雪下ろし
雪下ろし(雪降ろし、ゆきおろし)は、屋根に積もった雪を落として除去する作業[1]。
概要
豪雪地帯では積雪が数メートルに及ぶため、家屋が雪の重みで倒壊するのを防ぐために屋根の除雪を行う必要がある。この作業を雪下ろしという。
カナディアンシーダーハウスなどのように屋根の傾斜を大きくして、雪が積もりにくい構造を用いる場合もあるが、そうでなければ雪下ろしは人力に頼ることになる。スコップやスノーダンプ(ママさんダンプ)、シャベルなどによって屋根の雪を落とす[2][3]のだが、滑りやすい屋根の上での作業になるため、毎冬、雪下ろし作業での転落事故死が報道される。作業中に雪崩状の落雪に巻き込まれる、軒下に人がいるのに気付かなかったなどの要因で、雪に埋まる事故も頻繁に発生する。作業時には十分な注意が必要である[4]。
豪雪地帯は、高齢化が進む過疎地が大部分を占めるため、雪下ろし作業の担い手確保は、大きな問題になっている[注 1]。また、国土交通省によると、日本国内の雪下ろしに関連する死亡事故の約8割は、65歳以上の高齢者によるものである[4]。地方によっては雪下ろしの日には、家族から誰か必ず出さなければならないとしているところもある。
地方公共団体そのものによる支援のほか、ボランティアを募ったり、業者に依頼したりする事例も増えてきた。数百人のボランティアが集まる一方で、悪質な雪下ろし業者による事件も多発している。2004年の新潟県中越地震では、被災地での雪下ろしが不可能になり、地震では倒壊に至らなかった家屋が、その後の豪雪に耐えられず、倒壊するケースも見られた。雪で倒壊する空き家問題も大きくなってきている。
家屋が損傷を受ける程の雪でなくても、視界等の確保のため、毎朝自動車の屋根の雪下ろしをするのも、降雪地帯の冬の姿である。
確定申告時の控除
日本においては、雪下ろしをするために支出した費用は、「雑損控除」もしくは「災害減免法」の対象となり、確定申告で所得税の軽減や還付を受けることができる。なお「雑損控除」を選択した場合は、関連費用の金額が一定額以上でなければならない。当然ながら自分で雪下ろしをしたりボランティアでやってもらった場合は、雑損控除を受けられない[5]。
脚注
注釈
出典
- ^ “精選版 日本国語大辞典の解説”. コトバンク. 2018年12月8日閲覧。
- ^ “おろしてもおろしても…、ノルウェーの雪下ろし”. AFPBB News. (2009年2月16日) 2018年12月8日閲覧。
- ^ “世界最新のスキーリゾート?米ワシントンD.C.”. AFPBB News. (2010年2月7日) 2018年12月8日閲覧。
- ^ a b “雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~”. 地方振興 活力と魅力のある地域づくり. 国土交通省. 2022年2月17日閲覧。
- ^ “豪雪被害及び雪下ろしにかかる費用について”. 2013年11月30日閲覧。