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[[ファイル:Ogata Daikokuten.jpg|thumb|220px|[[尾形光琳]] 『大黒図』<br />[[1705年]]([[宝永]]2年)]]
[[ファイル:Ogata Daikokuten.jpg|thumb|220px|[[尾形光琳]] 『大黒図』<br />福袋と米俵を背負い、右手に打出小槌、左手に竹の杖を持った[[大黒天]]。紙本[[水墨画|墨画]]。[[1705年]]([[宝永]]2年)頃の作。[[上野理一]]旧蔵、[[MIHO MUSEUM]]所蔵。<ref>{{Cite web |date~2009 |title=大黒図(尾形光琳筆)|url=http://www.miho.or.jp/booth/html/artcon/00001200.htm |work=(公式ウェブサイト)|publisher=MIHO MUSEUM |accessdate=2012-01-25}}</ref>]]
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[[ファイル:Fukubukuro62.JPG|thumb|220px|駅前にて売り出される、福袋<br />手さげ袋(''cf.'' [[袋#紙袋]])に複数の異なる品が同封され、通常より低価格で販売される。[[島根県]][[出雲市]]は[[出雲市駅]]前のツインリーブスホテル出雲にて、2006年1月2日撮影。]]


'''福袋'''(ふくぶくろ)は、広義には、福([[幸福]]、[[運|幸運]])が入っている[[袋]]のことを指す、古来の[[日本語]]。また、今様の狭義では、[[近代|近現代]]の[[日本]]における<!--WP:POV-->[[商業|商]][[習慣]]の一つを指す。
'''福袋'''(ふくぶくろ)は、広義には、福([[幸福]]、[[運|幸運]])が入っている[[袋]]のことを指す、古来の[[日本語]]。また、今様の狭義では、[[近代|近現代]]の[[日本]]における<!--WP:POV-->[[商業|商]][[習慣]]の一つを指す。


== 古来の福袋 ==
== 古来の福袋 ==
古来、日本で言う'''福袋'''は、福(幸福、幸運)が入っている袋のことで、代表的なものは、[[福天|福の神]]である[[大黒天]]が[[うちでのこづち|打出小槌(うちでのこづち)]]・[[俵|米俵]]とともに携えている大きな布袋である(■右上の画像を参照のこと)。また、[[隠れ里]]に暮らす[[ネズミ|鼠]]たちが隠し持っていたりする宝物入りの布袋なども福袋と呼ばれることが多い。
古来、日本で言う'''福袋'''は、福(幸福、幸運)が入っている袋のことで、代表的なものは、[[福天|福の神]]である[[大黒天]]が[[うちでのこづち|打出小槌(うちでのこづち)]]・[[米]][[俵]]とともに携えている大きな布袋である(■右上の画像を参照のこと)。また、[[隠れ里]]に暮らす[[ネズミ|鼠]]たちが隠し持っていたりする宝物入りの布袋なども福袋と呼ばれることが多い。


== 商習慣としての福袋 ==
== 商習慣としての福袋 ==
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=== 歴史 ===
=== 歴史 ===
==== 発祥 ====
==== 発祥 ====
[[老舗]][[百貨店]]の[[大丸]]が、[[元号]]は不明であるが、[[江戸時代]]に端切れなどを袋詰めにして[[初売り]]で販売した記録がある。[[1907年]]([[明治]]40年)には、鶴屋[[和服|呉服]]店(現在の[[松屋 (百貨店)|松屋]])が福袋の販売を始めている。[[1911年]](明治44年)には、いとう呉服店(現在の[[松坂屋]])が「多可良函」(たからばこ)の名で福袋の販売を始め、当時の値段は50[[通貨の補助単位|銭]]であった。<ref>[http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081213/trd0812131133006-n1.htm えーっ!! 「福袋」にマンション?] [[MSN]]産経ニュース、20081213日。</ref><ref>[http://www.onda-honpo.com/fukubukuro/fukubukuro_history.html 福袋の歴史] 前述のMSN産経ニュース記事に福袋の起源に関するコメントを寄せたフリーライター・恩田ひさとしによる調査の詳細。</ref>
[[老舗]][[百貨店]]の[[大丸]]が、[[元号]]は不明であるが、[[江戸時代]]に端切れなどを袋詰めにして[[初売り]]で販売した記録がある。[[1907年]]([[明治]]40年)には、鶴屋[[和服|呉服]]店(現在の[[松屋 (百貨店)|松屋]])が福袋の販売を始めている。[[1911年]](明治44年)には、いとう呉服店(現在の[[松坂屋]])が「多可良函」(たからばこ)の名で福袋の販売を始め、当時の値段は50[[通貨の補助単位|銭]]であった。<ref>
{{Cite web |date=2008-12-13 |title=えーっ!!「福袋」にマンション? |url=http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081213/trd0812131133006-n1.htm |work=[[MSN]]産経ニュース(ウェブサイト)|publisher=[[産業経済新聞社]] |accessdate=2009-01-01}}{{リンク切れ|date=20121}}</ref></ref><ref>{{Cite web |author=恩田ひさとし |date= |title=福袋の歴史 |url=http://www.onda-honpo.com/fukubukuro/fukubukuro_history.html |work=福袋に夢をかける「福袋研究会」(ウェブサイト)|publisher=福袋研究会 |accessdate=2009-01-01}}前述のMSN産経ニュース記事に福袋の起源に関するコメントを寄せたフリーライター・恩田ひさとしによる調査の詳細。</ref>


==== 日本国外への広がり ====
==== 日本国外への広がり ====
[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]の直営店である [[Apple Store]] [[銀座]]店が、[[2004年]]の正月に福袋を販売したところ、好評であったため、本国の[[アメリカ合衆国]]でも、旗艦店舗を新規にオープンする際には、福袋を "lucky bag (ラッキーバッグ)" という名前で販売するようになった<ref>[http://www.wired.com/gadgets/mac/news/2004/02/62455 Apple Fans, Do You Feel Lucky?] [[WIRED (雑誌)|WIRED]]、2004年2月27日。</ref><ref>[http://www.ifoapplestore.com/stores/lucky_bags.html Lucky Bags] ifo Apple Store.</ref>。
[[アップル インコーポレイテッド|アップル]]の直営店である [[Apple Store]] [[銀座]]店が、[[2004年]]の正月に福袋を販売したところ、好評であったため、本国の[[アメリカ合衆国]]でも、旗艦店舗を新規にオープンする際には、福袋を "lucky bag (ラッキーバッグ)" という名前で販売するようになった<ref>
{{Cite news |date=2004-02-27 |title=Apple Fans, Do You Feel Lucky ? |url=http://www.wired.com/gadgets/mac/news/2004/02/62455 |work=(website) |language=en |publisher=[[WIRED (雑誌)|WIRED]] |accessdate=2009-01-01}}</ref><ref>{{Cite news |date=2004-02 |title=Grand Opening Lucky Bags |url=http://www.ifoapplestore.com/stores/lucky_bags.html |work=ifo Apple Store.com |language=en |publisher= |accessdate=2009-01-01}}</ref>。
そのほか、"mystery bag (ミステリーバッグ)" とも呼ばれる<!--出典:英語版-->。
そのほか、"mystery bag (ミステリーバッグ)" とも呼ばれる<!--出典:英語版-->。
また、[[ハワイ]]の[[ホノルル]]にある[[ショッピングセンター|ショッピングモール]]である[[アラモアナセンター]]では、[[2005年]]から正月に福袋を販売している<ref>[http://archives.starbulletin.com/2004/12/30/features/story2.html Japan's New Year tradition has a new home] ホノルル・スターブレティン、2004年12月30日。</ref>。
また、[[ハワイ]]の[[ホノルル]]にある[[ショッピングセンター|ショッピングモール]]である[[アラモアナセンター]]では、[[2005年]]から正月に福袋を販売している<ref>
{{Cite news |date=2004-12-30 |title=Japan's New Year tradition has a new home |url=http://archives.starbulletin.com/2004/12/30/features/story2.html |work=(website) |language=en |publisher=[[:en:Honolulu Star-Bulletin|Honolulu Star-Bulletin]] |accessdate=2009-01-01}}</ref>。


近年、日本の諸都市にある[[中華街]]<ref>
近年、[[台湾]]と[[香港]]でも[[春節]]の際に福袋が販売され、日本と同じ名で呼ばれている<!--出典:中国語版-->。<!--発音表記等も可能な人の執筆を乞う-->
{{Cite news |date=2012-01-23 |title=旧正月彩る伝統芸 神戸・南京町で春節祭開幕 |url=http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004763060.shtml |work=神戸新聞ニュース(ウェブサイト)|publisher=[[神戸新聞社]] |accessdate=2012-01-25}}</ref>や、[[台湾]]および[[香港]]の日本資本および地元資本の[[百貨店]](例えば台湾では、[[新光三越]]、[[遠東百貨]][[[:zh:遠東百貨|zh]]]等の各店で毎年、数百・数千個を販売<ref>{{Cite web |date=2011-01 |title=2011年福袋購買情報!(IN 台灣)|url=http://www.qbqlink.com/info/fubag2011.htm |work=官不官情報網站(ウェブサイト)|language=zho |publisher= |accessdate=2012-01-25}}</ref>)などでも、[[春節]]の際に福袋が販売され、日本と同じ名で呼ばれている<!--出典:中国語版-->。<!--発音表記等も可能な人の執筆を乞う-->また、春節の休暇を利用して来日する[[中華圏]]([[中華人民共和国]]を含む)の観光客を対象にして、日本の店舗が福袋を販売するようになってきている<ref>
{{Cite news |date=2012-01-24 |title=春節商戦、出足は順調 秋葉原・新宿に中国人 |url=http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C889DE1EAE0E6E3E2E0E2E0E1E2E3E0E2E3E08698E0E2E2E2 |work=日本経済新聞 電子版 |publisher=[[日本経済新聞社]] |accessdate=2012-01-25}}</ref>。この場合、中国系の客の志向を反映して中身を確かめられる福袋が用意されるのが通常である。


=== 特徴 ===
=== 特徴 ===
[[ファイル:HI370312.JPG|thumb|220px|現代の一般的な福袋]]
[[ファイル:HI370312.JPG|thumb|right|220px|現代の一般的な福袋]]
[[ファイル:Fukubukuro Takeshita dori 01.jpg|thumb|220px|東京都[[渋谷区]]の[[竹下通り]]で若者向けに売り出される低価格の福袋]]
[[ファイル:Fukubukuro Takeshita dori 01.jpg|thumb|right|220px|東京都[[渋谷区]]の[[竹下通り]]で若者向けに売り出される低価格の福袋]]
==== 現代の福袋 ====
==== 現代の福袋 ====
福袋は内容非公開の商品であり、現代においても基本的にその販売条件に変わりはない。組み合わせた商品の合計価格以下で販売されるため、購入者がどれだけ有用で豪華な内容であるかに期待できる[[ギャンブル]]的な要素を含む商品である。しかし、福袋は客寄せの目玉商品であると同時に、その多くは店側の在庫処分的性格も有しており、価格以上の商品が入っていたとしても、売れ残りや不人気商品で埋められていたりする場合があり、そういった福袋は、[[インターネット]]上で「[[糞]]袋(くそぶくろ)」「[[メランコリー|鬱]]袋(うつぶくろ)」などとも喩され、店側も自虐的に「不幸袋」や「不吉袋」などと称するケースも増えている<ref>[http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20071227/price.html お買い得価格情報(2007年12月27日] AKIBA PC Hotline(パーツショップのクレバリーが「あけおめ不幸袋」を販売</ref>。
福袋は内容非公開の商品であり、現代においても基本的にその販売条件に変わりはない。組み合わせた商品の合計価格以下で販売されるため、購入者がどれだけ有用で豪華な内容であるかに期待できる[[ギャンブル]]的な要素を含む商品である。しかし、福袋は客寄せの目玉商品であると同時に、その多くは店側の在庫処分的性格も有しており、価格以上の商品が入っていたとしても、売れ残りや不人気商品で埋められていたりする場合があり、そういった福袋は、[[インターネット]]上で「[[糞]]袋(くそぶくろ)」「[[メランコリー|鬱]]袋(うつぶくろ)」などとも喩され、店側も自虐的に「不幸袋」や「不吉袋」などと称するケースも増えている<ref>{{Cite web |date=2007-12-27 |title=お買い得価格情報 2007年12月27日号 |url=http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20071227/price.html |work=(ウェブサイト|publisher=AKIBA PC Hotline |accessdate=2009-12-23}}※パーツショップのクレバリーが「あけおめ不幸袋」を販売</ref>。


福袋の多くが非公開ではあるが、中身に[[宝飾品]]([[宝石]]など)・[[家電機器|電気製品]]などが含まれる高額なものや[[衣類|衣料品]]の場合、購入前に中身の確認が許される、袋の素材が透明で中身が見える、あらかじめ内容が公表されている、指定された商品群からの選択性になっている、などといった方法が執られることがある。特に、[[貴金属]]のような高価な品物は、客寄せのためにショーケースに展示して販売される。
福袋の多くが非公開ではあるが、中身に[[宝飾品]]([[宝石]]など)・[[家電機器|電気製品]]などが含まれる高額なものや[[衣類|衣料品]]の場合、購入前に中身の確認が許される、袋の素材が透明で中身が見える、あらかじめ内容が公表されている、指定された商品群からの選択性になっている、などといった方法が執られることがある。特に、[[貴金属]]のような高価な品物は、客寄せのためにショーケースに展示して販売される。
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なお、近年は一部の[[家電量販店]]において、「[[お年玉]]袋」等の名称で、実質的に福袋と同内容の商品を[[大晦日]]から販売を開始する例も見られる。
なお、近年は一部の[[家電量販店]]において、「[[お年玉]]袋」等の名称で、実質的に福袋と同内容の商品を[[大晦日]]から販売を開始する例も見られる。


[[景品表示法]]では、一般懸賞における景品類の最高額および総額について、最高額は販売価格が5,000円未満の場合20倍まで、5,000円以上の場合10万円まで、総額は売上予定総額の2%までと定められている<ref>[http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html 景品表示法 景品規制の概要] 消費者庁</ref>。しかし、景品を付ける形ではなく、組み合わせた商品の合計価格以下で販売する形(値引)であれば、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」であるので景品表示法における景品類には該当せず<ref>{{PDFlink|[http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_6.pdf 不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件]}}</ref>、最高額および総額の規定は適用されない(ただし、値引の内容や程度によっては[[不当廉売]]に該当する可能性がでてくる)。
景品表示法([[不当景品類及び不当表示防止法]]では、一般懸賞における景品類の最高額および総額について、最高額は販売価格が5,000円未満の場合20倍まで、5,000円以上の場合10万円まで、総額は売上予定総額の2%までと定められている<ref>{{Cite web |date= |title=景品規制の概要 - 景品表示法 |url=http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html
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== 脚注・出典 ==
== 脚注・出典 ==
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* [[初売り]]
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[[en:Fukubukuro]]
[[en:Fukubukuro]]

2012年1月25日 (水) 02:19時点における版

尾形光琳 『大黒図』
福袋と米俵を背負い、右手に打出小槌、左手に竹の杖を持った大黒天。紙本墨画1705年宝永2年)頃の作。上野理一旧蔵、MIHO MUSEUM所蔵。[1]
駅前にて売り出される、福袋
手さげ袋(cf. 袋#紙袋)に複数の異なる品が同封され、通常より低価格で販売される。島根県出雲市出雲市駅前のツインリーブスホテル出雲にて、2006年1月2日撮影。

福袋(ふくぶくろ)は、広義には、福(幸福幸運)が入っているのことを指す、古来の日本語。また、今様の狭義では、近現代日本における習慣の一つを指す。

古来の福袋

古来、日本で言う福袋は、福(幸福、幸運)が入っている袋のことで、代表的なものは、福の神である大黒天打出小槌(うちでのこづち)とともに携えている大きな布袋である(■右上の画像を参照のこと)。また、隠れ里に暮らすたちが隠し持っていたりする宝物入りの布袋なども福袋と呼ばれることが多い。

商習慣としての福袋

今様の狭義で言う福袋は、近現代の日本における習慣の一つ。年始(正月)用の割安な商品として企画販売される、袋詰め商品であり、複数の異なる品が同封されているものである。

何が入っているか伏せられていることをコンセプトに、幸福幸運を引き当てることができる可能性、すなわち、ささやかな射幸性を謳うことを特徴とする(ただし、近年[平成以降]は内容を明かした上での販売が例外的でなくなってきている)。

現代では、年始(実際は初売り前後から)に、百貨店を中心としたさまざまな業態の店で販売される。なかには、袋に納まらない納めるような種類でない商品が、「初売り」などでなく「福袋」の名で取引される場合も散見される。 また、近年では、アメリカ合衆国台湾香港でも一部の企業・店舗にて販売されている(詳しくは後述)。

歴史

発祥

老舗百貨店大丸が、元号は不明であるが、江戸時代に端切れなどを袋詰めにして初売りで販売した記録がある。1907年明治40年)には、鶴屋呉服店(現在の松屋)が福袋の販売を始めている。1911年(明治44年)には、いとう呉服店(現在の松坂屋)が「多可良函」(たからばこ)の名で福袋の販売を始め、当時の値段は50であった。[2]</ref>[3]

日本国外への広がり

アップルの直営店である Apple Store 銀座店が、2004年の正月に福袋を販売したところ、好評であったため、本国のアメリカ合衆国でも、旗艦店舗を新規にオープンする際には、福袋を "lucky bag (ラッキーバッグ)" という名前で販売するようになった[4][5]。 そのほか、"mystery bag (ミステリーバッグ)" とも呼ばれる。 また、ハワイホノルルにあるショッピングモールであるアラモアナセンターでは、2005年から正月に福袋を販売している[6]

近年、日本の諸都市にある中華街[7]や、台湾および香港の日本資本および地元資本の百貨店(例えば台湾では、新光三越遠東百貨zh]等の各店で毎年、数百・数千個を販売[8])などでも、春節の際に福袋が販売され、日本と同じ名で呼ばれている。また、春節の休暇を利用して来日する中華圏中華人民共和国を含む)の観光客を対象にして、日本の店舗が福袋を販売するようになってきている[9]。この場合、中国系の客の志向を反映して中身を確かめられる福袋が用意されるのが通常である。

特徴

現代の一般的な福袋
東京都渋谷区竹下通りで若者向けに売り出される低価格の福袋

現代の福袋

福袋は内容非公開の商品であり、現代においても基本的にその販売条件に変わりはない。組み合わせた商品の合計価格以下で販売されるため、購入者がどれだけ有用で豪華な内容であるかに期待できるギャンブル的な要素を含む商品である。しかし、福袋は客寄せの目玉商品であると同時に、その多くは店側の在庫処分的性格も有しており、価格以上の商品が入っていたとしても、売れ残りや不人気商品で埋められていたりする場合があり、そういった福袋は、インターネット上で「袋(くそぶくろ)」「袋(うつぶくろ)」などとも喩され、店側も自虐的に「不幸袋」や「不吉袋」などと称するケースも増えている[10]

福袋の多くが非公開ではあるが、中身に宝飾品宝石など)・電気製品などが含まれる高額なものや衣料品の場合、購入前に中身の確認が許される、袋の素材が透明で中身が見える、あらかじめ内容が公表されている、指定された商品群からの選択性になっている、などといった方法が執られることがある。特に、貴金属のような高価な品物は、客寄せのためにショーケースに展示して販売される。

手さげ袋に納まらない大きさの商品(小さくない家電品など)や、自転車自動車住宅旅行などといったそもそも袋に納める種類のものでない物件やサービスが、福袋の名で販売される場合には、手さげ袋に目録を入れるという形式が執られる(これらは実質、「福袋」と言うより「初売り商品」ではある)。

福袋が日本で最も早く販売されるのは千葉県浦安市にあるイクスピアリであり、1月1日元日)の午前0時から販売される。ただし、インターネット上の通信販売サイト等では、1月1日に購入者に商品を配達するため、その数日前に販売を開始する例もある。

なお、近年は一部の家電量販店において、「お年玉袋」等の名称で、実質的に福袋と同内容の商品を大晦日から販売を開始する例も見られる。

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)では、一般懸賞における景品類の最高額および総額について、最高額は販売価格が5,000円未満の場合20倍まで、5,000円以上の場合10万円まで、総額は売上予定総額の2%までと定められている[11]。しかし、景品を付ける形ではなく、組み合わせた商品の合計価格以下で販売する形(値引)であれば、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」であるので景品表示法における景品類には該当せず[12]、最高額および総額の規定は適用されない(ただし、値引の内容や程度によっては不当廉売に該当する可能性がでてくる)。

脚注・出典

  1. ^ 大黒図(尾形光琳筆)”. (公式ウェブサイト). MIHO MUSEUM. 2012年1月25日閲覧。
  2. ^ えーっ!!「福袋」にマンション?”. MSN産経ニュース(ウェブサイト). 産業経済新聞社 (2008年12月13日). 2009年1月1日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ 恩田ひさとし. “福袋の歴史”. 福袋に夢をかける「福袋研究会」(ウェブサイト). 福袋研究会. 2009年1月1日閲覧。前述のMSN産経ニュース記事に福袋の起源に関するコメントを寄せたフリーライター・恩田ひさとしによる調査の詳細。
  4. ^ “Apple Fans, Do You Feel Lucky ?” (英語). (website) (WIRED). (2004年2月27日). http://www.wired.com/gadgets/mac/news/2004/02/62455 2009年1月1日閲覧。 
  5. ^ “Grand Opening Lucky Bags” (英語). ifo Apple Store.com. (2004年2月). http://www.ifoapplestore.com/stores/lucky_bags.html 2009年1月1日閲覧。 
  6. ^ “Japan's New Year tradition has a new home” (英語). (website) (Honolulu Star-Bulletin). (2004年12月30日). http://archives.starbulletin.com/2004/12/30/features/story2.html 2009年1月1日閲覧。 
  7. ^ “旧正月彩る伝統芸 神戸・南京町で春節祭開幕”. 神戸新聞ニュース(ウェブサイト) (神戸新聞社). (2012年1月23日). http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004763060.shtml 2012年1月25日閲覧。 
  8. ^ 2011年福袋購買情報!(IN 台灣)” (中国語). 官不官情報網站(ウェブサイト) (2011年1月). 2012年1月25日閲覧。
  9. ^ “春節商戦、出足は順調 秋葉原・新宿に中国人”. 日本経済新聞 電子版 (日本経済新聞社). (2012年1月24日). http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C889DE1EAE0E6E3E2E0E2E0E1E2E3E0E2E3E08698E0E2E2E2 2012年1月25日閲覧。 
  10. ^ お買い得価格情報 2007年12月27日号”. (ウェブサイト). AKIBA PC Hotline (2007年12月27日). 2009年12月23日閲覧。※パーツショップのクレバリーが「あけおめ不幸袋」を販売。
  11. ^ 景品規制の概要 - 景品表示法”. (公式ウェブサイト). 消費者庁. 2009年12月23日閲覧。
  12. ^ 不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件” (PDF). (公式ウェブサイト). 消費者庁. 2010年1月1日閲覧。

関連項目