首相官邸ネズミ捕獲長

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国; 首相官邸ネズミ捕獲長
	英国政府紋章
	現職者; ラリー
庁舎	ダウニング街; イギリス・ロンドン
任命	諸々の政府職員
任期	規定なし。引退あるいは死亡により退任。
初代就任	不明
創設	1500年代初期
	表; 話; 編; 歴;

首相官邸ネズミ捕獲長（しゅしょうかんていネズミほかくちょう、英: Chief Mouser to the Cabinet Office）はダウニング街10番地（イギリス首相官邸）の公式な飼い猫に与えられる非公式の肩書。唯一ハンフリーだけは公式にこの肩書が与えられたが^[1]、その他の猫は通常、イギリスのマスコミから愛称としてこの名で呼ばれる。大蔵省やダウニング街に住みついた猫をネズミ捕り役およびペットとして「雇う」ことは昔から行なわれており、それはヘンリー8世の時代^[2]、ウルジー枢機卿が大法官として執務中に自分の飼い猫を傍らに置いたことまで遡る^[3]。1929年6月3日までの分に限った『2000年情報自由法（英語版）』の一環として2005年1月4日にパブリックドメインになった公文書によると^[4]^[5]、1929年当時、大蔵省のAE・バンハムは「有能な猫の生活費として雑費から1日あたり1ペニーを支出する」ことを事務員に認めている^[6]。1932年4月、週あたりの手当ては1シリング6ペンスまで増えた。21世紀の時点で、ネズミ捕獲官の経費は年あたり100ポンドである^[7]。

これらの猫は公務員とみなされるため^[8]、官邸に住む首相の私物ではなく、ネズミ捕獲長の「任期」が首相のそれと一致することは稀である。ダウニング街で最も長く務めた猫はウィルバーフォースであり、彼はエドワード・ヒース、ハロルド・ウィルソン、ジェームズ・キャラハン、マーガレット・サッチャーの下で働いた。

現職のラリーは2011年2月14日から務めている。その年の1月、ITNによるとテレビ・ニュースの中継中、首相官邸の玄関前を駆け抜けて行くネズミが目撃された^[9]。当時ネズミ捕獲長は空席だったが、首相の報道官はこの問題解決のため猫を雇う計画は無いと述べた^[10]。しかし翌日の新聞は、その報道官が官邸内の「ネコ賛成派」について述べたことを報じ、その結果、問題対処のため今の衛生業者から猫への鞍替えが本当にあるかもしれないという憶測が生まれた^[10]。2011年2月14日、このネズミ問題に取り組むため「ラリー」という名の猫がやって来たと報道された^[11]。イブニング・スタンダード（英語版）によると、この猫はデーヴィッド・キャメロンとその家族がバタシー・ドッグス・アンド・キャッツ・ホーム（英語版）で選んだものだった^[11]。

猫の一覧

名前	就任	退任	首相	出典
トレジャリー・ビル	1924年		ラムゼイ・マクドナルド	^[12]
ピーター	1929年頃	1946年	スタンリー・ボールドウィン、ラムゼイ・マクドナルド、ネヴィル・チェンバレン、ウィンストン・チャーチル、クレメント・アトリー	^[4]
ミューニック・マウサー	1937年-1940年	1943年	ネヴィル・チェンバレン、ウィンストン・チャーチル	^[13]^[14]
ネルソン	1940年代		ウィンストン・チャーチル	^[14]^[15]
ピーター2世	1946年		クレメント・アトリー	^[4]
ピーター3世	1946年	1964年	クレメント・アトリー、ウィンストン・チャーチル、アンソニー・イーデン、ハロルド・マクミラン、アレック・ダグラス＝ヒューム	^[4]
ペトラ	1964年	1976年頃	アレック・ダグラス＝ヒューム、ハロルド・ウィルソン、エドワード・ヒース	^[4]
ウィルバーフォース	1970年	1988年	エドワード・ヒース、ハロルド・ウィルソン、ジェームズ・キャラハン、マーガレット・サッチャー	^[16]
ハンフリー	1989年	1997年	マーガレット・サッチャー、ジョン・メージャー、トニー・ブレア	^[17]
シビル	2007年	2009年	ゴードン・ブラウン	^[18]
ラリー	2011年	現職	デーヴィッド・キャメロン	^[11]

脚注

^ Purr-fect ending fur Humphrey!, BBCニュース, (1997-11-25) 2011年12月26日閲覧。
^ Davies, Caroline (1997-11-24), “More questions over how No 10 handled the kitty” (英語), デイリー・テレグラフ, オリジナルの2007-12-05時点におけるアーカイブ。 2011年12月28日閲覧。
^ “Chapter Six. The Cat and the Law. Van Vechten, Carl. 1922. The Tiger in the House” (英語). Bartleby.com. 2011年12月28日閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d ^e (英語) Home Office cat history revealed, BBCニュース, (2005-01-04) 2011年12月28日閲覧。
^ “The official Home Office cat” (英語). イギリス政府. 国立公文書館（英語版） (1929-1976). 2011年12月28日閲覧。
^ “Tale of Home Office cat” (英語), メトロ（英語版） (アソシエイテッド・ニューズペーパーズ（英語版）), (2005-01-04) 2011年12月28日閲覧。
^ Millward, David (2005年3月15日). “Humphrey... the Downing Street dossier” (英語). デイリー・テレグラフ 2011年12月25日閲覧。
^ Fenton, Ben (2005-01-04), “Cats that left a mark in the corridors of power”, デイリー・テレグラフ, オリジナルの2005-05-23時点におけるアーカイブ。 2011年12月29日閲覧。
^ “Another rat spotted on steps of Number 10”. ITN (MSN). (2011年1月24日) 2011年12月28日閲覧。
^ ^a ^b “"Pro-cat faction" urges Downing Street rat rethink” (英語). BBCニュース. (2011年1月25日) 2011年12月28日閲覧。
^ ^a ^b ^c Woodhouse, Craig (2011年2月14日). “Larry the tabby lands No10 job as rat catcher” (英語). イブニング・スタンダード（英語版）. 2011年12月28日閲覧。
^ Campbell, Mel (2010-05-19), “‘Miaow, Prime Minister’: the bureaucats of Downing Street”, Crikey（英語版） 2011年12月26日閲覧。
^ Irving, David (2001), Churchill's War Volume II: Triumph in Adversity, Focal Point Publications, p. 833, ISBN 1-872-19715-9
^ ^a ^b “Riddles, Mysteries, Enigmas”, Finest Hour (The Churchill Centre) (110), (Spring 2001)
^ “Riddles, Mysteries, Enigmas”, Finest Hour (The Churchill Centre) (109), (Winter 2000-2001)
^ Merrick, Jane (2007-09-11), “Ten years after the Humphrey hoo-ha, a cat returns to Downing Street”, デイリー・メール (Associated Newspapers) 2011年12月25日閲覧。
^ “Humphrey the Cat” (PDF). 内閣府. 2011年12月25日閲覧。
^ “Morning press briefing from 11 September 2007”. The official site of the British Prime Minister (2007年9月11日). 2008年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月25日閲覧。

外部リンク

“The official site of the British Prime Minister” (英語). 2011年12月25日閲覧。

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[1] Purr-fect ending fur Humphrey!, BBCニュース, (1997-11-25) 2011年12月26日閲覧。

[2] Davies, Caroline (1997-11-24), “More questions over how No 10 handled the kitty” (英語), デイリー・テレグラフ, オリジナルの2007-12-05時点におけるアーカイブ。 2011年12月28日閲覧。

[3] “Chapter Six. The Cat and the Law. Van Vechten, Carl. 1922. The Tiger in the House” (英語). Bartleby.com. 2011年12月28日閲覧。

[list-4] (英語) Home Office cat history revealed, BBCニュース, (2005-01-04) 2011年12月28日閲覧。

[file-5] “The official Home Office cat” (英語). イギリス政府. 国立公文書館（英語版） (1929-1976). 2011年12月28日閲覧。

[Metro-6] “Tale of Home Office cat” (英語), メトロ（英語版） (アソシエイテッド・ニューズペーパーズ（英語版）), (2005-01-04) 2011年12月28日閲覧。

[Millward2005-7] Millward, David (2005年3月15日). “Humphrey... the Downing Street dossier” (英語). デイリー・テレグラフ 2011年12月25日閲覧。

[8] Fenton, Ben (2005-01-04), “Cats that left a mark in the corridors of power”, デイリー・テレグラフ, オリジナルの2005-05-23時点におけるアーカイブ。 2011年12月29日閲覧。

[9] “Another rat spotted on steps of Number 10”. ITN (MSN). (2011年1月24日) 2011年12月28日閲覧。

[BBC-10] “"Pro-cat faction" urges Downing Street rat rethink” (英語). BBCニュース. (2011年1月25日) 2011年12月28日閲覧。

[Batt-11] Woodhouse, Craig (2011年2月14日). “Larry the tabby lands No10 job as rat catcher” (英語). イブニング・スタンダード（英語版）. 2011年12月28日閲覧。

[12] Campbell, Mel (2010-05-19), “‘Miaow, Prime Minister’: the bureaucats of Downing Street”, Crikey（英語版） 2011年12月26日閲覧。

[13] Irving, David (2001), Churchill's War Volume II: Triumph in Adversity, Focal Point Publications, p. 833, ISBN 1-872-19715-9

[FH110-14] “Riddles, Mysteries, Enigmas”, Finest Hour (The Churchill Centre) (110), (Spring 2001)

[15] “Riddles, Mysteries, Enigmas”, Finest Hour (The Churchill Centre) (109), (Winter 2000-2001)

[16] Merrick, Jane (2007-09-11), “Ten years after the Humphrey hoo-ha, a cat returns to Downing Street”, デイリー・メール (Associated Newspapers) 2011年12月25日閲覧。

[17] “Humphrey the Cat” (PDF). 内閣府. 2011年12月25日閲覧。

[18] “Morning press briefing from 11 September 2007”. The official site of the British Prime Minister (2007年9月11日). 2008年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月25日閲覧。

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猫の一覧

脚注

関連文献

関連項目

外部リンク