エア・トランザット961便事故
2004年にマンチェスター国際空港で撮影された事故機 | |
事故の概要 | |
---|---|
日付 | 2005年3月6日 |
概要 | 疲労破壊による方向舵の脱落 |
現場 | キューバ バラデーロ ファン・グアルベルト・ゴメス空港 |
乗客数 | 262 |
乗員数 | 9 |
負傷者数 | 0 |
死者数 | 0 |
生存者数 | 271 (全員) |
機種 | エアバスA310-308 |
運用者 | エア・トランザット |
機体記号 | C-GPAT[1] |
出発地 | ファン・グアルベルト・ゴメス空港 |
目的地 | ケベック・ジャン・ルサージ国際空港 |
エア・トランザット961便事故(エア・トランザット961びんじこ)は、2005年3月6日に発生した航空事故である。ファン・グアルベルト・ゴメス空港発ケベック・ジャン・ルサージ国際空港行きだったエア・トランザット961便(エアバスA310-308)の方向舵が疲労破壊により飛行中に脱落した。パイロットはファン・グアルベルト・ゴメス空港への緊急着陸に成功し、乗員乗客271人は全員無事だった。2018年10月時点で事故機は、エア・トランザットで運用されている[2][3]。
調査の結果、方向舵の検査手順が適切ではなかったと結論付けられた[4]。事故後、機体の複合構造への検査手順が変更された。
事故の経緯
[編集]961便はEST2時48分にファン・グアルベルト・ゴメス空港を離陸した。機体は巡航高度の35,000フィート (11,000 m)に達し、客室乗務員が機内サービスを開始した。3時02分に機体が突然激しく揺れ、ダッチロールに陥り上昇し始めた。パイロットはフォートローダーデール・ハリウッド国際空港へ緊急着陸を行おうとしたが、エア・トランザットのオペレーションセンターはファン・グアルベルト・ゴメス空港へ引き返すことを勧めた。コックピットでは警報は何も作動しておらず、方向舵やヨーダンパーに問題があると考えられた。4時19分に961便は緊急着陸に成功した。駐機場でパイロットらは外部点検を行った。それにより、垂直尾翼から方向舵が脱落していることに気付いた[4]。
事故調査
[編集]異常が発生してから着陸するまでの時間が長かったため、フライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーは問題が起きた瞬間のデータを記録していなかった。調査委員会は事故機の方向舵に疲労亀裂が生じ、飛行中に方向舵が脱落したと結論付けた。A310の尾部は、疲労の成長を食い止めるような構造にはなっていなかった[4]。
カナダ交通安全委員会は、複合材料を用いていたA310の方向舵検査が不十分であったと結論付けた[5]。そのため、方向舵自体の耐久強度も疑問視された。961便の事故は、エアバスA300-600/-600RやエアバスA310の方向舵の問題について警鐘を鳴らす契機となった。
事故後
[編集]事故機は2018年10月現在もエア・トランザットに在籍している[2][3]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ "Canadian Civil Aircraft Register (C-GPAT)". Transport Canada.
- ^ a b “Canadian Civil Aircraft Register: Aircraft History Details”. Transport Canada (2009年11月18日). 2017年1月17日閲覧。
- ^ a b “Flight Activity History (C-GPAT)”. FlightAware.com (2017年1月17日). 2017年1月17日閲覧。
- ^ a b c “Report Number A05F0047”. Transportation Safety Board of Canada (TSB) (2007年11月22日). 2008年8月26日閲覧。
- ^ “Airbus inspection program inadequate at time of incident: Board”. Toronto Star. (November 23, 2007)