副振動

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副振動(ふくしんどう、英語: secondary undulation)とは潮位の変化のうち潮汐高潮津波などによって発生する以外のものを指す言葉である。潮汐によって発生する潮位の変化を主振動と考えて、それに対する用語である。スイスレマン湖で発生する同様の現象に対する言葉から「セイシュ」(Seiche)とも呼ばれる。

原因がはっきりとわからない潮位の異常を指す異常潮の一種にも分類される。異常潮にはもう1つ、数日程度持続する異常潮位というものがある。

現象

発生の原理はまだはっきりとしていないが海峡においてはごく一般的に見られる現象で、数分から数十分程度の周期で海面の水位が数センチから数十センチほど変動する。外洋で発生した津波や気圧変動、風の影響などによって発生した波が湾内に入り込んで反射して共鳴を引き起こすことが要因として考えられている。発生する場合の周期はその湾の地形などによって決定される固有振動数が影響し、振幅にも地形が影響する。大きな振幅の副振動が発生すると船舶や沿岸の建造物などに被害をもたらすことがある。現在の技術では予測は極めて困難である。

被害

日本国内では長崎湾で発生する副振動が最大のものとして知られ、振幅が3メートルを超えることがある。この地方ではあびきとも呼ばれ、漁業用の網が流される「網引き」が語源であると考えられている。

1979年3月31日に発生したアビキでは長崎検潮所での観測で振幅278センチを記録し、湾奥では470センチに達していたと推測されている。繋留ロープが切断された船が流出し、三菱重工業長崎造船所ドックのゲートが転倒するなどの被害を出している。

2009年2月24日深夜から26日にかけ、九州北部から鹿児島県奄美地方にかけての沿岸部で副振動が観測された。観測された潮位は熊本県天草市で1メートル97センチ、長崎港長崎市)で1メートル57センチ、枕崎港(鹿児島県枕崎市)で1メートル43センチ。天草市で住宅8棟が床上床下浸水し、鹿児島県で係留されていた小型船など30隻が沈没転覆するなどの被害が出た[1]上甑島ではマグロの養殖場が被害をうけマグロが湾内に逃げ出した。[2]

脚注

関連項目

  • 異常潮位
  • 津波 - 数十分程度の周期で潮位の上下を繰り返す、湾奥や海峡などの狭い海域で振幅が大きくなる、河川を遡上することがある、漁船など海岸付近に被害をもたらす、といった面で比較的似通った現象である。ただし発生メカニズム等は全く異なる

外部リンク