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コロボックル物語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
コロボックル物語

著者 佐藤さとる
有川浩
イラスト 若菜珪
村上勉
日本の旗 日本
ジャンル ファンタジー児童文学童話
出版社 講談社
出版日 1959年8月28日 - 2015年10月27日
巻数 7巻

コロボックル物語』(コロボックルものがたり)は、佐藤さとる有川浩によるファンタジー小説のシリーズ。
シリーズ累計発行部数は、380万部を記録している(2021年7月時点[1])。

概要

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神と人間の中間の存在とされる「コロボックル」[2]と、人間との交流を描いた小説。

「コロボックル」とは身長3cmほどの種族。非常に敏捷で、人間から身を隠して生きており、人前にはアマガエルのスーツを着て姿を現す。優れた知恵を持ち、人間には聞き取れないほどの早口で喋る。それぞれ樹木の名を冠した名前を持ち、男性は「○○ノヒコ」、女性は「○○ノヒメ」という名前になる。

佐藤はアイヌの伝承に登場する小人「コロポックル」、日本神話に登場する少彦名命、さらに知人から聞いた小さく敏捷な魔物「ポックリさん」を組み合わせて「コロボックル」を創造した[3]

略歴

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1959年3月に佐藤が自費出版した『だれも知らない小さな国』に端を発する。師匠の平塚武二の助言で私家版を各所に送付したところ、同年8月に講談社より出版されることとなった[4]

当初は若菜珪による挿絵が描かれていたが、第2作『豆つぶほどの小さないぬ』(1962年)での画風の変化を受け佐藤は新たな画家を捜し、村上勉と出会う。3作目『星からおちた小さな人』(1965年)は村上が挿絵を担当したが、佐藤は挿絵に満足せず、議論の末に現代的なデザインに改められた。以降は過去作の文庫本化なども含め、村上が一手に挿絵を手がけることとなる。

1971年発表の第4作『ふしぎな目をした男の子』をもって、シリーズは一度終了(ただし翌年にコロボックルの童話を1編発表している)。しかし、ファンから続編の要望が多く寄せられ、その返事として第5作『小さな国のつづきの話』(1983年)を発表、あらためてシリーズを完結させた。その後、コロボックルの過去のエピソードとして、1987年に特別巻『小さな人のむかしの話』(その後『コロボックルむかしむかし』に改題)を発表。2010年よりシリーズの復刊が行われた際には、村上がカバー挿画を描き下ろしたものの、村上も「これでコロボックルを描くのはもう終わり」と宣言した[5]2013年には私家版『だれも知らない小さな国』の復刻版に、佐藤が特別付録「コロボックル物語・番外編 ブドウ屋敷文書の謎」を書き下ろし[6]、これが佐藤による最後のシリーズ作品となった(佐藤は2017年に逝去[7])。

完結時より佐藤はコロボックル物語を「オープンエンド」と称し、ルールさえ守れば誰が続きを書いても構わないとしてきたが、2011年に有川浩との対談の席上で、佐藤が有川に執筆を打診[8]2014年の有川による掌編『コロボックル絵物語』を経て、2015年に長編『だれもが知ってる小さな国』が発表された。またシリーズが継続したことを受け、村上も「引退宣言」を撤回し挿絵を担当した[5]

シリーズ作品

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長編

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童話

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  • コロボックルそらをとぶ(1971年)
  • トコちゃんばったにのる(1971年)
  • コロボックルふねにのる(1971年)
  • そりにのったトコちゃん(1972年)

短編

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  • ヒノキノヒコのかくれ家
  • 人形のすきな男の子
  • 百万人にひとり
  • へんな子
  • コロボックル物語・番外編 ブドウ屋敷文書の謎(2013年) - 私家版『だれも知らない小さな国』復刻版特別付録。
  • コロボックル絵物語(2014年)

その他

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  • コロボックル童話集(1983年) - 短編集。産経新聞や「ワンダーブック」(世界文化社)などに発表した短編や、前述の童話などを収録。
  • コロボックルの世界へ(2015年) - 佐藤の監修によるコロボックル物語のガイドブック。
  • コロボックルの小さな画集(2015年) - 村上による描き下ろしイラストと文による画集。
  • コロボックル ぬりえ(2017年) - 村上による描き下ろしイラストを収録した塗り絵

テレビアニメ

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脚注

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  1. ^ 特集ワイド:「コロボックル」シリーズ 佐藤さとるさん作品 コロナ下で静かなブーム 世代超え、変わらぬ世界」『ニュースサイト「毎日新聞」』(東京夕刊)、毎日新聞社、2021年7月2日。2025年3月29日閲覧
  2. ^ 柴田こずえ「第四章 コロボックルの世界を届ける」『コロボックルの世界へ』監修:佐藤さとる、講談社、2015年11月25日、112頁。ISBN 9784062197908 
  3. ^ 柴田こずえ「第四章 コロボックルの世界を届ける」『コロボックルの世界へ』監修:佐藤さとる、講談社、2015年11月25日、119頁。ISBN 9784062197908 
  4. ^ 大藤幹夫: “だれも知らない小さな国”. 財団法人大阪国際児童文学館 日本の子どもの本100選 1946年-1979年. 大阪国際児童文学館. 2025年3月29日閲覧。 “講談社:1959年8月28日発行 / 書影あり。”
  5. ^ a b コロボックル物語特設ページ 村上勉インタビュー”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社文庫. 2021年9月20日閲覧。
  6. ^ 佐藤さとるさん「コロボックル物語」第1作の私家版復刻」『産経新聞産経新聞社、2013年5月1日。2021年9月20日閲覧。
  7. ^ 児童文学作家の佐藤さとるさん死去「コロボックル物語」」『朝日新聞朝日新聞社、2017年2月17日。2021年9月20日閲覧。
  8. ^ コロボックル物語特設ページ 佐藤さとる×有川浩 対談”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社文庫. 2021年9月20日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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