樽見鉄道ハイモ295-610形気動車

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三木鉄道ミキ300形気動車 > 樽見鉄道ハイモ295-610形気動車
樽見鉄道ハイモ295-610形気動車
ハイモ295-617
2011年4月
基本情報
運用者 樽見鉄道
製造所 富士重工業[1]
種車 三木鉄道ミキ300形気動車[2]
製造初年 2002年[1]
導入年 2009年[3]
総数 1両[3]
運用開始 2009年3月1日[4]
主要諸元
軌間 1,067 mm
最高速度 95[6] km/h
車両定員 116名
(座席57名)[6]
自重 29.7 t[6]
全長 18,500[5] mm
車体長 18,000 mm
全幅 3,090[5] mm
車体幅 2,700 mm
全高 4,000[5] mm
車体高 3,690 mm
床面高さ 1,240 mm
車体 普通鋼[8]
台車 揺れ枕:上枕式空気ばね
軸箱支持:ペデスタル式
FU50D/FU50T[6]
車輪径 810 mm[9]
固定軸距 1,900 mm[10]
台車中心間距離 13,000 mm
機関 日産ディーゼルPF6HT03ディーゼルエンジン[5]
機関出力 217 kW (295 PS) / 2,100 rpm[6]
変速機 液体式(SCAR0.91B-4D1) [6]
変速段 変速2段、直結1段[8]
制動装置 SME[6]
保安装置 ATS-ST[7]
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樽見鉄道ハイモ295-610形気動車 (たるみてつどうハイモ295-610がたきどうしゃ)は、2002年平成14年)に製造された三木鉄道ミキ300-1052009年(平成21年)に譲受した樽見鉄道気動車である[2]

概要

1985年(昭和60年)4月に日本国有鉄道三木線第三セクターに転換して開業した三木鉄道では、開業以来ミキ180形2両で運転していた[11]が、1998年(平成10年)に三木駅の信号設備改良による増発が行われ、所要車両数増加に対応してミキ300形1両が製造された[10]。その後、1999年(平成11年)、2002年(平成14年)にミキ180形の代替用として各1両が製造されている[10][12]2008年(平成20年)3月末に三木鉄道は廃止[13]、ミキ300形のうち2両は競売にかけられ、ミキ300-105は樽見鉄道が落札[14]、ハイモ295-617となった[2]。樽見鉄道では当初内外装とも変更を施さずに使用された[2]が、2014年(平成26年)に外部塗装が変更されている[15]。形式名「ハイモ」は「ハイスピードーターカー」の略、295は馬力表示の機関出力を意味している[16]。樽見鉄道にはすでにほぼ同型のハイモ295-510形が存在したが、ハイモ295-510形は車内がロングシートだった一方、ミキ300形はセミクロスシートだったため、別形式となった[7]

構造

車体

車内

ミキ180形はバスの構体を流用したリベット構造だったが、ミキ300形では一般的な鉄道車両と同じ溶接構造となった[8]。前面は貫通式、乗務員室は左側に設けられ、乗務員用扉が設けられた[8]トイレは設置されていない[17]。車椅子での乗降を考慮し、幅広の引き戸の客用扉が片側2か所、両車端に設けられた[8]。扉間には上段固定、下段上昇の2段窓6か所が備えられた[8]。車体外部はミキ180形と同じ公募により決まった三木鉄道標準色で、白をベースに美嚢川を表す青を車体下部に巻き、車体中央部には赤い帯が入っている[18]

車内はセミクロスシートで、通路を挟んで左右に4人掛けボックスシートが4組ずつ設けられた[8]。通路の左右でボックスシート一組分ずらして配置され、扉付近には車椅子スペースが設けられており[19][8][20]、車椅子での乗降に備え、着脱式のスロープが搭載されている。

走行装置

エンジンは、電子制御の日産ディーゼル製PF6HT03ディーゼルエンジン定格出力(217 kW / 2,100 rpm)を1基搭載[6]、動力は神鋼造機製SCAR0.91B-4D1液体変速機(変速2速、直結1速)を介して2軸駆動の台車に伝達される[6]。台車は上揺れ枕空気ばね式FU50D/Tが採用された[6]制動装置は従来車との併結を考慮してSME三管式直通ブレーキが採用された[6]デッドマン装置、戸閉保安装置、列車無線などが設置され、保安度の向上がはかられた[8]

空調装置

暖房装置はエンジン排熱を利用した温風式である。冷房装置は機関直結式の能力27.9 kW(24,000 kcal/h)のBCU50が1基設置された[6]

車歴

ハイモ295-610形
形式 車両番号 製造 三木番号 三木廃止 樽見入籍 廃車
ハイモ295-610 ハイモ295-617 2002年12月[1] ミキ300-105[3] 2008年3月[13] 2009年3月[3] -

運用

広告塗装のハイモ295-617

ミキ300形は、三木駅の信号設備改良による増発用としてミキ300-103が1998年(平成10年)に、従来のミキ180形の代替用としてミキ300-104、105が1999年(平成11年)、2002年(平成14年)に製造された[17]。車両番号はミキ180形と連番になっている[10]。2008年(平成20年)3月末に三木鉄道は廃止となり[13]、ミキ300-105は競売で樽見鉄道に売却された[14]。ミキ300-105は2008年(平成20年)12月9日から11日にかけて三木駅から本巣駅まで陸送され[21]、ハイモ295-617に改番、試運転ののち[22]2009年(平成21年)3月1日から営業運転に使用され[4]、代替としてハイモ230-301が廃車された[23]。樽見鉄道にはすでにほぼ同型のハイモ295-510形が存在したが、ハイモ295-510形は車内がロングシートだった一方、ミキ300形はセミクロスシートであるなど仕様が異なるため、別形式となった[7]。樽見鉄道では三木鉄道時代の内外装に大きな変更を施すことなく使用された[2]が、2014年(平成26年)10月にケーブルテレビ局の広告塗装に変更されている[15]

出典

参考文献

書籍

  • 寺田 祐一『私鉄気動車30年』JTBパブリッシング、2006年。ISBN 4-533-06532-5 

雑誌記事

  • 『鉄道ピクトリアル』通巻582号「新車年鑑1999年版」(1999年10月・電気車研究会)
    • 藤井信夫、大幡哲海、岸上明彦「各社別車両情勢」 pp. 91-107
    • 三木鉄道(株)鉄道部 関根 正司「三木鉄道 ミキ300形」 pp. 128
    • 「車両諸元表」 pp. 174-175
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻685号「【特集】関西地方のローカル私鉄」(2000年5月・電気車研究会)
    • 鈴木宏治「現有私鉄概説 北条鉄道」 pp. 97-101
    • 鈴木宏治「現有私鉄概説 三木鉄道」 pp. 101-104
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻738号「鉄道車両年鑑2003年版」(2003年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2002年度民鉄車両動向」 pp. 109-130
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 208-219
  • 『レイルマガジン』通巻250号(2004年7月・ネコ・パブリッシング)
    • 寺田 祐一「私鉄・三セク気動車 141形式・585輌の今!」 pp. 4-50
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻810号「鉄道車両年鑑2008年版」(2008年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2007年度民鉄車両動向」 pp. 122-151
  • 『鉄道ピクトリアル』通巻825号「鉄道車両年鑑2009年版」(2009年10月・電気車研究会)
    • 岸上 明彦「2008年度民鉄車両動向」 pp. 108-134
    • 「各社別新造・改造・廃車一覧」 pp. 222-235

Web資料

関連項目