シュトゥットガルト路面電車DT8.12形電車

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シュトゥットガルト路面電車DT8.12形電車
シュトゥットガルト路面電車DT8.14形電車
シュトゥットガルト路面電車DT8.15形電車
DT8.12形(2018年撮影)
基本情報
運用者 シュトゥットガルト路面電車会社ドイツ語版
製造所 シュタッドラー・レール
製造年 2012年 - 2014年(DT8.12形)
2017年 - 2018年(DT8.14形)
2021年 - 2023年(DT8.15形)
製造数 40両(3501 - 3540、2両編成20本)(DT8.12形)
40両(3541 - 3580、2両編成20本)(DT8.14形)
40両(3581 - 3620、2両編成20本)(DT8.15形)
投入先 シュトゥットガルト・シュタットバーン
主要諸元
編成 2両編成(Mc + Mc)
軸配置 Bo'Bo' + Bo'Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750 V
架空電車線方式
最高速度 80 km/h
起動加速度 1.3 m/s2
減速度(常用) 1.5 m/s2
減速度(非常) 2.75 m/s2
編成定員 258人(着席164人)
折り畳み座席12人分
(乗客密度4人/m2時)
車両重量 55.6 t
編成長 39,110 mm
全幅 2,650 mm
全高 3,715 mm(集電装置含)
床面高さ 1,000 mm
車輪径 740 mm
発電機 DKOBZ 0610-4G
主電動機 三相誘導電動機
主電動機出力 130 kw
編成出力 1,040 kw
制動装置 回生ブレーキスプリングブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6]に基づく。
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DT8.12形は、ドイツシュタットバーンライトレール)のシュトゥットガルト・シュタットバーンで使用されている電車の1形式。増備車であるDT8.14形DT8.15形と共に使用されている。形式名をS-DT8.12形S-DT8.14形およびS-DT8.15形と呼ぶ場合もある[1][2][3][4][5][7][8]

概要[編集]

ドイツ都市シュトゥットガルトには、中心部の地下区間を含め大規模な路線網を有するシュトゥットガルト・シュタットバーンが存在し、従来の路面電車から転換されて以降DT8(S-DT8)という形式名を持つ電車が継続して導入されている。その中でDT8.12形は、乗客の増加や今後の延伸に伴う必要車両数の増加に対応するため、2010年1月スイスシュタッドラー・レールとの間に導入に関する契約が交わされたものである[9][5][10][11]

DT8.12形はシュタッドラー・レールが世界規模で展開する路面電車ライトレール向けの電車ブランドであるタンゴドイツ語版の1形式として開発が行われており、車体設計にはモジュール構造が取り入れられている。車体構造に関してはハノーファーインダストリアルデザイナーハーバード・リンディンガードイツ語版が手掛ける車体デザインや黄色を基調とした塗装、電動車による2両固定編成など従来の車両を踏襲した部分が多く、両開き式の乗降扉や台車の位置についても車両基地のジャッキに合わせ従来車両の寸法に合わせている。その一方、安全性の向上のためクラッシャブルゾーンを設けた前面形状は流線形となり、編成長は39 m級と従来車よりも長くなっている。また、前面窓も視界向上のため大型化しており、空調装置などが配置された屋根上のカバーや側面窓周りの塗装を含め車体全体で滑らかさが強調されたデザインに仕上がっている[4][12][13][14]

車内の座席は向かい合わせのクロスシートを基本としている他、車椅子ベビーカーが設置可能なフリースペースが従来の車両から増設されている。また乗降扉付近は握り棒の本数減少や位置の変更により車椅子の往来が容易となっている。運転台の構造も見直され、機器の配置を変更する事で運転の容易さを向上させている。乗降扉については両開き式のプラグドアが採用されている他、シュトゥットガルト・シュタットバーンの車両で初めて電気駆動方式となっている[4][12][14][15]

主電動機には三相誘導電動機が用いられ、各台車に2基設置されている。制動装置には回生ブレーキが用いられ、消費電力の削減が図られている。静止形インバータは1両につき2基、1編成に4基搭載されており、故障など緊急時に備え冗長性が確保されている。これらの電気機器は、急坂が多いシュトゥットガルトでの走行環境を考慮したものが採用されている[16][2][4]

2012年 - 2013年に発注分の40両(3501 - 3540、2両編成20本)が製造され、DT8.12形と言う形式名で運行に就いた。その後、2013年にはオプション権を使用し増備車の発注を行う事が決定し、2017年 - 2018年に40両(3541 - 3580、2両編成20本)がDT8.14形として導入された。更に2021年から2023年にかけても輸送力増強や延伸に備えてDT8.15形が40両(3581 – 3620、2両編成20本)導入されており、これらの車両数増加に備えた車庫の新設も予定されている[1][12][17][7][18][19]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c Die Stadtbahn - Drei Bauarten, vier Typen”. SSB (2019年5月6日). 2020年12月7日閲覧。
  2. ^ a b c Die Stadtbahn - Drei Bauarten, vier Typen”. SSB. 2015年10月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月7日閲覧。
  3. ^ a b Stadtbahn”. StadtbahnWelt. 2020年12月7日閲覧。
  4. ^ a b c d e DT 8.12 Stuttgarter Strassenbahnen AG”. Stadler Rail. 2020年12月7日閲覧。
  5. ^ a b c Andrzej Kłos (2012-12-15). “Z wizytą na targach w Berlinie InnoTrans numer 9”. PRZYSTANIK (Klub Miłośników Pojazdów Szynowych): 7-10. ISSN 1730-6388. http://www.kmps.org.pl/przystanek/pdf/przystanek125.pdf 2020年12月7日閲覧。. 
  6. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 32.
  7. ^ a b Millionen-Zuschuss für SSB”. Die Webzeitung Stuttgart (2019年5月11日). 2020年12月7日閲覧。
  8. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 1.
  9. ^ Großer Auftrag für Stadler Pankow: 20 Stadtbahnen für Stuttgart”. Stadler Rail (2010年1月29日). 2015年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月7日閲覧。
  10. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 20.
  11. ^ 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 9」『鉄道ファン』第46巻第8号、交友社、2007年2月、162-163頁。 
  12. ^ a b c Zuwachs für die gelbe Flotte – Erster Wagen der neuen Stadtbahnserie in Stuttgart eingetroffen”. SSB (2017年2月17日). 2017年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月7日閲覧。
  13. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 4.
  14. ^ a b Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 15.
  15. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 5,6,10,17,18.
  16. ^ Stuttgarter Straßenbahnen AG 2013, p. 19.
  17. ^ SSB-Bilanz 2013: Aktueller Stand und Projekte”. SSB (2014年7月2日). 2014年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月7日閲覧。
  18. ^ Keith Barrow (2014年1月13日). “Stuttgart orders more Stadler Tango LRVs”. International Railway Journal. 2020年12月7日閲覧。
  19. ^ Stadtbahnserie S-DT 8.15 ab jetzt in Stuttgart”. SSB (2021年9月6日). 2024年2月27日閲覧。

参考資料[編集]