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'''サン・マイクロシステムズ'''('''Sun Microsystems'''、[[NASDAQ]]: [http://quotes.nasdaq.com/asp/SummaryQuote.asp?symbol=JAVA&selected=JAVA JAVA])は、[[アメリカ合衆国]][[カリフォルニア州]][[サンタクララ]]に本社を置く[[コンピュータ]]の製造、[[ソフトウェア]]開発、[[情報技術|IT]]サービスを営む企業である。日本法人の'''サン・マイクロシステムズ株式会社'''は[[東京都]][[世田谷区]][[用賀]]4丁目10-1[[世田谷ビジネススクエア|SBSビル]]に所在する。 |
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2007年9月20日 (木) 05:24時点における版
サン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems、NASDAQ: JAVA)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララに本社を置くコンピュータの製造、ソフトウェア開発、ITサービスを営む企業である。日本法人のサン・マイクロシステムズ株式会社は東京都世田谷区用賀4丁目10-1SBSビルに所在する。
概要
サンの名前は、Stanford University Networkの頭文字 SUN から来ており、スタンフォード大学で校内のネットワーク用のワークステーションを独自に開発したアンディ・ベクトルシャイムが、スコット・マクネリ、ビノッド・コースラらとともに会社を創立したのが始まり。創立に際してカルフォルニア大学バークレー校でBSD UNIXを開発していたビル・ジョイを創立メンバーに招いた。創立した1982年から数年で世界企業へと成長した。
当初ワークステーションのOSは、BSD UNIXを採用しSunOSと呼ばれていたが、後に当時UNIXを所有しUNIX System VをライセンスしていたAT&Tと共同して、BSD UNIXとSystem V を一部合流しSolarisとして販売を開始した。Solarisは、System Vとしての性格が強い。
CPUアーキテクチャとしては、当初 モトローラの68000系を使っていたが、後に自社独自のCPUアーキテクチャSPARCを開発した。SPARC は RISCアーキテクチャを採用している。
自社の技術を公開したりライセンスしたりする事が多く、オープンな戦略を特徴としている。SPARCのCPUアーキテクチャは外部にライセンスされている。Solaris単体での販売もしている。PC向けのSolarisもある。近年 Linux をその戦略の一部に取り込んだ。
Javaをビル・ジョイを中心としたチームにより開発した。
JXTAは、JavaのP2Pアーキテクチャである。一般のコンピュータに留まらずPDAや携帯電話での使用が当初から考えられている。
サンの過去と将来
UNIXでの一人勝ちの状況
UNIX戦争に伴う各ベンダとの競合状態において、ビル・ジョイなどのUNIX神話に名を残したスーパーエンジニアの功績やいち早いインターネットに向けたサーバ群の取り組みによりアメリカを中心とする世界市場において、1990年代前半、サンは一人勝ちの様相を示していた。
日本市場においても、通信系や企業基幹系に浸透しつつあったUNIX市場において、遥かに価格性能比が高く、知名度のあったサンは国産UNIXベンダのパークを次々と取り込んでいった。
結果、日本市場においてもサンはIBMを含むUNIX系ベンダの唯一の勝ち組企業となっていた。
90年代末の市場の変化とサンの対応
90年代後半までの一人勝ちの状況以降、元々の企業規模がそれほど大きくなく、先進性で売り上げを上げるにも研究開発費の大規模な調達ができない点、 Javaなどの別技術への投資を集中した点などもあり、その後のUNIXによるエンタープライズ系への対応や処理速度改善において、幾つか決定的な遅れを取ってしまう。
CPU開発競争での遅れ
Intel製CPUのクロックアップや開発資源への大規模な投資により高性能化したPCにUNIX陣営は追い込まれつつあった。特に、RISC陣営でもMIPSテクノロジーと同様に自社でのCPU製造を行わないサンは、急速な開発期間の短縮や新規テクノロジーの適用において、遅れを取り始める。
その結果、UltraSPARC IIが主力であった頃、IBMやHP、DECといったRISC陣営の競合CPUと比較して、UltraSPARC IIが著しく遅く、他社のメインストリームサーバとの比較による受注の大量減少をさけるため、業界標準ベンチマークとなっていたTCPベンチマーク値の公開を取りやめている。
また、基本比較値として残さざるを得なかったSPECといった基本ベンチマークにおいても、IntelのXeonと比較された際に同等レベルを維持するのがやっとの状態にまで追い込まれていた。
エンタープライズ分野での足踏みとLinux対応
UNIXのエンタープライズ分野においては、唯一対応の早かったサーバの仮想化技術の延長線上にある論理区分による同一筐体内複数パーティションの機能も、HPやIBMは1年もせずに同等以上の機能を提供してきたため、基幹系における導入シェアを大きく上げる要因にはならかった。
これにより、大規模なエンタープライズ市場において、当初はHPに、近年はIBMに巻き返され、他商用UNIXとの横並び若しくはそれ以下となっている(参照:CIRCUS, Solaris, 論理ボリュームマネージャ)。
また、オープンソースOSであるGNU/Linuxによるネットワーク系サーバの置き換え及び、比較的安価な基幹用サーバの置き換え需要にさらされ、商用UNIXで最もダメージを受けたOSと評されており、火急の対処が必要とされていた。
巻き返しと評価、そして今後
一旦、遅れを取ったCPUの高性能化やエンタープライズ分野への新たな訴求としてSolaris自体のオープンソース化が進められ、エンジニアからは好評を得ている。また、CPUに関しても、NiagaraというSPARC III相当のCoreを複数搭載したCPUが登場してきている。
この2点において、現状、以下のように評価されている。
- SolarisやJavaのオープンソース化が再度技術者を呼び戻しており、結果としてサーバ販売台数(サンの利益源泉)の増加に結びつき業績が回復し始めている。
- マルチコアCPUによる性能強化/消費電力低減といったITの環境問題へのアプローチはCPU業界全体へと波及、IT企業の社会的責任(CSR)を果たして行く方向性を示した。どの程度企業に訴求するのか不明
- コアの設計がUltraSPARC IIIでキャッシュが32K程度と非常に小さく、SolarisのSMP化時のロック粒度を含め、キャッシュに載り切るサイズではない点を考慮すると、非常に疑わしいという見方が多く、結論は出ていない。
- この方式のCPUであれば、小さい制御に向くが、大きなアプリケーションにはほとんど有効性が発揮できないため、ネットワーク制御に特化したものにならざるを得ないという報告もある。
このようにな状況の上、新規CPUのUltraSPARC Vの開発を中止し、多くのエンジニアをレイオフしており、英語版WikipediaにおけるSUNの項目の記載にあるように、ITバブル崩壊後の動きにおいて非常に曖昧模糊とした状態と言える。この状態を抜け出すため、NECからSI・HPC分野のアライアンスを取り付け、富士通との関係もさらに深めようとしている。しかし、グリッドに対するスタンスの違いや汎用京速計算機など国内プロジェクトへの国産ベンダの方向性は明らかにサンと袂を別つ方向に向けられており、多くの識者からは風当たりが非常に厳しい見方をされている。
サンの革新性は、IT業界のビジネスモデルの変更を迫る内容も多いことから常に風当たりが強いが、多くの革新的エンドユーザーやITの本質を追究する研究者・及び技術者からは、高い評価を受けており、常にIT業界のリーディングカンパニーとして見られている。Sunファンがいることも他のITベンダーとは異なるところである。
シンクライアントベンダとしてのサン
ところでサンはシンクライアントに早くから取り組んでおり、1996年ごろにJavaStation(2004年~2006年にかけて販売されていたJava Workstationとはまったく異なるので注意)を発売。
そして1999年ごろから現在までSun Rayシリーズを販売している。
特筆するべきこととして、ICカードを抜き差しするだけで自分のデスクトップ環境が即座に表示される「ホットデスク」をサポートしていることである。サンは2004年ごろから(日本法人も含めた)自社社内のほとんどの業務用端末がSun Rayになっているとのことであり、たとえば日本法人に勤務する人が国内のほかのオフィスや米国本社へ出張へ赴くときに席を予約しておき、出張先の席にあるSun Ray端末にICカードを差し込むだけでどこでも自分のデスクトップが表示されるのである。ある社員は(シリコンバレーから日本へのリモート接続であるにもかかわらず)あまりに快適に動作するので「本当に(自分のデスクトップ環境がおいてある)日本のサーバにつながっているのか?」と最初は混乱した旨を吐露している[1]。
さらに現在ではSun Rayサーバ経由でリモートデスクトップないしターミナルサービスが使えるWindowsとも接続可能になった。2007年1月には無線LANを搭載したノートPCタイプの「2N」を発売した。消費電力が通常のノートPCの半分だという。
徐々にではあるが、自治体や大学などの教育機関を中心に納入実績が上がりつつある。
フリーソフトウェアとの関係
SunOSは、BSD版UNIXを基にしたもので、このBSD版UNIXのライセンスはGPLの基になったフリーソフトウェアライセンスであった。
当初のBSD UNIXはAT&Tのライセンスと必要としたが、独自のコードと実装を進め、その後のAT&Tとのライセンス交渉において、AT&TのUNIXライセンスに縛られないものとなった。その際のカリフォルニア大学バークレー校での拡張互換UNIX開発チームの書いたコードは、多くのUNIXの実装に影響を与えている。
この開発チームにて実装やソースのレビューとレベルチェックやリポジトリ管理をしていたのが、Cshの開発やUNIXの実装に大きな影響を与え、スーパーエンジニアとしても有名なビル・ジョイであった。
つまり、フリーソフトウェアを中心としたLinuxやGNUの思想は、サンの遺伝子を色濃く残したもので、サンとフリーソフトウェアの親和性の高さは、こういった歴史的な経緯からきている。
また、NFSはサンにより作られたネットワーク・ファイルシステムの規格であるが、サンからNFSのライセンスを受けるとSunOSのソースコードがやって来ていた。現在のLinuxなどで使われているNFSは独自のフリーな実装が使われている。
NISもサンにより開発され、アカウントなどの集中管理用として他社UNIXやLinuxにも採用されている。
Solarisのデスクトップ環境として 以前から利用していたCDEからGNUプロジェクトのフリーソフトウェアであるGNOMEに変更するなど、既存のオープンソースソフトウェアと連携した動きも多い。GNOMEの開発の中心にいる企業Ximianに出資している。また、以前はLinuxに対して非協力的であったが、最近は自社製品にLinuxを搭載している。
OpenOffice.orgを、フリーソフトウェアかつコピーレフトのGNU LGPLで公開している。OpenOffice.orgは豊富な機能を持ったオフィススイートで、多くのプラットフォーム (OS) をサポートしオープンソース運動を加速している。サンはOpenOffice.orgの成果をもとに、ソース非公開の StarOffice(日本ではNECが既に商標をとっていたためStarSuite)を開発し販売している。なお、StarOffice は教育機関などに向けての無料ライセンスもある。
OpenOffice.orgのベースとなったStarOfficeは当初、ドイツのソフトウェア会社StarDivisionで開発されていたソフトウェアで、サンは同社を買収した後すぐにオープンソースプロジェクトとして公開し注目を集めた。当初はSun業界基準使用許諾(SISSL)と呼ばれるサン独自のオープンソースライセンスとGNU LGPLとのデュアルライセンスであったが、2005年9月2日にSISSLを廃止し、GNU LGPLに一本化した。
コバルトシステム:インテル系のCPUとLinuxの組合せのサーバーを販売していたコバルトシステムを買収し、インテル系のCPUとLinuxを組み合わせたサーバーがサンから販売されている。
Sun ONE - One : Open Network Environment[2]
外部リンク
- Sun Microsystems (英語)
- Sun Microsystems (日本語)
- SPARC International, Inc. (英語)