越谷オサム

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越谷 オサム(こしがや オサム、1971年 - )は、日本の小説家。未婚[1]。越谷はペンネーム[1]

来歴

東京都足立区に生まれ、1歳のときより埼玉県越谷市在住[1]。特に文学少年だったわけではなく、家の前でハンドベースボールをしたり、教室の端でプロレスごっこをしたり、ファミコンプレイステーションが流行ればそれに熱中したりする普通の子[2]だったという。春日部共栄高等学校[3]時代は吹奏楽部[4]に属した。その後、学習院大学経済学部に進学するも4年で中退[5]。大学中退後はマクドナルドで週5日、1日8時間アルバイトをする生活を29歳まで続ける[1]

2001年、第13回日本ファンタジーノベル大賞に応募した「アパートと鬼と着せ替え人形」(未発表)が最終選考まで残るも落選[1][6]。その後は応募せず出版社で本の改装作業のアルバイトをしていた[1]2004年、第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作『ボーナス・トラック』でデビュー。2011年、ミリオンセラーとなった『陽だまりの彼女』文庫版が啓文堂主催「2011年 おすすめ文庫大賞」を受賞した[7]

作風

青春小説を主に手がける。ほとんどすべての作品において高校生から20代までの若者を主人公としているのは、自分より年上の人物を書くことに抵抗があるからだという[1]。 登場人物には、『空色メモリ』の“デブで汗っかき”の主人公&“チビでメガネ”のハカセのコンビに代表される、一言で人物背景の説明が済んでしまうようなステロタイプ的なもの(特に男性に多く見られる)と、『いとみち』の“背がちっちゃくて黒髪ロングでメイド服で貧乳で泣き虫でドジッ娘で方言スピーカーで、おまけに和楽器奏者”[8]の主人公いとに代表される、突飛なキャラクター設定のもの(特に女性に多く見られる)を数多く配し、これら登場人物たちが一丸となって、予定調和的な流れのなかで一気にハッピーエンドに向かって突き進んでいく、いわゆるライトノベル的な手法を用いつつも、登場人物がスーパーマンにならないように気をつけている[2]という。

日本ファンタジーノベル大賞出身ながら、ファンタジー要素のない作品が多く、“リアルな日常描写の上に、ほんのちょっぴりの非日常を乗せて夢のある世界をのぞかせてくれる、最高に面白いエンターテイメント小説”[9]を得意とし、主に文芸誌上で活躍している。

70年代以降の洋楽がキーとなっている作品が多い。中学・高校とブラスバンド部に所属してトロンボーンを担当していたが[1]、特にバンド経験者というわけではなく、作品を書くにあたって初心者用のギターを購入したり、カルチャースクールに通って津軽三味線を習うなどしている[10]

著書

単行本

アンソロジー

「」内が越谷オサムの作品

  • 蝦蟇倉市事件2(2010年2月 東京創元社ミステリ・フロンティア〉)「観客席からの眺め」
  • 最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋。(2012年5月 新潮文庫)「3コデ5ドル」(初出:『小説新潮』2011年12月号)
  • この部屋で君と(2014年9月 新潮文庫nex)「ジャンピングニー」(『いとみち』の登場人物・福士智美を主人公にしたスピンアウト作品。初出:小説新潮別冊『yom yom』vol.26)  

単行本未収録作品

小説
  • スクールボーイ(『小説すばる』2011年2月号)
  • 卒業までにできること(『小説新潮』2013年3月号)
コラム・他
  • 特別料理(『小説すばる』2009年5月号)
  • 津軽三味線(『別册文藝春秋』2010年9月号)
  • A書房のオヤジ(『本の旅人』2011年2月号)

メディア・ミックス

映画

漫画

出典

  1. ^ a b c d e f g h 瀧井朝世 (2009年11月25日). “作家の読書道 第97回:越谷オサムさん”. WEB本の雑誌. 2013年9月23日閲覧。
  2. ^ a b 広報こしがや季刊版 平成25年秋号
  3. ^ 活躍する先輩越谷オサムさん”. 春日部共栄中学高等学校 (2012年10月22日). 2013年6月10日閲覧。
  4. ^ 春日部共栄高等学校 図書委員会 編『胡桃 No.2』春日部共栄高等学校、2013年6月2日。 
  5. ^ 単行本『ボーナス・トラック』奥付より。
  6. ^ この時の受賞作は畠中恵の「しゃばけ」。
  7. ^ 越谷オサム著『陽だまりの彼女』ブレイクの予感!?啓文堂書店「おすすめ文庫大賞」を受賞”. SHINCHO FLASH NEWS (2011年11月30日). 2013年9月23日閲覧。
  8. ^ 『いとみち』本文中より。
  9. ^ 『いとみち』解説(タニグチリウイチ)より。
  10. ^ 津軽三味線(『別册文藝春秋』2010年9月号)。

外部リンク