1SWASP J140747.93-394542.6

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1SWASP J140747.93-394542.6
正しい比率で描かれた1SWASP J1407とJ1407bの模式図。J1407bの環も含む。
正しい比率で描かれた1SWASP J1407とJ1407bの模式図。J1407bの環も含む。
星座 ケンタウルス座
視等級 (V) 12.31[1][2]
変光星型 おうし座T型/回転 + 食変光星[3]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 14h 07m 47.93s[1]
赤緯 (Dec, δ) -39° 45′ 42.72″[1]
視線速度 (Rv) 6.91 ± 0.04 km/s[4]
固有運動 (μ) 赤経: -25.4 ± 1.4 ミリ秒/[1]
赤緯: -20.1 ± 3.5 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 7.52 ± 0.68 ミリ秒[4]
距離 434 ± 39 光年
(133 ± 12 パーセク[5]
物理的性質
半径 0.99 ± 0.11 R[4]
質量 0.9 M[5]
自転周期 3.21 ± 0.01 [5]
スペクトル分類 K5 IV(e)[1]
光度 0.33 ± 0.07 L[4]
赤道傾斜角 68 ± 10°[4]
表面温度 4,400 ± 100 K[4]
年齢 1.6 ×107[1]
別名称
別名称
ケンタウルス座V1400星, ASAS J140748-3945.7, GSC 07807-00004, 2MASS J14074792-3945427.
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1SWASP J140747.93-394542.6(しばしば1SWASP J140747またはJ1407と略される。以下、特記しない限り、J1407と総称する)は、地球から見てケンタウルス座の方向に約434光年離れた位置にある前主系列星である。見かけの明るさは12.3等級で、観測には望遠鏡が必要となる[2]

2012年、J1407のまわりに少なくとも1つ、巨大ガス惑星褐色矮星と思われる伴天体(1SWASP J140747.93-394542.6b1SWASP J1407b[6]J1407bと呼ばれる。以下、J1407bと総称する)が存在する、と発表された[1]。この伴天体には、巨大な環が存在していることもわかった[1][5]

命名[編集]

スーパーWASP計画における観測対象の1つで、3.21周期で0.1等級程度する変光ことがわかっていたが、2007年4月に突如として光度が大きく低下し、最大で3等級以上暗くなった[1]。減光は56日にわたって続いた。この特異な変光の検出を受け、スーパーWASP(SuperWASP)の第1次データ公表による結果であることと、天体の赤経赤緯とから、"1SWASP J140747.93-394542.6"と呼ばれることになった。 その後、変光星名が付与され、ケンタウルス座V1400星とも呼ばれるようになった[7]

特徴[編集]

大きさの比較
太陽 1SWASP J1407
太陽 Exoplanet

J1407は、さそり座-ケンタウルス座OBアソシエーションの一員と考えられる。太陽の約90%の質量を持ち、年齢は1600万年とかなり若い[1][8]半径は太陽とほぼ同じくらいである[4]分光観測によれば、J1407はリチウムが豊富で、ナトリウムスペクトルを見ると主系列星より弱いので、スペクトル分類上は準巨星とされている[1]

明るさは、3.21日周期で正弦関数的に0.1等級程度変化しているが、これは若い恒星によくある、黒点が自転とともに変化することによるものと考えられている[1]

惑星系[編集]

衛星から見たJ1407 bの想像図。

2007年4月から5月にかけての特異な減光を報告した、ロチェスター大学天文学者エリック・ママジェクらのチームはこの現象を、何らかの天体(J1407b)の通過によってが起きたと推測した。減光のし方が緩やかで、しかも明るくなったり暗くなったりを繰り返しながら底を打っていることから、食を起こした天体は土星のような環を持つと予想された[1][8]

J1407bは、公転軌道が仮に円軌道であるとすると、母星の周りを約11年(誤差を含めば3.5~13.8年)で公転し、質量は木星の13.6~26.1倍と予想される[4]。ただし、J1407bの公転軌道は細長い楕円軌道の可能性があり、その場合は公転周期13.3年、質量が木星の23.8倍というのがもっともらしくなる。

J1407bは、半径およそ9000万km(0.6AU土星の環の200倍)に渡って広がる、37本からなる環を持っており[9]、そのため"Saturn on Steroids"[10]や「スーパーサターン(Super Saturn)」[11]などとも呼ばれている。J1407bは、環を持つ天体による食が検出された最初の例である。環の中には、J1407bからおよそ6100万km(0.4AU)の距離に、幅400万km程度の、土星の環に類似した隙間が確認されている。この隙間は、質量が0.8M以下の天体(太陽系外衛星)がJ1407bの周りを公転していれば説明できるとされる[9]。J1407bは、惑星の周りの円盤から衛星が作られるところをとらえた初めての例ともみられる[11]

J1407bの環がどの程度安定して存在できるかを、数値計算で検証した結果、10万年経過後も観測されたような大きな環が存続できるのは、環が公転に対して逆行している場合だけであることがわかった[12]

地球から観測した場合、J1407bの環は9.0ミリ秒に渡って見える。ちなみに、仮に土星がJ1407bと同じ距離にあるとした場合、土星の環は0.05ミリ秒に渡って見えるであろう。

1SWASP J140747.93-394542.6の惑星[4][12]
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
1SWASP J1407b 14.0 - 23.8 MJ 5.0 4,860 - 10,000 > 0.5

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n Mamajek, Eric E.; et al. (2012-03-12), Planetary Construction Zones in Occultation: Discovery of an Extrasolar Ring System Transiting a Young Sun-like Star and Future Prospects for Detecting Eclipses by Circumsecondary and Circumplanetary Disks, 143, p. 72, Bibcode2012AJ....143...72M, doi:10.1088/0004-6256/143/3/72 
  2. ^ a b ASAS J140748-3945.7 -- Pre-main sequence Star”. SIMBAD. CDS. 2015年9月25日閲覧。
  3. ^ VSX: Detail for V1400 Cen”. AAVSO. 2017年6月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i Kenworthy, Matthew A.; et al. (2015-01), “Mass and period limits on the ringed companion transiting the young star J1407”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 446 (1): 411-427, arXiv:1501.05652, Bibcode2015MNRAS.446..411K, doi:10.1093/mnras/stu2067 
  5. ^ a b c d van Werkhoven, T. I. M.; Kenworthy, M. A.; Mamajek, E. E. (2014-07), “Analysis of 1SWASP J140747.93-394542.6 eclipse fine-structure: hints of exomoons”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 441 (4): 2845-2854, Bibcode2014MNRAS.441.2845V, doi:10.1093/mnras/stu725 
  6. ^ Planet 1SWASP J1407 b”. 太陽系外惑星エンサイクロペディア. 2015年9月26日閲覧。
  7. ^ Kazarovets, E. V.; et al. (2015-10-27), “The 81st Name-List of Variable Stars. Part I - RA 00h to 17h30m”, Information Bulletin on Variable Stars 6151: 1, Bibcode2015IBVS.6151....1K 
  8. ^ a b Eclipsing Ring System J1407”. CTIO (2015年6月22日). 2015年9月25日閲覧。
  9. ^ a b Kenworthy, M. A.; Mamajek, E. E. (2015-02), “Modeling Giant Extrasolar Ring Systems in Eclipse and the Case of J1407b: Sculpting by Exomoons?”, Astrophysical Journal 800 (2): 126, Bibcode2015ApJ...800..126K, doi:10.1088/0004-637X/800/2/126 
  10. ^ O'Neill, Ian (2012年1月12日). “'Saturn on Steroids' Exoplanet Discovered?”. Discovery news. 2015年9月26日閲覧。
  11. ^ a b 土星の200倍、巨大な環を持つ系外惑星”. AstroArts (2015年1月27日). 2017年6月21日閲覧。
  12. ^ a b Rieder, Steven; Kenworthy, Matthew A. (2016-11), “Constraints on the size and dynamics of the J1407b ring system”, Astronomy and Astrophysics 596: A9, Bibcode2016A&A...596A...9R, doi:10.1051/0004-6361/201629567 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 星図 14h 07m 47.93s, −39° 45′ 42.72″