「海洋物理学」の版間の差分

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== 概要 ==
記述海洋物理学に用いられる海洋観測は多岐にわたり、[[海洋化学]]、[[海洋生物学]]とも重なる部分がある。観測船([[みらい]]などの研究船による観測航海や[[商船]]などの篤志観測船(Voluntary Observing Ship、略称:VOS)による観測)、漂流・固定[[ブイ]]による現場観測が主流であったが技術的発展により様々な観測方法が提案され、海洋光学([[光学]]の応用)、海洋音響学([[音響学]]の応用)、[[衛星海洋学]]([[人工衛星]]による[[リモートセンシング]]の応用)などの[[サブ]][[カテゴリ]]が存在する。
記述海洋物理学に用いられる海洋観測は多岐にわたり、[[海洋化学]]、[[海洋生物学]]とも重なる部分がある。観測船([[みらい]]などの研究船による観測航海や[[商船]]などの[[篤志観測船]]({{Lang-en-short|Voluntary Observing Ship}}、略称:{{Lang|en|VOS}})による観測)、漂流・固定[[ブイ]]による現場観測が主流であったが技術的発展により様々な観測方法が提案され、海洋光学([[光学]]の応用)、海洋音響学([[音響学]]の応用)、[[衛星海洋学]]([[人工衛星]]による[[リモートセンシング]]の応用)などの[[サブ]][[カテゴリ]]が存在する。


理論海洋物理学(海洋力学)は、[[気象力学]]とともに[[地球流体力学]]の一部分をなし、[[流体力学]]、[[熱力学]]などを基礎とした[[応用科学]]である。[[計算物理学]]の一分野としても発展しており、多くの[[海洋数値モデル]][[プログラム (コンピュータ)|プログラム]](ほとんどは[[差分法]]による[[微分方程式]]の[[数値積分]]によって解かれ、[[有限要素法]]・[[境界要素法]]によるものは稀)が[[GNU General Public License|GPL]]などの[[ライセンス]]によって公開されている。近年では[[地球シミュレーター]]などの[[計算機]]の発展により、現実的な海洋に極めて近い状態を[[シミュレート]]できるまでに至っているが、混合の[[パラメタリゼーション]]などの課題も多く残されている。
理論海洋物理学(海洋力学)は、[[気象力学]]とともに[[地球流体力学]]の一部分をなし、[[流体力学]]、[[熱力学]]などを基礎とした[[応用科学]]である。[[計算物理学]]の一分野としても発展しており、多くの海洋数値モデル[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]](ほとんどは[[差分法]]による[[微分方程式]]の[[数値積分]]によって解かれ、[[有限要素法]]・[[境界要素法]]によるものは稀)が[[GNU General Public License|GPL]]などの[[ライセンス]]によって公開されている。近年では[[地球シミュレーター]]などの[[計算機]]の発展により、現実的な海洋に極めて近い状態を[[シミュレート]]できるまでに至っているが、混合のパラメタリゼーションなどの課題も多く残されている。

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* [http://www.st.hirosaki-u.ac.jp/~earthenv/ 弘前大学理工学部地球環境学科]
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2012年5月9日 (水) 06:09時点における版

津波メカニズム研究も海洋物理学の対象

海洋物理学(かいようぶつりがく、: physical oceanography[1])とは、黒潮親潮がどこをどのように流れているかなど、海洋物理的な条件・状態及び運動を記述・研究する学問である。海洋物理学は「記述海洋物理学」(記述海洋学)と「理論海洋物理学」から構成され、前者の目的は海洋観測による海洋の状態、変動、物質分布の解析および記述であり、後者の目的はそのメカニズムを説明する理論・数値モデルを構築することにある。

概要

記述海洋物理学に用いられる海洋観測は多岐にわたり、海洋化学海洋生物学とも重なる部分がある。観測船(みらいなどの研究船による観測航海や商船などの篤志観測船: Voluntary Observing Ship、略称:VOS)による観測)、漂流・固定ブイによる現場観測が主流であったが、技術的発展により様々な観測方法が提案され、海洋光学(光学の応用)、海洋音響学(音響学の応用)、衛星海洋学人工衛星によるリモートセンシングの応用)などのサブカテゴリが存在する。

理論海洋物理学(海洋力学)は、気象力学とともに地球流体力学の一部分をなし、流体力学熱力学などを基礎とした応用科学である。計算物理学の一分野としても発展しており、多くの海洋数値モデルプログラム(ほとんどは差分法による微分方程式数値積分によって解かれ、有限要素法境界要素法によるものは稀)がGPLなどのライセンスによって公開されている。近年では地球シミュレーターなどの計算機の発展により、現実的な海洋に極めて近い状態をシミュレートできるまでに至っているが、混合のパラメタリゼーションなどの課題も多く残されている。

脚注

  1. ^ 文部省編『学術用語集 海洋学編』日本学術振興会、1981年。ISBN 4-8181-8154-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 

関連項目

外部リンク