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クルト (食品)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タジキスタンで販売されているクルト

クルート(ラテン文字: Qurut、タジク語: қурут、キルギス語: курут、[qurút]、トルコ語: kurut、アゼルバイジャン語: qurut)、クルト(カザフ語: құрт、[qʊrt]、タタール語: Корт、[qʊrt]、ペルシア語: کشک カシュク、モンゴル語: ааруул アールール [ɑːrʊɮ])は主に中央アジアで食されているチーズの一種である。

表記の揺れ

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クルト/クルートは複数言語圏で用いられ、転写(ラテン文字化)や表記の揺れが見られる(例:qurut、kurut など)。また、ペルシア語圏では同系統の乾燥発酵乳製品を指す呼称としてکشک(kašk、カシュク)が用いられ、現代用法では主として「乾燥ヨーグルト(乾燥発酵乳)」を指す語として整理されている。[1]。。

さらに、ペルシア語のلچ(lač、ラッチ)は、地域や文脈により指す対象が一定しない呼称として扱われることがある。たとえばイラン北東部トゥラーン地方の牧畜乳加工の例では、ドゥーグ(攪拌したヨーグルト飲料)を煮詰めて濃縮した段階の産物を「lach」とし、これを成形・乾燥して得られる乾燥乳製品(qorut)と区別して示している[2]。また、カシュク等の名称については、旧資料と近代資料の間でも命名が一致しないなど、名称と指示対象の対応関係が複雑であることが指摘されている[1]。このため、本項ではلچを「クルト(乾燥乳製品)」の一律の同義語とはせず、地域的呼称の一つとして扱う。

製法

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クルトはスズマ(ロシア語版)やタラグ(モンゴル語版)などと呼ばれる脱水したサワーミルクやヨーグルトをさらに乾燥させて作る。形は球状に丸めたものや短冊型にしたもの、塊に整形したものなど様々である。時に塩を加えることもあり、中華人民共和国内の内モンゴル自治区では味と香りをつけてキャンディとして配布されることもある。

イランでは、サワーミルクを撹拌してバターを取り出した後に残ったドゥーグ(バターミルク)をさらに撹拌し、固形分を乾燥させたものがカシュクであり、さらに残ったホエーを加熱濃縮して得られる黒褐色の製品は、qara qorut(「黒いカシュク」)として知られる[3]。これらはスープやソース等の風味付けに用いられる[4]。

語源

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クルト(qurut/kurut)はテュルク諸語の動詞語幹 *quru-*(「乾いた」)に由来する派生形(「乾かす/乾燥させる」)として、乾燥発酵乳(乾燥カード)を指す語として説明される[5][6]。一方、ペルシア語のkašk(カシュク)は歴史的に穀物系の用法も含む複合的な語史を持ち、現代ペルシア語では主として乾燥ヨーグルト(乾燥発酵乳)を指す語として整理されている[7]。

使用

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ゲルの屋根でアールールを日干しにする

クルトはそのまま食べるが、調理して食べることもあり、例としては水で戻してヨーグルト状にして食べる。アゼルバイジャン西部地域では、クルトを手で水に溶かして使用することが多く、アゼルバイジャンのラザニアタイプの伝統料理であるホンゴル(xəngəl)にも使用される。水で戻したクルトはタジキスタン、アフガニスタン、イランで見られるペルシア系の伝統料理クルターブ(英語版)の重要な素材となる。

カシュクを利用したイラン料理には、キャシュコ・バーデンジャーン・クービーデ(کشک بادنجان کوبیده、ナスと水で戻したカシュクのペースト)[8]やキャシュケ・バーデンジャーン(کشک بادنجان、油で焼いたナスとカシュクのソースのキャセロール)[9]などがある。

アフガニスタン料理の主菜の一つにキチュリー・クルート(کچری قروت Kichree Qurut)があり、水で戻したクルートを塩、おろしニンニク、少量の唐辛子で調味し、肉のコルマや煮込んだコフタを添え、リョクトウと米の粥キチュリー(英語版)にかけて食べる[10]。また、水で戻したクルートにニンニク、塩、コショウを加えて煮立てたものをクルーティー(قروتی)と呼び、乾燥したミントをふりかけてナーンにつけて食べる[11]。

関連項目

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脚注

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  1. 1 2 “KAŠK”. Encyclopaedia Iranica. 2026年3月2日閲覧。
  2. ↑ Martin, Mary (1980). “Milk and Firewood in the Ecology of Turan”. Expedition 22 (4): 24-25 2026年3月2日閲覧。.
  3. ↑ “KAŠK”. Encyclopaedia Iranica. 2026年2月28日閲覧。
  4. ↑ Najmieh Batmanglij (2001). New Food of Life: Ancient Persian and Modern Iranian Cooking and Ceremonies. Mage. p. 374. ISBN 0-934211-34-5
  5. ↑ “601-700 (Clauson, An Etymological Dictionary of Pre-Thirteenth-Century Turkish)”. 2026年2月28日閲覧。
  6. ↑ “kurut - Nişanyan Sözlük”. 2026年2月28日閲覧。
  7. ↑ “KAŠK”. Encyclopaedia Iranica. 2026年2月28日閲覧。
  8. ↑ Batmanglij 2001, p. 20.
  9. ↑ Batmanglij 2001, p. 86.
  10. ↑ Helen Saberi (2000). Afghan Food & Cookery. Hippocrene. p. 173-74. ISBN 0-7818-0807-3
  11. ↑ Helen Saberi (2000). Afghan Food & Cookery. Hippocrene. p. 40. ISBN 0-7818-0807-3

外部リンク

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  • “Kurt (Kurut)”. The Cabinet, University of Oxford. 2026年2月28日閲覧。