舟久保遥香

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獲得メダル
日本の旗 日本
柔道
世界ジュニア
2015 アブダビ 57kg級
世界ジュニア団体戦
2015 アブダビ 57kg級
アジアカデ
2014 香港 57kg級

舟久保 遥香(ふなくぼ はるか、1998年10月10日 - )は、山梨県富士吉田市出身の、日本人女子柔道選手である。階級は57kg級。身長162cm。血液型はO型。段位は初段。組み手は右組み。得意技は大内刈寝技[1][2]。現在は富士学苑高校に在学[3]。女優の能年玲奈に似ていると、複数のマスメディアから言及された[4][5][6][7][8]

経歴

柔道は6歳の時に友達に影響されて大明見スポーツ少年団で始めた[1][5]。明見小学校5年生の時には全国小学生学年別柔道大会40kg級に出場するが予選リーグで敗れた[9][10]。6年生の時には45kg級に出場するものの、初戦で広島県の奥田遥菜に背負投で敗れた[11]

富士学苑中学に入学すると、2003年の世界選手権90kg級代表だった監督の矢嵜雄大と、同じく57kg級代表だったその妻でコーチの矢嵜仙子の指導を受けることになった[4]

1年の時には全国中学校柔道大会の48kg級に出場するが初戦で刈谷田中学3年の土田絵里子にGSに入ってから有効を取られて敗れた[12]

2年になると2階級上の57kg級に出場するが、準々決勝で淑徳中学3年の斉藤百湖に有効で敗れて5位になった。団体戦では予選リーグで敗れた[13]

3年になると団体戦では予選リーグで敗れた。一方、個人戦では決勝で香長中学2年の若藤唯を小内刈で破るなど5試合オール一本勝ちで優勝を飾り、山梨県勢で今大会を制した初めての選手となった。この際に、自分の柔道は寝技とパワー柔道が組み合わさったものだと語った。これからの課題は「組み手をもっと早く先に取る事」、さらに将来は「世界で戦えるようになりたい」 とも語った。また、好きな選手は「気が強そうで練習熱心なところがいい」北京オリンピック100kg超級金メダリストの石井慧だという[1][14][15][16]

富士学苑高校に進むと、1年の4月には全日本カデの決勝で奈良育英高校2年の村井惟衣に小外刈の有効で敗れて2位だった[17]

7月の金鷲旗では4回戦で横須賀学院高校と対戦すると、2階級上である70kg級の大川優希に敗れた[18]

8月のインターハイ個人戦では準々決勝で帝京高校3年の西尾直子に大外刈で敗れて5位だった。団体戦では3回戦で大成高校と対戦すると、3階級上である78kg級の鈴木伊織に指導2で敗れた[19]

10月の国体少年女子の部では準々決勝で大阪府チームと対戦すると、63kg級の米澤夏帆と引き分けるが、3年の渡辺聖未が敗れてチームは5位にとどまった[20]

12月のアジアカデでは初戦の指導3勝ち以外は全て得意の寝技で一本勝ちして優勝を飾った[21]

2015年3月の全国高校選手権では決勝まで進むも、藤枝順心高校2年の谷川美歩に開始早々の横四方固で敗れて2位だった。 団体戦では2回戦で北海高校と対戦すると、2階級上である70kg級の杉本梨々花を指導2で破るがチームは敗れた[5][22]

2年になると、4月の全日本カデでは決勝で大成高校2年の武田亮子腕挫十字固で破って優勝した。この際に、「高校になって初優勝なので嬉しい。まだ、立ち技が十分ではないので力を入れて練習したい」「内股、大内刈を強化している」と語った[23]

7月の金鷲旗では3回戦で東大阪大敬愛高校と対戦すると、大将戦で78kg超級の斉藤芽生に敗れた[24]

8月のインターハイ団体戦では初戦で沖縄尚学高校と対戦するが、78kg超級の嘉数真奈に指導2で敗れた。この時の教訓から体格の大きな選手にも組み負けないことを強く意識するようになった[25]。 一方、個人戦では決勝で夙川学院高校3年の村上栞菜と対戦すると、GSに入ってから相手の小外刈を返して技ありで優勝を果たして、山梨県勢で今大会を制した初めての選手になった。この際に、「寝技で勝つことが多く、立ち技が課題。やることがたくさんある」と語った。また、普段から指導しているコーチの矢嵜仙子は、「まじめで粘り強い選手」と舟久保を評した[5][16][26][27][28]

9月の全日本ジュニアでは準決勝で山梨学院大学2年の出口クリスタ内股の有効で破ると、決勝ではインターハイに続く対戦となった村上をGSに入ってから崩袈裟固で破って優勝を成し遂げた。この際に、「立ち技の感覚が、だんだん掴めてきた。これからはシニアでも活躍したいです」。さらには、(ロンドンオリンピック金メダリストで世界チャンピオンの)松本薫)とも「やってみたいな」と語った[4][5][7][8][16][29]

10月の国体少年女子の部では準々決勝で鹿児島県と対戦すると、63kg級の幸田奈々に横四方固で敗れて5位にとどまった[30]

続く世界ジュニアでは、「絶対に勝たないといけない」という思いから序盤は自分の柔道が思うように展開できなかったが、3回戦でヨーロッパジュニア2位であるスペインのテクラ・カディージャ・アセベドに指導3で勝った以外は全て得意の寝技で一本勝ちすると、決勝ではヨーロッパジュニアチャンピオンであるルーマニアのステファニア・ドブレを崩袈裟固で破って見事優勝を成し遂げた[31][32]。 団体戦では準決勝まで寝技で勝利するものの、決勝のフランス戦ではサラ・アラシに指導2を取られて敗れたが、チームは優勝を飾った[33][34]。なお、今大会後には次のように語った。「多くの方がサポートしてくれた大会だったので優勝できてうれしかった」「さらに上を目指すには技術も努力も必要。寝技を生かすために立ち技をもっと磨かないといけない」「大きな大会に出場させていただいて良い経験が積めている。東京五輪出場を目指して頑張りたい」[25]

11月には学校関係者とともに富士吉田市役所に出向いて、市長の堀内茂に世界ジュニアの優勝報告を行った。この際に、「(ケガを予防するために)毎日ストレッチしています」「地元の人から応援してもらえたので力になりました」「多くの人が祝福してくれたのでとてもうれしかったです。2020年の東京オリンピック出場を目指して頑張っていきます」と語った[35][36]

続いて、シニア大会デビュー戦となった講道館杯に出場するが、初戦で帝京科学大学4年の難波実里に袖釣込腰の技ありで敗れた[37]

2016年3月の全国高校選手権個人戦では決勝で桐蔭学園高校1年の若藤唯を肩固で破るなど5試合のうち3試合を得意の寝技で勝利して優勝を飾り、2位に終わった前回の雪辱を果たした。試合後のインタビューでは、「(大会前に)立ち技で勝つって言ってたのに~。寝技ばかりになっちゃいました~」とおどけながらも、「経験が増えて、イメージもできている。こういう大舞台でやりきれる精神力がついたと思います」「日本武道館は(東京)五輪が行われる場所なので、ここで優勝したかった」とコメントした。団体戦では準々決勝で大成高校と対戦すると、山室未咲に反則勝ちするもチームは敗れて5位にとどまった[6][38][39][40]

柔道スタイル

寝技を得意にしており、一本勝ちのほとんどは寝技によるものとなっている。とりわけ「舟久保固め」とも呼ばれる独自の抑込技での一本勝ちが多い。中学3年の時にうつぶせの相手を抑え込む方法を研究しているうちに、右釣り手で相手の左肩越しから道着の内側を掴み、そこからひっくり返す方法を編み出した。この手順がうまくいけば基本的に一本が決まるという。この技は崩袈裟固と分類される場合が多いものの、肩固と判断されることもある。本人もこの技の正式な分類についてはよく分らないとしている。監督の矢嵜は舟久保について次のように述べた。「三度の飯より柔道が好き」「性格的に真面目で、与えた課題は必ずできるように努力を惜しまない」「舟久保は、器用な子ではない。むしろ不器用。彼女のストロング・ポイントは、努力できる才能。人の3倍かけて覚える。そして、覚えたら忘れない」。一方で舟久保本人は次のように語った。「(「が余る」ほどの腕の長さを武器にした得意とする寝技は)努力と根性で強くなれる」。一方で、立ち技での一本勝ちが少ないことから、立ち技の強化を課題として取り組んでいる。パワー柔道を自認するだけあって、筋肉トレーニングも取り入れてさらなるパワーアップも図っている[4][5][6][14][40]


戦績

年月 大会 成績
2012年8月 全中 5位
2013年8月 全中 優勝
2014年4月 全日本カデ 2位
2014年8月 インターハイ 5位
2014年10月 国体少年女子の部 5位
2014年12月 アジアカデ 優勝
2015年3月 全国高校選手権 2位
2015年4月 全日本カデ 優勝
2015年8月 インターハイ 優勝
2015年9月 全日本ジュニア 優勝
2015年10月 国体少年女子の部 5位
2015年10月 世界ジュニア 優勝
2015年10月 世界ジュニア団体戦 優勝
2016年3月 全国高校選手権 優勝
2016年3月 全国高校選手権団体戦 5位

脚注

  1. ^ a b c 「柔道全日本強化選手名鑑 2016」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2016年4月号
  2. ^ 選手一覧
  3. ^ 富士学苑柔道部後援会
  4. ^ a b c d じぇじぇじぇな強さ!能年玲奈似の舟久保初V 柔道 日刊スポーツ 2015年9月12日
  5. ^ a b c d e f 「柔道の能年」舟久保遥香がジュニア初制覇 日刊スポーツ 2015年9月13日
  6. ^ a b c 能年玲奈似の舟久保遥香 オリジナル寝技で初V 日刊スポーツ 2016年3月20日
  7. ^ a b 舟久保、寝技で栄冠=全日本ジュニア柔道 時事通信 2015年9月12日
  8. ^ a b 舟久保、高校総体に続くV「気持ちを前に出せた」/柔道 サンケイスポーツ 2015年9月12日
  9. ^ 「第6回全国小学生学年別大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2010年10月号
  10. ^ 富士吉田市役所
  11. ^ 「第7回全国小学生学年別大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2010年10月号
  12. ^ 「全国中学校柔道大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2011年10月号
  13. ^ 「全国中学校柔道大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2012年10月号
  14. ^ a b 「全国中学校柔道大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2013年10月号
  15. ^ 富士学苑の舟久保 夢の日本一 5戦オール一本 柔道女子57キロ級 山梨日日新聞 2013年8月21日
  16. ^ a b c スポーツ山梨
  17. ^ 「全日本カデ柔道体重別選手権大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2014年6月号
  18. ^ 富士学苑 対 横須賀学院
  19. ^ 「第63回全国高等学校柔道大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2014年10月号
  20. ^ 「第69回国民体育大会柔道競技」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2014年10月号
  21. ^ 2014年アジアカデ・ジュニア選手権大会
  22. ^ 「第37回全国高等学校柔道選手権大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2015年5月号
  23. ^ 「全日本カデ柔道体重別選手権大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2015年6月号
  24. ^ 富士学苑 対 東大阪大敬愛
  25. ^ a b 「東京五輪目指し頑張る」…柔道世界ジュニア 読売新聞 2015年11月3日
  26. ^ 【高校総体】柔道女57キロで舟久保が雪辱果たし初優勝 スポーツ報知 2015年8月11日
  27. ^ 女子57キロ級は舟久保が2年生女王に/高校総体 サンケイスポーツ 2015年8月11日
  28. ^ 「全国高等学校柔道大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2015年9月号
  29. ^ 「平成27年度全日本ジュニア柔道体重別選手権大会」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2015年11月号
  30. ^ 「第70回国民体育大会柔道競技」近代柔道 ベースボール・マガジン社、2015年10月号
  31. ^ 浅利、舟久保が優勝=柔道世界ジュニア 時事通信 2015年10月24日
  32. ^ Junior World Championships 2015, Abu Dhabi - DAY 2
  33. ^ 団体は男女とも優勝=柔道世界ジュニア 時事通信 2015年10月28日
  34. ^ Japan prove judo future is bright with team sweep at IJF Junior World Championships
  35. ^ 女子柔道舟久保選手が優勝報告 NHK 2015年11月4日
  36. ^ 柔道:世界ジュニア選手権でV 富士吉田市長を舟久保選手表敬 /山梨 毎日新聞 2015年11月5日
  37. ^ 平成27年度講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 全日本柔道連盟 2015年11月8日
  38. ^ 第38回 全国高等学校柔道選手権大会
  39. ^ 柔道、女子57キロ級は舟久保V - 高校選手権第1日 マイナビニュース 2016年3月19日
  40. ^ a b 【柔道】富士学苑・舟久保、完全リベンジV「勝ててホッとしている」 スポーツ報知 2016年3月20日

外部リンク