コンテンツにスキップ

キタマクラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
キタマクラ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物 Chordata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: フグ目 Tetraodontiformes
: フグ科 Tetraodontidae
: キタマクラ属 Canthigaster
: キタマクラ C. rivulata
学名
Canthigaster rivulata
Temminck & Schlegel1850
英名
brown-lined puffer

キタマクラ(北枕、Canthigaster rivulata)は、フグ科の一種。インド太平洋に分布する。皮膚の粘膜などに強い毒を持つ。

名称

[編集]

和名の「キタマクラ」は猛毒を持つ魚であることから、死者を安置する時の北枕に由来するとされる[2][3][4]八丈島では「イソネズミ」と呼ばれている[5]

分布と生息地

[編集]

インド太平洋に広く分布し、分布域は東アフリカからハワイ近海にかけて、北は南日本、南はオーストラリアまで広がる[6]。日本近海では、福島県以南の太平洋岸、九州西岸、伊豆諸島琉球列島小笠原諸島で見られる[7][注釈 1]。水深100m未満、特に30m未満の浅場に棲息し、サンゴ礁岩礁藻場で見られる[6][2]

形態

[編集]

体長は15 - 20cmに達する。体側面には2本の暗色の縦帯が入り、鰓穴の前部で繋がっている。腹部の帯は薄いか、存在しない。腹部と尾柄には暗色の斑点があり、尾鰭には暗色の縞模様が入る[6]

生態

[編集]

雑食性で、主に海藻棘皮動物軟体動物を捕食する[7]。普段は単独で生活している。卵生であり、夏の繁殖期には雄の体に青い婚姻色が現れる[9]

毒性

[編集]

筋肉卵巣は無毒だが、内臓肝臓精巣、特に皮膚を覆う粘液テトロドトキシンが含まれている[3][10]

人間との関わり

[編集]

釣りにおいては外道として扱われる[2][4]。食用は可能ではあるが、適してはいないという意見や[2][3]、有毒ゆえに食用にはできない[4]という意見もある。飼育は可能だが、皮膚の粘液に毒がある為取り扱いには注意が必要。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ ただし、2019年の朝日新聞の記事では、2017年~2018年ごろに茨城県沿岸で見つかったケースが紹介されている[8]

出典

[編集]
  1. ^ Shao, K.; Liu, M.; Jing, L.; Hardy, G.; Leis, J.L.; Matsuura, K. (2014). Canthigaster rivulata. IUCN Red List of Threatened Species 2014: e.T193705A2263281. doi:10.2305/IUCN.UK.2014-3.RLTS.T193705A2263281.en. https://www.iucnredlist.org/species/193705/2263281 6 February 2024閲覧。. 
  2. ^ a b c d キタマクラ”. ぼうずコンニャク. 2020年10月7日閲覧。
  3. ^ a b c 近藤俊 (2020年6月19日). “「食べたら死ぬ」で知られる『キタマクラ』は素手で触ることもダメ?”. TSURINEWS. 2020年10月7日閲覧。
  4. ^ a b c キタマクラの特徴”. 本田技研工業. 2020年10月7日閲覧。
  5. ^ 三重)ネズミの名がつく魚たち集合 志摩マリンランド:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2019年12月17日). 2021年6月27日閲覧。
  6. ^ a b c Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Canthigaster rivulata" in FishBase. February 2024 version.
  7. ^ a b 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』481頁
  8. ^ 南方の魚、茨城沿岸に続々 漁師困惑「名前分からない」:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2019年2月28日). 2021年6月27日閲覧。
  9. ^ 荒井寛、藤田矢郎「キタマクラの水槽内産卵と卵発生・仔魚」『魚類学雑誌』第35巻、1988年、194-202頁。 
  10. ^ 仲谷正、清水充、山野哲夫「キタマクラ(Canthigaster rivulata)中のテトロドトキシン(TTX),および麻痺性貝毒(PSTs)の含有量と組成について」『食品衛生学雑誌』第57巻、2016年、51-56頁。 

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]