't the full story - but they still matter” (英語). Radio Times. 2024年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月18日閲覧。
  18. ^ Griffin, Louise (2024年5月20日). “Doctor Who ratings revealed for first week of season 14” (英語). Radio Times. 2024年6月3日閲覧。
  19. ^ Power, Ed (2024年5月11日). “Doctor Who: Space Babies and The Devil’s Chord review – Ncuti Gatwa is the perfect Doctor with megawatt charm” (英語). The Independent. https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/tv/reviews/doctor-who-ncuti-gatwa-recap-review-b2542244.html 2024年5月19日閲覧。