三笑亭芝楽

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三笑亭 芝楽(さんしょうてい しばらく)は、落語名跡。江戸と上方の二流あるが、現在は双方とも空き名跡となっていたが2012年5月に昔昔亭桃太郎門下の昔昔亭笑海が真打昇進と同時に11代目柳亭芝楽を襲名。

なお、江戸各代の代数に関しては不明な点が多い。

歌舞伎市川團十郎の縁の演目「」に由来するとされる。

江戸各代

10代目

10代目 柳亭 芝楽さんしょうてい しばらく
本名 茨木 勢三
生年月日 1933年5月10日
没年月日 (1995-01-17) 1995年1月17日(61歳没)
出身地 日本の旗 日本北海道
師匠 3代目春風亭柳好
6代目春風亭柳橋
名跡 1. 春風亭小柳好(1946年 - 1949年)
2. 春風亭好燕(1949年 - 1951年)
3. 春風亭小柳(1951年 - 1967年)
4. 10代目柳亭芝楽(1967年 - 1995年)
出囃子 海上はるかに
活動期間 1946年 - 1995年
所属 日本芸術協会→落語芸術協会

10代目 柳亭芝楽1933年5月10日 - 1995年1月17日[1])本名:茨木 勢三(いばらき せいぞう)[1]出囃子『海上はるかに』。

小樽出身で浦和育ち、1946年10月に3代目(野ざらしの)春風亭柳好門下で仮の芸名として小柳好の名を貰う、1949年に好燕で日本芸術協会(現:落語芸術協会)入り。1951年10月、二つ目で春風亭小柳1956年、柳好死去に伴い6代目春風亭柳橋門下へ。1967年4月、真打となり10代目芝楽を襲名[1]1985年文化庁芸術祭賞受賞。

野ざらし」「がまの油」を得意とした。西川可女蔵の名で日本舞踊の師範の名取でもあり、弟子も多くいた。また踊りでは操り人形振りや片足踊りなどの珍芸も得意とした。

1995年1月17日午後7時27分、肺癌のため東京都葛飾区の病院で死去、62歳[1]。葬儀と告別式は足立区で行われ喪主は長男が務めた[1]

11代目

昔昔亭桃太郎門下の昔昔亭笑海が11代目柳亭芝楽を襲名。

柳亭芝楽_(11代目)の項目参照。

上方各代

初代

初代 三笑亭芝楽1861年 - 1925年)本名:辻村藤三郎。享年不詳。

初め4代目笑福亭吾竹門下で吾妻と言い、吾竹が1887年11月、京都で5代目三笑亭可楽を名乗った際、同時に上方初代の芝楽を名乗った。

1890年12月に上京し、4代目三遊亭圓生の客分として三遊派に加入し、翌年に初席。しかし、当時の東京には上方落語を受け入れる土壌は未だ育っておらず、初代桂小南以前に東上した上方噺家としての足跡は、そのまま忘れ去られてしまった。

1894年4月に真打昇進したが、間もなく京都に戻り、2代目桂文枝(後の桂文左衛門)門下で初代桂文光を名乗る。その後、何らかの理由で文光の名を返上させられ、芝楽に戻る。その後、1910年に6代目三笑亭可楽を襲名するも、錦座の経営難で転業になり引退当然のような形になった。

1911年7月、5代目橘家圓太郎から京都笑福亭の席亭の座を譲られる。晩年は、娘が祇園で営んでいた茶屋「辻村屋」で悠々自適の余生を過ごしたり、芸人(落語、講談手品など)を引き連れて老松会を組織し慈善公演を行なったりもした。

門下には、2代目三笑亭吾妻2代目三笑亭小芝(後の4代目桂文團治)、桂三八らがいる。

代数未詳

2代目? 三笑亭芝楽1841年 - 没年未詳)本名、原田熊二郎。

江戸の塗師職人で1866年から仮名垣魯文らの水魚連で声色をやっていた。のちに「八ッ足蛸」「佃屋白魚」を名乗った。一度浅草で寄席の経営に手を出した失敗し地方にドサ廻りを経て1874年に上方に移住。この頃にはすでに三笑亭芝楽を名乗っていたという。晩年先代同様に京都笑福亭の席亭をしていた。1915年以降消息不明。

実の子は佃家白魚(原田長太郎)でその妻女が後に女剣劇の元祖といわれる青柳華嬢(大久保きよ)

2代目

2代目 三笑亭芝楽(生没年不詳)本名、享年不詳。

明治中期頃の生まれ、初代芝楽の門下であった2代目三笑亭吾妻の実子で、初め小妻を名乗る。昭和の初め頃父と共に松旭会や三仲会の諸芸の一座を組織し活動していた。1938年2代目笑福亭福圓の勧めにより、2代目芝楽を襲名。5代目笑福亭松鶴主催の「楽語荘」同人となり、主に「上方はなしを聴く会」やお寺などで小さな会を催しなどで戦後まで高座に上がった。没年は昭和初期頃。

得意ネタは「質屋蔵」「浄瑠璃息子」「生貝」などがある。

参考文献

  • 『古今東西落語家事典』(諸芸懇話会・大阪芸能懇話会共編、平凡社ISBN 458212612X
  • 『上方はなし』第24集 - 上方初代・2代目芝楽の肖像写真が掲載されている。

出典

  1. ^ a b c d e 朝日新聞大阪版夕刊 1995年1月19日 13面。