大分弁

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ファイル:Oita-dialect.jpg
大分弁が用いられている看板

大分弁(おおいたべん)は、九州大分県で話されている日本語の方言。地域差が大きく、特に日田地方、中津地方の方言はそれぞれ語彙などに独自性を持つ。

概要

全体として中国方言の影響が強く、九州方言の中ではやや異質な方言であると言える。

区画

大分県の方言は、音韻や語法、文法の違いから、以下の5つの小区分を立てることができる[1]

  • ①東北海岸方言(国東半島東部)
  • ②南部海岸方言(津久見市南部~佐伯市の豊後水道沿岸部)
  • ③西部方言(日田市・玖珠郡の大部分・中津市山国町)
  • ④北部方言(①の地域を除く別府市以北)
  • ⑤南部方言(②の地域を除く大分市以南)

西部方言は肥筑方言の影響下にあり、広範囲に終助詞の「ばい・たい」、準体言助詞の「~つ(と)」が分布する。特に日田地方の方言(例:日田弁)は前述の特徴に加えて逆接の接続詞「ばってん」や「よい・ない」の2語については終止形にカ語尾を有し、アクセント体系の違いや西九州各地の方言と多くの語彙を共有する点など、豊日方言(両豊方言)の特徴が色濃い県内他地域の方言とは相違が大きい。

文法

可能表現の使い分け

西日本各地の方言と同様に、状態可能と能力可能の表現を使い分けるが、大分弁においては、状態可能表現が主観と客観によってさらに二分化され、あわせて3種類の使い分けがなされている。

  1. 「食べらるる」→(腐っていないから)食べることができる。(=状態可能/客観)
  2. 「食べれる」→(まだ満腹ではないので)食べることができる。(=状態可能/主観)
  3. 「食べきる」→(苦手だったりお腹にあたる人もいるけれども、自分は)食べることができる。(=能力可能)

不可能を表す場合には、上記を否定形で用いる。

「食べられん」(=状態不可能/客観)、「食べれん」(=状態不可能/主観)、「食べきらん」(=能力不可能)

「-よる」と「-ちょる」の使い分け

西日本各地の方言に共通して見受けられる、動作の進行・継続を表す「-よる」と、状態の完了・継続・結果を表す「-ちょる」の2種類のアスペクト表現が大分弁にも存在する。「-よる」は「-よん」、「-ちょる」は「-ちょん」に変化することもある。

  1. さっきから雨が降りよるなぁ。→さっきから雨が降っているね(今も降っている)(=進行・継続)
  2. いつん間にか雨が降っちょるなぁ。→いつの間にか雨が降っているね(今はもう上がっている)(=完了・存続・結果)

語尾・接続語

現在でも多くの世代に残っているものとしては以下が挙げられる。

  • 「~っちゃ」- 文の内容を強調したい時に語尾につける。(例)違うっちゃ!俺はやっちょらんっちゃ!(違うって!俺はやってないって!)
  • 「~っち」- 「~って」(例)あの2人結婚したっちえ(あの2人結婚したってよ)

大分弁だけでなく、北九州市周辺でも使う。また大分弁は接続助詞の「て」以外の「て」も「ち」に変える傾向が強い。
(例)「ちょっと聞いちくり」(ちょっと聞いてくれ)「待っちくり」(待ってくれ)

  • 「~に」- 標準語でいう「~だよ」に近い。(例)まだ宿題してないに(まだ宿題してないんだよ)
  • 「~やに」-「~に」と使い方はほぼ同じ。(例)あんたの事が好きやに(あなたの事が好きなんだよ)
  • 「~けん」-「~から」 九州の広範囲で使う。
  • 「そげえ」「どげえ」「こげえ」「あげえ」-「そんな」「どんな」「こんな」「あんな」
  • 「~かえ」-標準語の「~かい?」や「~しなさい」に近い。ただ若い人は使わない人が多い。(例)元気かえ?(元気かい?) 使ったらちゃんと直さんかえ(使ったらちゃんと片付けなさい)

動詞の可能動詞

ら抜き言葉」といわれる若者言葉ではなく、かなり古くからみられた。例:見る→見れる

活用

動詞

  • ナ行変格活用が残存している。(但し、「往(い)ぬ」は標準語では用いない)
基本形 方言 活用形
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
死(し)ぬ・往(い)ぬ 標準語 -な -に -ぬ -ぬ -ね -ね
大分弁 -な -に -ぬる -ぬる -ぬら -ね・によ
古語 -な -に -ぬ -ぬる -ぬれ -ね
基本形 方言 活用形
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
見(み)える 標準語 -え -え -える -える -えれ -えろ・えよ
大分弁 -え -え -ゆる -ゆる -ゆれ -えろ・えよ
見(み)ゆ 古語 -え -え -ゆ -ゆる -ゆれ -えよ
れる 標準語 れる れる れれ れろ・れよ
大分弁 るる るる るれ れろ・れよ
古語 るる るれ れよ
  • 標準語の上一段活用・下一段活用動詞が、一段活用と五段活用との混合した活用をする。
基本形 方言 活用形
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
見(み)る 標準語 みる みる みれ みろ・みよ
大分弁 みら みる みる みら みれ・みよ

形容詞

大分方言では形容詞の終止形・連体形を「-い」で結ぶ(イ語尾)。但し、県西部では「よい」「ない」の2語のみ終止形に「よか」「なか」が用いられる場合がある。形容詞の活用には標準語といくつかの相違点がある。

基本形 方言 活用形
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形
寒(さむ)い 大分弁 さむかろ-う さむかっ-た、
さむう-なる
さむい さむい-とき さむけり-ゃー
/さむかり-ゃー
  • 連用形は、共通語「さむくなる」に対して大分方言では「さむうなる」とウ音便になる。
  • 仮定形は、共通語「さむければ」に対して大分方言では「さむけりゃー」となる。また、より古形とされる「さむかりゃー」も用いられる。

形容動詞

大分方言での形容動詞活用形は以下の通りである。
基本形 方言 活用形
未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形
静(しず)か 大分弁 しずかじゃろ-う、 しずかじゃっ-た、
しずかに-なる、
しずかで-あります
しずか-じゃ、
しずか-な
しずかな-とき しずかなり-ゃ
(しずかなら)

大分方言は標準語の形容動詞「きれいだ」「おっくうだ」などの語を欠き、代わりに形容詞の「うつくしい」「よだきい」を用いる他、形容動詞の多くの語が形容詞としても活用する点が特徴である。

  • 大分方言では形容詞として活用する形容動詞の代表的な語彙
「四角だ→しかきい」「真っ青だ→まっさいい」「横着だ→おうちゃきい」「賑やかだ→にぎやけえ」「気の毒だ→きのどきい」「真っ直ぐだ→まっすぎい」など。

音韻

  • 共通語と異なり、大分方言には鼻濁音がない。
  • 「~と言って」→「~ち言うち」→「~ちゅち」などと、早く言いやすいように言葉が詰まって、拗音になる場合が多い。
例:「年をとって」→「としゅとっち」、「何を言っているの」→「なん、言いよんのかぇ(なんいいよんのかのぅ、なにょういいよんのかぇ)」(なにょいうちょんのかえ、とは言わない。)
  • 連声 例:「みかんは」→「みかんな」

音便

早口になりやすく、音便を多用する。

共通語とは異なる音便

  • ウ音便
    1. ワ行五段活用動詞の連用形:ウ音便 例:「オモタ」(思った)、「ソロタ」(揃った)
    語幹の末尾がア段の場合には、オ段への変化を伴う。例:「コータ」(買った)、「モロータ」(貰った)
    1. バ・マ行五段活用動詞の連用形:ウ音便※ 例:「アソダ」(遊んだ)、「ヨダ」(読んだ)
    2. 形容詞の連用形:ウ音便 例:「赤くて」→「アコテ」、「高くて」→「タコテ」
  • イ音便
    1. サ行五段活用動詞の連用形:イ音便※ 例:「差した」→「サタ」、「貸した」→「カタ」
    語幹の末尾がオ段の場合には、イ段への変化を伴う。例:「残した」→「ノキータ」、「戻した」→「モヂータ」
注:※を付した音便は、高齢者しか使わなくなってきている。

連母音の融合

大分方言では以下の連母音融合が発生する。

  1. ア段+い → エ段+エまたは長音 例:「辛い」→「カレエ/カレー」
  2. ウ段+い → イ段+イまたは長音 例:「明るい」→「アカリイ/アカリー」
  3. オ段+い → イ段+イまたは長音、エ段+エまたは長音 例:「黒い」→「クリイ/クリー」、「クレエ/クレー」

アクセント

大分方言のアクセント体系は、大部分の地域が外輪型東京式アクセントに分類される。 日田市の大部分は型区分の少ない東京式の変種アクセント(筑前式アクセントに類似)に分類され、熊本県側にせり出す形で位置する同市上津江町・同市中津江村は無アクセントとされており、他地域とは大きく対立する。

共通語と異なるアクセントの語

左が共通語、右が伝統的な大分弁のアクセントである。

  • (頭高):や「矢」 - 大分では平板
  • の:お「斧」 - 大分では尾高
  • も:く「雲」 - 大分では尾高
  • (尾高):く「服」
  • (尾高):み「蚤」
  • いだ(平板):あいだ「間」 - 大分では尾高
  • ぶら(平板):ぶら「油」
  • わび:あび「鮑」
  • たち(平板、尾高):いち「鼬」
  • わら(尾高):わら「瓦」
  • もの(平板):きの「着物」
  • んじょ:きんじょ「近所」
  • なか(平板):せか「背中」
  • すき(尾高):すき「襷」
  • ばこ(平板):たこ「煙草」
  • よこ:ちこ「千代子」(固有名詞 美代子、春子なども同様)
  • じ/つつじ(平板):つじ「躑躅」
  • しら(平板、尾高):しら「柱」
  • うべ(尾高):うべ「夕べ」
  • ばさん(平板):おさん「小母さん」 ※叔母、伯母の意味では共通語と同じアクセント
  • うもり:こもり「蝙蝠」
  • (平板):く「咲く」
  • (平板):く「抜く」
  • いる:はる「入る」
  • おい:おい「多い」
  • 2拍名詞第2類で共通語は尾高型、大分方言では平板型になる。このことから外輪型東京式に分類される。
    • :いし「石」、い:いわ、その他「歌」「紙」「川」「旅」「寺」「梨」「夏」「橋」「旗」「肘」「冬」「町」「胸」「村」「雪」
  • 3拍名詞第5類は共通語が頭高型、大分方言では中高型が多くなる。
    • みじ:もじ「紅葉」、のち:いち、その他「蕨」「姿」「朝日」「涙」
  • 3拍名詞第6類、第7類は共通語が平板型、大分方言では頭高型が多くなる。
    • ずみずみ「鼠」、いちごちご「苺」、その他「兎」「鰻」「狐」「雲雀」「雀」「蚯蚓」「後ろ」「鯨」「盥」

その他

  • 「ざ」、「ぞ」→「だ」、「ど」 例:「ぞうきん」→「どうきん」
  • 「のう」→「にょう」 例:「昨日」→「きにょう」
  • 「らだ」→「だら」 例:「からだ」(体)→「かだら」 ※「からだ」以外の言葉で「だ」と「ら」が入れ替わる例は無い。高齢者以外にはほとんど見られない。
  • 「あんな」→「あげな」、「そんな」→「そげな」、「どうにもこうにも」→「どげんこげん」など。なお、早口のときは、「あんな」→「あいな」などと変化することもある。
  • 「つ tsu」→「とぅ tu」 例:「つまらん」→「とぅまらん」 - 少なくとも北部では、中年以上でこの発音をする人が時折いる。

代表的な語彙

太字部分にアクセント。

あ行

  • い/あえ:青い。
  • たる:さわる。
  • :踵。
  • ぼ:餅。
  • ゆる:強風などで、枝についている実が落ちてしまうこと。
  • あらきい/あらけねえ:荒っぽい。
  • んし:「あの人」の意味。「し」は衆で、関西方面の一部で男衆(おとこし)と発音することとの近似が認められる。
  • いいちこ:県北部で使われる(中津弁)。「ちこ」は強意の接尾辞。同名の麦焼酎「いいちこ」も三和酒類より発売されている。
  • かずとうきょうべん:気取って、普段の会話も共通語で話そうとする人を馬鹿にする言葉。
  • かちい:「(性格が)悪い」のほうの「おろいい」とほぼ同じで、県北で使う。なお、「おろいい」「いかちい」はそんなに深い意味はなくても、会話の中で冗談交じりに「あんたおろいいわあ」などと使うものであり、その場合は別に人格を否定しているわけではない。ただし第三者をさして「~はおろいい」などと言う場合は別である。
  • いっすんずり:渋滞がひどいさま。少し動いては止まりを繰り返す様子。、
  • いっかっち:マテバシイイチイガシなど、アク抜きをせずに食べられるどんぐりの類。
  • :お尻(女性がつかう言葉)
  • びしい/いびしげねえ:汚い、気味悪い
  • り/いり:蟻。「家蟻」が訛ったもので、食物等を狙って家の中に侵入してくる蟻を指して言う。
  • たちい:汚い、不潔だ
  • えらしい:「かわいい」の意味。しばしば「えしい」と発音される。
  • のは:ヤマメ(魚の名)。
  • さん、おさん、:親しみをこめた呼びかけ。
  • ど:釜戸。
  • い/おえ/おい/おい:怖い
  • じゃみ:お手玉
  • っさん:和尚さん。
  • っとろしい:「恐ろしい」の意味。
  • っとしゅなこつ:「すごいなあ」の意味の感嘆の言葉。
  • っとっしゃう:上に同じ。
  • らぶ:「叫ぶ」の意味。
  • ろいい:北部や日田では「古い」、杵築市などでは「(性格が)悪い」の意。北部では「ずるい」の意でも用いられる。
  • ぼ/おっぽ:おんぶ。

か行

  • く:(大きなものを)持つ、担ぐ
  • たぐる:荷物などを担う。
  • ~するかたで:~しながら。
  • る:参加する・仲間に入る
  • ちこわす:「かち」は強意で、「(ばらばらになるほど)ひどく壊す」の意味。
  • って:借りて(例:タオルをかってくる→タオルを借りてくる)
  • る:参加させる・仲間に入れる
  • す:コップなどを間違えて倒したり、液体などをこぼすこと。また、物を裏返したりすること。
  • う:「(荷を)担う」の意味。背負う。全ての世代で使われる。大分県人が方言だと気づいていない単語の代表格。
  • ちい:きつい、激しい、辛い、疲れた、具合が悪い
  • きな:黄色
  • のどきい:気の毒だ。形容動詞「気の毒」が形容詞化されたもの。転じて、「恐縮です」「かたじけない」の意味で用いられる。
  • ばる:用意周到に支度をする、頑張る、力を入れる。
  • いねえ:黄色い
  • がいい:いい気味だ。
  • ぎゅうらし:「仰らしい」。仰々しい。
  • で:傷が入って売り物にならない果物など。
  • びる:「結ぶ」の意味。
  • る:崩れる。
  • い:黒い
  • しょうもしれん:「話題にする価値もない」という意味。
  • けっちゃらきい:とにかく嫌で嫌で仕方がないときに使う。「誰々さんはけっちゃらきい」などとは言わずに、半ば独り言のように使う言葉である。これもほとんど聞かなくなった。
  • ってん:性根が曲がっている。
  • き:ここ。
  • しきい/こい:「ずる賢い」の意味。老人以外にはあまり使わない。
  • ごと:「~のように」の意味。しばしば、ごと→ごつ。「ごとく」の変化と思われる。
  • びる/こびり:農作業時の間食、おやつ。
  • る:かじる、くいつく。

さ行

  • さありゃまあ:「そうだね」の意味。これはほとんど死語と化している。
  • おふき:アオヤギ(貝の名)。
  • かたもしれん:「(馬鹿らしいほど)つまらない」の意味。
  • かぶる、まりかぶる:子供が排泄を失敗すること。「しかぶる」は特に小用の場合を示す。
  • ちくじい:「しつこい」の意味。
  • っとい:七島藺(畳表の材料)。
  • なし:意味のない会話。
  • っと:人の性格の表裏が激しいさま。ころっと変わるさま。例1:~さんなしねっとしちょん。(~さんは表裏が激しい) 例2:~さんな先生ん前じゃおとなしゅしちょってん、先生のおらんとこじゃとしねっとわりいことんじょうする。(~さんは先生の前では静かにしているが、先生のいないところではころっと変わっていたずらばかりする)
  • しゃあしい:「(音が)うるさい」「(作業が煩雑で)嫌だ」の意味。
  • しゃき:榊
  • しゃっち・しゃって:「強いて」「無理に」「わざと」「しょっちゅう」の意味。
  • しょうもねえ:「どうしょうもない」「つまらない」の意味。
  • しょわしい:「忙しい」の意味。
  • い:雨の降ったあとで、地面がややぬかるんでいる様子。
  • らしんけん:一所懸命
  • んけん:非常に、とても
  • かんたらしい:「好かん」の強意。「ばされえ好ん」よりもさらにひどい。
  • っちゃんがっちゃん:バラバラに散らばった状態、めちゃくちゃに壊れた状態、どうしようもないほどひどい状況
  • つねえ:せんない、どうしようもない、身の詰まりだ。
  • る:物事が先に進むこと。
  • もつくれん:「くだらない」「馬鹿馬鹿しい」の意味。多く年配者が使う。
  • く:「急ぐ」「混む」「逸る」「(水路などを)堰き止める」の意味。
  • う(せう):「いじめる」の意。
  • せろしい:「うるさい」「やかましい」の意。
  • い:切ない、やるせない、きつい、面倒だ、情けない。
  • :路地(通常、非常に狭い路地を指す)
  • こらそんばし:適当に、ぞんざいに。

た行

  • ゆうさん:唄、踊りなどが上手な人への冗談交じりの呼びかけ。
  • ちゃあまぁ:驚いた時に思わず出る言葉(「あらまぁ」等)。主に女性が用いる。
  • ちゃいねえ:茶色い
  • ちまわす:「何回もぶん殴る」の意味。
  • つば:唇
  • ぶし:膝。
  • :庭、空き地。
  • :「(手や梯子などが)届く」の意味。
  • う:「~達」の意味。
  • うきび:とうもろこし。
  • うてん:とても。
  • :友人。
  • っぱくろ:嘘、ホラ
  • べ:「びり」「最下位」の意味。びびたんとも言う。
  • どろよこい:農繁期が落ち着くこと。
  • わずべん:独り言。

な行

  • す:「(ものを)しまう」の意味。
  • しか:なんでだ? という意味だが、実際は「しかえ」と語調を和らげる場合が多い。「夕方なしか」という本やラジオ番組があり、全県的に知名度が高い。
  • ば:きのこ。主に椎茸の肉厚をさす
  • んかかる:大分市より北の地方で使われる。寄りかかるという意味。鹿児島弁でも使われる。熊本弁では「ねんかかる」と言うようだ。
  • んくりかやす:「裏返す」の強意。
  • :「ねき」と同様に用いる。
  • :「~んね」の形で使われ、意味は「~の辺り」「~の近所」。
  • じきね:気難しい、天邪鬼な。またはそのような人。

は行

  • わら:墓地。地名や「新」などの後につける場合、しばしば「ばから」と転訛する。例:新墓原(しんばから)
  • されえ:「もの凄く」の意味だが老人以外あまり使わない。
  • じけえ:ワラくずが袖に入ったりしてちくちくして痒いときや、めざしなどを食べて喉がガサガサするときに使う。「はじかいい」とも言う。
  • とこ:駐車料金や小作料など、一定の土地を借りて支払う対価。家賃などには使わない。
  • く:「(ほうきで)はく」の意味。
  • びきたん:蛙
  • る:さえずる。この単語は下1段活用ではなく、5段活用である。したがって打消しはふけらん。
  • こ:娘(自分の子とはかぎらない)。
  • こじる:引きずる。
  • じい:辛い、きつい、疲れた
  • だりい:「おなかがすいた」の意味。
  • びったれ:だらしない・不潔な・汚い人
  • どる:前を向いたまま下がる動作。加えて、目上の人に対して一歩引いた立場を取る様。
  • びんこ:めだか
  • びんびんこ/びびんこ:肩車
  • りかぶる:おもらしをする事。特に大用を示す。
  • ぶっさめえ:宇佐市で使われている、面倒くさいという意味、「よだきい」に近いだろうか。
  • かる、ほす:「捨てる」の意味。
  • :崖。または崖道の難所。
  • たる:「放っておく」「(相手を)そっとしておく」「そのままにしておく」「捨てる」の意味。
  • る:「(屋根から雨水が)漏れる」の意味。同じ「漏れる」でも、「話がぼる」などとはいわない。
  • ん:「とても」の意味。早く喋っているときや感情がこもったときに、「ほんに」が詰まったもの。 例:んちいせえ(とても小さい)
  • ん:男の子。
  • んなこあ:「ほんとだね」の意味。「さありゃまあ」は、本心から「そうだね」と言っているのに対して、「ほんなこてなあ」の場合は相槌のようなものであり、強く同意して「ほんとだね」と言っているわけではない。(否定しているわけでもないが)

ま行

  • :回る。
  • :運。 例:まんがいい
  • げねえ:「かわいそう」の意味。若者にもよく使われる。むげしねぇとも言う。
  • んどしい:恥ずかしい。誤って「面倒くさい」の意味で使う若者も少なくない。
  • うが:馬鍬。
  • 豊後高田市周辺の市町村で使われる、凄く~という意味(もなおもしれえ/もうなおもしりい→すごく面白い)。

や行

  • ぜねえ:「忙しい」「せわしない」の意。
  • ぜんのはなに:途端に。
  • んべ/んべ:昨夜。
  • う:休憩する。憩うの転訛。
  • だきい:めんどう、つかれたなどの気持ちを表す、県全体、多くの世代が使う[2]語源平安時代の「よだけし」。宮崎弁でも使われる。

わ行

  • やく:「いたずら」の意味。
  • くど:蛙。
  • れ:あんた、お前さんといったニュアンスの呼びかけ。男性が用いる。中部では「貴様」のニュアンスの場合もある。地域によって意味するものが「お前さん」と「貴様」の場合があるので、注意が必要。

種類

大分弁を作中で使っている作品等

  • 47都道府犬 - 声優バラエティー SAY!YOU!SAY!ME!内で放映された短編アニメ。郷土の名産をモチーフにした犬たちが登場する。大分県は、椎茸がモチーフの大分犬として登場。『頭が笠でなっ、菌類でなっ、ぶちゃいくでなっ、ほんでなぁ…』など話す。声優は、大分県出身の岩男潤子

脚注

  1. ^ 日本方言の記述的研究・国立国語研究所編(1959) 241-242頁。
  2. ^ 武光誠『県民性の日本地図』文藝春秋〈文春新書〉、2001年、p.212頁。ISBN 4-16-660166-0 

参考文献

  • 『NHK日本語発音アクセント辞典 新版』NHK放送文化研究所 編(NHK出版、1998年発行) - 標準語のアクセントはこの書籍に依った。
  • 『全国アクセント辞典』 平山輝男著(東京堂出版、1977年発行) - 大分市における伝統的なアクセントを調査して掲載。
  • 『日本方言の記述的研究』・国立国語研究所編(1959) 239-264頁(大分県大野郡川登村)
  • 『日本言語地図』第1集~第6集・国立国語研究所編(1966-1974)
  • 『方言文法全国地図』第1集~第6集・国立国語研究所編(1989-2006)

関連項目