商業高等学校

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商業高等学校(しょうぎょうこうとうがっこう)とは主に商業についての専門技術や知識を習得することを目的とする高等学校。狭義には「商業に関する学科」(商業科)を中心に学科が構成されている職業高等学校を指し、広義には「商業に関する学科」や「商業の課程」が設置されている高等学校全般を指す。狭義の場合には、学校名に「商業」が含まれている場合が多い。

概要

商業高校は、商業、産業の技術習得に関する教育課程を編成している。教育活動の対象となる専門分野には、さまざまなものがある。資格取得や検定取得に熱心な高校が多いのが特徴で、取得した検定資格で普通科との差別化を図り、生徒はそれを就職活動推薦による大学進学などに利用している。

商業高校や商業科・情報科を置いている高校のほとんどが、財団法人 全国商業高等学校協会(全商協会)の会員校となっており、資格取得や各種検定において強い影響力を持っている。各種検定や競技大会は全国商業高等学校協会が主催となっているものが多い。

商業科は普通科に比べ、普通教科(特に理系科目)を教える量が少なく易化していることが多いため、その分課外活動に力を入れている高校が多い。そのため部活動で全国的に名を馳せている高校の中に商業高校が含まれていることがよくある[要出典]。その一方で、これにより大学進学者の普通科との差が開くのを避けるため最近では英語等の必修科目で単位を普通科より増やしたり、選択教科として理系科目を習得出来る学校もある[要出典]

商業高校の前身である旧制の商業学校は男子校が多かったが、戦後、GHQの政策により、商業系の学科を持つ高校として共学となった。戦後直後は単独の商業高校ではなく、総合制高校の1学科として商業科を持つ高校が多く、単独の商業高校が復活し始めたのは、昭和20年代後半からである。

最近の商業高校および高校商業科は女子生徒が男子生徒を上回って入学しているのも大きな特徴である。私立高校では女子校として募集している高校もある。公立の高校では原則男女の制限はないが、実際女子生徒が多く集まることが多いようである[要出典]経営情報・情報管理などの情報関係の学科では、男子生徒が多く集まっている所もある[要出典]

おもな設置学科

多くの商業高等学校で設置されている学科には、次のようなものがある。概ね「商業に関する学科」であるが、「#情報処理系」や「#国際経済・商業系」の一部に例外がある。なお、「商業に関する学科」の詳細については「商業 (教科)#商業に関する学科」を参照。

商業・経済系

情報処理系

国際経済・商業系

流通系

会計系

その他

進路

就職の現状

商業高校は、他の実業高校と同じく企業との信用関係があり、全体の約7割は事務系、残りは製造・軽作業、販売、サービスなどの職種で就職する場合が多い[要出典]。その為、各商業高等学校では就職を昔から重視し、面接指導を多く行ったり、進路指導室を積極的に開放したり、マナーや履歴書の書き方講座、小論文対策や採用試験対策などを実施し、少しでも就職に有利に働くようにとさまざまな対策を行っている。就職希望者の内定率については100%であると自負する商業高等学校も多い[要出典]

しかし、就職してからの進路は千差万別ともいわれ、就職の後に英語力を求められたり、キャリアアップが思い通りに進まずに、生涯を通じて下級職として勤務する例もある[要出典]。就職内定率が良好であっても離職率が低い訳では無く、企業退職してフリーターになる場合もある[要出典]

大学への進学

通常、各校には指定校推薦の定員が用意されており、生徒はこの制度を利用して大学へ進学する。各校は大学が自校に対して定員を設けるよう、私立大学に依頼したり、私立大学との関係を強化したりするなどのことを行っている。私立大の一般入試で商業高校の生徒に対する優遇制度を実施している大学もある。国語、英語を必須とし、選択科目の世界史Bや日本史Bなどの地歴科目と数学の代わりに商業簿記や情報での受験が認めている大学もある。最近では大学入試センター試験では数学の代わりに簿記・会計、情報で受験できる大学も増えている大学や実業高校優遇制度を設けている大学がある。例えば次に挙げる大学である。なお、簿記会計の問題の中は工業簿記は含まれない。

一般入試にしろ、センター試験にしろ、問題の程度は日商簿記1級、日商簿記2級(全商簿記1級。大学によっては2級程度)である。試験の対策は大学入試に対応した問題集は販売されていないため、難しいといえる。

商業高校に用意される指定校推薦の定員は、主に私立の経済・商業系の単科大学や私立の総合大学の経済学部商学部経営学部経営情報学部などが多い(なお、国立大学と公立大学は、指定校推薦を原則として行っていない)。それ以外の大学や、指定校推薦の定員が設けられていない大学への進学を希望する場合は、公募推薦やAO入試を受験したり、予備校に通って一般入試を受験したりすることで、大学に進学する。

商業高校においては、大学受験に必須の英語等の授業が普通科に比べて少ない場合もあり、知識は普通科の学生に比べて劣っているのが現状である[要出典]。そのため、推薦入学を希望する場合は、大学入学レベルまでの補完的な勉強を行わねばならない[要出典]実際、大学入学後に意欲や実力のある学生はついて行けるが、十分に勉強していない為に単位を落とすケースも目立っている[要出典]。以上の理由から、積極的に補習を実施する高校がある一方、予備校に通う事を勧める高校が多い[要出典]。一部商業高校ではその様な事で高校自体の信用度が下がるのを恐れ、留年を認めず自主退学させたり、日商簿記検定3級に合格できないと進級出来ない制度を設けている学校もある。一般入試に関しても同様の傾向が強い。しかし利点もあり、日商簿記検定2級以上の検定をもって大学に進学した場合一部の大学の簿記を使用した学科などでは、その証明が出来た時点で単位が与えられることがある。

1990年代以降、少子化の影響で指定校推薦の形態にも変化が生じており、理系大学や理工系学部が、これまで対象してこなかった商業高校全般に対しても、指定校推薦の定員を設けるようになってきている。しかし、大学が定員割れの危惧を受けて、一様に各校を対象として定員を設けたものがほとんどであるともいわれているが、普通科の生徒と商業科の生徒で一般推薦、AO入試で比較された場合、既に3年分商業系の教育を受けている商業科の生徒を多く採る傾向にあり一概にそうともいえない。いずれにせよ生徒は「商業に関する学科」を卒業した後に、これまでと異なる分野を大学で学ぶ場合も増えてきている。また、公立高校と大学が連携して進学を支援する高大連携や、全国商業高等学校長協会による特別推薦による募集もある。

旧学制において高等教育機関に進学する例は旧制中学校からが多いが、実業学校から高等教育機関の旧制実業専門学校に進学する系統もあり、商業学校の優秀な生徒は旧制高等商業学校に進む道もあった。

関連項目

脚注

  1. ^ 長崎県立諫早商業高等学校など。
  2. ^ 新潟県立新潟商業高等学校新潟県立三条商業高等学校三重県立松阪商業高等学校など。