「気体定数」の版間の差分

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'''気体定数'''('''きたいていすう''')は[[熱力学]]の[[定数]]で、大文字の ''R'' で表される<ref name="atkins">{{cite book|和書 | title=アトキンス物理化学| publisher=[[東京化学同人]] | author=Atkins, P. W. | year=2001 | isbn=4-8079-0529-5| edition=第6版|volume=上|others=千原秀昭・中村亘男訳|page=20}}</ref>。
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==導出==

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1[[物質量|モル]]の[[理想気体]]において、[[ボイル=シャルルの法則]]より
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は一定に保たれる。この定数を気体定数という。従って、[[アボガドロの法則]]より、定圧定温下では体積は物質量に比例するから、''n'' [[物質量|モル]]の場合
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が成り立つ。
なお気体定数は、[[ボルツマン定数]] ''k'' の[[アボガドロ定数]] ''N''<sub>A</sub> 倍に等しい。


==定数値==
== 定数値 ==
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[[国際単位系|SI単位]]に基づく気体定数の[[科学技術データ委員会]](CODATA)推奨値が[[アメリカ国立標準技術研究所]](NIST)により公表されている<ref>[http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?r molar gas constant]</ref>。
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== 脚注 ==
[[SI単位]]による数値は以下の通り<ref name="atkins" />。
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*8.31447×10<sup>3</sup> '''[[パスカル|Pa]] [[リットル|L]] K <sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup>'''
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*8.31447×10<sup>-2</sup> '''[[リットル|L]] [[バール (単位)|bar]] K <sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup>'''
<!-- == 参考文献 == {{Cite book}}、{{Cite journal}} -->
*8.20574×10<sup>-2</sup> '''L [[気圧|atm]] K <sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup>'''
*6.23637×10 '''L [[Torr]] K <sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup>'''
*1.98721 '''[[カロリー|cal]] K <sup>-1</sup> mol<sup>-1</sup>'''


==その他==
== 関連項目 ==
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[[定圧モル比熱]]と[[定積モル比熱]]では前者のほうが大きく、その差は ''R'' に等しい。(→[[マイヤーの関係式|マイヤーの法則]])
* [[理想気体の状態方程式]]


<!-- == 外部リンク == {{Cite web}} -->
なお、''R'' の由来については諸説あり明確ではないが、ラテン語の「定数」を意味する"'''R'''atio"に由来する説が有力である<ref>[http://sci.la.coocan.jp/fchem/log/rika/5111.html 気体定数Rの由来について]</ref>。


{{Physics-stub}}
気体定数の測定法としては、低圧の領域で状態方程式から計算する方法もあるが、低圧で[[音速]]測定を行い、そこから求めるほうが正確に得られる<ref name="atkins" />。

== 出典 ==
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==関連項目==
*[[理想気体の状態方程式]]


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2012年2月27日 (月) 07:37時点における版

気体定数(きたいていすう、: gas constant[1])は、熱力学定数で、大文字の R で表される[2]。なお、R の由来については諸説あり明確ではないが、ラテン語の「定数」を意味する"Ratio"に由来する説が有力である[3]

定圧モル比熱定積モル比熱では前者のほうが大きく、その差は R に等しい。(→マイヤーの法則

気体定数の測定法としては、低圧の領域で状態方程式から計算する方法もあるが、低圧で音速測定を行い、そこから求めるほうが正確に得られる[2]

導出

1モル理想気体において、ボイル=シャルルの法則より

P:圧力、V:体積、T:絶対温度

は一定に保たれる。この定数を気体定数という。従って、アボガドロの法則より、定圧定温下では体積は物質量に比例するから、n モルの場合

となる。よって、理想気体の状態方程式

が成り立つ。なお、気体定数は、ボルツマン定数 kアボガドロ定数 NA 倍に等しい。

定数値

SI単位に基づく気体定数の科学技術データ委員会(CODATA)推奨値がアメリカ国立標準技術研究所(NIST)により公表されている[4]

8.314 4621(75) J K-1 mol-1 (2010年CODATA)

非SI単位による数値は以下の通り[2]

  • 8.31447×103 Pa L K -1 mol-1
  • 8.31447×10-2 L bar K -1 mol-1
  • 8.20574×10-2 L atm K -1 mol-1
  • 6.23637×10 L Torr K -1 mol-1
  • 1.98721 cal K -1 mol-1

脚注

  1. ^ 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 
  2. ^ a b c P. W. Atkins 著、千原秀昭中村亘男 訳『アトキンス物理化学 上』(第6版)東京化学同人、2001年、20頁。ISBN 4-8079-0529-5 
  3. ^ 気体定数Rの由来について
  4. ^ molar gas constant

関連項目