回帰熱
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回帰熱(かいきねつ、relapesing fever)は、シラミまたはダニによって媒介される、スピロヘータの一種ボレリア Borrelia recurrentis を病原体とする感染症の一種。発熱期と無熱期を数回繰り返すことからこの名がつけられた。
疫学
本邦では、少なくとも統計が残っている1950年以降は患者は報告されていなかったが、2010年ウズベキスタン渡航後に回帰熱に罹患した症例が奈良市で初めて報告された。
症状
上述の通り、発熱期と無熱期を数回繰り返すことが最大の特徴である。
- 発熱期
- 悪寒を伴い発熱(~40℃)し、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、咳嗽を訴える。髄膜炎、点状出血、紫斑、結膜炎、肝臓や脾臓の腫大、黄疸などを併発することもある。発熱期は3~7日程度続き、その後無熱期に移行する。
- 無熱期
- 解熱と共に血中の菌が検出されなくなる特徴がある。この期間中の症状としては発汗、倦怠感、時に低血圧症や斑点状丘疹をみることもある。5~7日程度で再び発熱期に入る。
- その他の症状
- 肝炎、心筋炎、脳出血、脾臓破裂、大葉性肺炎などを併発することがある。
- 致死率と死因
- 致死率は治療を行わない場合で数~30%程度とかなり高い。その際の死因としては不整脈を伴う心筋炎、脳出血、肝不全、解熱期の血圧低下、ショックなどが挙げられる。
治療
抗生物質による治療が有効で、状況によって以下の薬剤を使い分ける。
ダニ媒介性の場合:テトラサイクリン
シラミ媒介性の場合:テトラサイクリンとエリスロマイシンの併用、若しくはドキシサイクリン
小児の場合はエリスロマイシンが推奨される。
治療にともないヤーリッシュ・ヘルクスハイマー (Jarisch‐Herxheimer) 反応がみられることもある。
参考文献
- Plorde, JJ (1994), “Spirochetes”, in Ryan, KJ et al, Sherris Medical Microbiology, Stamford: Appleton & Lange, pp. 385-400, ISBN 0838585418