祓
祓(はらえ/はらい)とは、神道上において犯した天津罪・国津罪などの罪や穢れ、災厄などの不浄を心身から取り除くための神事・呪術のこと。なお、祓の神事を行うことを修祓(しゅばつ、しゅうほつ)という。
概要
神前において祈り、祓詞を奏したり、財物などを祓物として拠出させることで、その罪や穢れを購わせた。律令国家成立以後は、大祓が国家儀式として行われるようになった。
ただし、法制史の世界においては、本来の祓には穢れを除去する要素は含まれておらず、天津罪・国津罪などを犯した者が神に対して財物を献上することで神に祈謝・贖罪を行う一種の財産刑であったとする見方がある。実際に中世の神社関係の文書では穢れの存在を理由として祓が一定期間にわたって延期・中止されたとする記述が確認され、祓は穢を除去するものではなく、反対に穢を忌避するものであると認識されていたことが知られている[1]。
俗に、神前で行われる祈祷のことを、災厄除けの祈祷(本来の意味の「祓」)以外のものも含めて「お祓い」という。また、神社が頒布する災厄除けの神札も「お祓い」と呼ばれる。
かつて、伊勢神宮の御師が全国を廻って伊勢神宮の神札を配っていたが、それを入れる箱のことを「お祓い箱」と呼んでいた。新しい神札が配られると古い神札は不要になることから、「お祓」を「お払い」にかけて、不要なものを捨てる(人を解雇する)ことを「お祓い箱(お払い箱)」という。
脚注
- ^ 渡邉俊「『春日清祓記』の基礎的考察」『中世社会の刑罰と法観念』(吉川弘文館、2011年) ISBN 978-4-642-02899-8 (原論文は2010年)
関連項目