最後の事件
最後の事件 | |
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著者 | コナン・ドイル |
発表年 | 1893年 |
出典 | シャーロック・ホームズの思い出 |
依頼者 | なし |
発生年 | 1891年 |
事件 | モリアーティ一味からの逃避行 |
「最後の事件」(さいごのじけん、The Final Problem)は、イギリスの小説家、アーサー・コナン・ドイルによる短編小説。シャーロック・ホームズシリーズの一つで、56ある短編小説のうち24番目に発表された作品である。イギリスの「ストランド・マガジン」1893年12月号、アメリカの「マクルーア・マガジン」1893年12月号に発表。同年発行の第2短編集『シャーロック・ホームズの思い出』(The Memoirs of Sherlock Holmes) に収録された[1]。
ドイルのホームズものの断筆作となった。この作品の後、ホームズの死を悲しんだロンドン・シティーの金融マンが、喪章をつけて通勤したという噂もある。
これ以降、ホームズものの新作は8年後の1901年に発表された『バスカヴィル家の犬』まで待たねばならなかった(ただしこの事件は「最後の事件」以前に起こったものとしている)。ホームズが復活するのはさらに2年後の1903年、「空き家の冒険」によってである。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
あらすじ
冒頭で、ワトスンが前作「海軍条約文書事件」を最後にホームズの物語を断筆し、ホームズと死別することになった事件については語らないつもりだったが、ジェームズ・モリアーティ教授の兄弟がモリアーティの名誉を擁護し始めたため、やむを得ずこの事件の真相を書くことになったと説明している。
ホームズとワトスンは、終生のライバルであるモリアーティ教授の追跡を逃れ、ロンドンからスイスまでやってくる。だがここにもモリアーティの追跡の手は伸びており、1891年5月4日、ライヘンバッハの滝の岩棚でホームズとモリアーティは対峙することになる。
ホームズとワトスンがライヘンバッハの滝に着いたところで、ワトスンは宿泊していたホテルからの手紙を携えた使いに会う。手紙にはイギリス人患者が病に倒れ、同国人の医者に診てもらいたい旨が記されていた。ワトスンはホームズを置いてホテルまで戻るが、それは偽の手紙であった。胸騒ぎを覚えながらもワトスンはあわててライヘンバッハまで引き返すが、ホームズの姿はどこにもなく、登山杖と滝の頂上へ向かう2筋の足跡が残されているだけだった。
足跡をたどると、滝の頂上で争った跡があり、そこにはホームズの最後の挨拶となる短い書き置きが、ホームズの愛用していた銀製のシガレットケースを重石に残されていた。ホームズは、先刻の手紙が自分を独りにするためのモリアーティ教授の罠だとわかっていながらワトスンを見送ったのだった。
モリアーティ教授について
この作品で、ワトスンはホームズからモリアーティ教授のことを聞くのを初めてだといっている。しかし、後に発表された『恐怖の谷』では、すでにモリアーティ教授が事件の黒幕であると聞かされている。
映像化の際の変更点
グラナダテレビ版『シャーロック・ホームズの冒険』では第2シリーズ最終話で放映した。元々ホームズの最終作のはずだった原作と違い、「空き家の冒険」に続くことを踏まえており、ラストでライヘンバッハの滝周辺でホームズの名を呼び、探し続けるワトソンに気付かれないように現場を立ち去るホームズらしき人物の後姿が挿入されている(明確にホームズだという描写はされていない)。
脚注
- ^ ジャック・トレイシー『シャーロック・ホームズ大百科事典』日暮雅通訳、河出書房新社、2002年、132頁