除算記号
除算記号(じょさんきごう)は、除算を表す演算子記号である。一般には「わる」と読む。
英語圏(および日本語圏)で主に使われる「÷」がUnicodeでは division sign(除算記号)となっているが、分野や国によっては他の記号が除算記号として使われることもある。
÷
この記号は横線の上下に点を書く。分数表記の抽象化し、横棒と、その上下の分子と分母それぞれを点で表したものが元となっているといわれている。
この記号はスイスのヨハン・ハインリッヒ・ラーンが1659年に代数学の書 Teutsche Algebra で発表した。同書の編集者だったジョン・ペルを考案者とする説もある。なお同じ書で乗算記号「*」も使われたが、こちらは現在ではコンピュータでしか使われない。
その後ジョン・ペルクが記した書籍で一般に認知されるようになった。その後ノルウェーやデンマークを含むヨーロッパの一部で除算記号として使用されたことや、アイザック・ニュートンなどがこの記号をよく使ったため、一般に使用されるようになる。
今日では電卓などにおける割り算のボタンや、割り算の計算式などで使用されている。
÷以外の除算記号
分野や国によっては、「÷」の代わりに「∕」(スラッシュ)や「:」(コロン)が除算記号として使われる。
「∕」はイギリスのウィリアム・オートレッドが1631年に Clavis Mathematicae で使ったのが最初とされ、除算の記号としては最も古い。現在ではほとんどのコンピュータ言語で除算記号として使われている。ただし、Unicodeは除算のスラッシュ「∕」U+2215 をASCIIのスラッシュ「/」U+002F と区別しているが、コンピュータで使われるのはASCIIのスラッシュである(これらとはまた別に分数のスラッシュとされる「⁄」U+2044 があるが、これは「½」のような組文字を作るための記号である)。
「:」はドイツのゴットフリート・ライプニッツが 1684年に Acta eruditorum で使ったのが最初とされ、主にドイツで使われる。他の国ではもっぱら比の記号として使われる。
のように、分数と同じ形式で除算を表すことも多い。
÷の除算以外の意味
「a ÷ b = c … d」(a ~ d は整数)の形で、整商と剰余を同時に表す。左の例は「a 割る b は c 余り d」と読み、「a = b × c + d」あるいは「a ÷ b = c + d ÷ b」と等価である。
ポーランド語などで、「÷」は範囲を示すのに使われていた。「:」にも同様の意味があり、たとえば「10÷20」や「10:20」は「10から20まで」を意味する。現在では自然言語ではあまり使われないが、Excelのセル範囲指定で「:」が使われる。
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|---|---|---|---|
/ | U+002F |
|
/ / |
スラッシュ (solidus) |
: | U+003A |
|
: : |
コロン (colon) |
÷ | U+00F7 |
1-1-64 |
÷ ÷ ÷ |
除算記号 (division sign) |
∕ | U+2215 |
|
∕ ∕ |
division slash |