ヤブコウジ

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ヤブコウジ
Ardisia japonica
Ardisia japonica
愛媛県
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: サクラソウ科 Primulaceae
亜科 : ヤブコウジ亜科 Myrsinoideae
: ヤブコウジ属 Ardisia
: ヤブコウジ A japonica
学名
Ardisia japonica
(Thunb.) Blume[1]
シノニム
変種品種[2]
  • シロミヤブコウジ A. j. f. albifructa
  • ホソバヤブコウジ A. j. var. angusta
  • シラタマコウジ A. j. var. angusta f. leucocarpa

ヤブコウジ(藪柑子、学名: Ardisia japonica)は、サクラソウ科(またはヤブコウジ科ヤブコウジ属常緑小低木。林内に生育し、に赤い果実をつけ美しいので、栽培もされる。別名、十両(ジュウリョウ)。

形態・生態

匍匐茎が長く這って伸び、先が20cmほど立ち上がって、輪生状につける。

は白か淡いピンク色で、に葉の根元から伸びて下向きに咲く。

果実液果で、冬に赤く熟す。

分布

日本のほか、東アジア一帯に分布する。

人間との関わり

正月縁起物ともされ、センリョウ(千両、センリョウ科)や、マンリョウ(万両)、カラタチバナ(百両)と並べて「十両」とも呼ばれる。寄せ植えの素材などとして使われる。日陰や寒さにも強く、栽培が容易なことから観葉植物としても利用されている[3]

それとは別に、斑入り品などの変異株が江戸時代より選別され、古典園芸植物の一つとして栽培され、それらには品種名もつけられてきた。古典園芸植物としての名前は紫金牛(これで「こうじ」と読ませる)である。現在では約40の品種が保存されている。

明治年間にも大流行があり、四反の田畑を売って買う者もあり[4]、現代の金額で1000万円もの高値で取り引きされたこともあった[3]。明治20年ごろに葉の変わりものが流行し、新潟県の豪農・市島家が培養した朱の司は1鉢千円の値を付け、明治31年にはその投機性から新潟県知事が「紫金牛取締規則」を発令して販売を禁じるほどの流行熱となり、ブームは大正後期まで続いた[5][6]

縁起物として扱われた経緯から、落語寿限無』の中の「やぶらこうじのぶらこうじ」とは本種のことと推測される。寺田寅彦は筆名のひとつに藪柑子(やぶこうじ)がある。

生薬としては紫金牛(シキンギュウ)と称し、特に中国でよく用いる。

ヤブコウジ属

ヤブコウジ属(ヤブコウジぞく、学名: Ardisia)は、サクラソウ科[7]の一つ。

脚注

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ardisia japonica (Thunb.) Blume”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年3月15日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2014年3月15日閲覧。
  3. ^ a b ヤブコウジの育て方 みんなの趣味の園芸
  4. ^ 三千円の籔柑子の話 『徒然の友』 、味潟漁夫 (入沢八十二) 編 (薫志堂, 1896)
  5. ^ 紫金牛『盆栽流行史 : 附・各種培養繁殖法』此君園主人 著 (立命館出版部, 1934)
  6. ^ 蘭とその歩み公益財団法人 中野邸美術館
  7. ^ 大場秀章編著『植物分類表』アボック社、2009年、177頁。ISBN 978-4-900358-61-4 

参考文献

  • 茂木透写真『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年、174頁。ISBN 4-635-07005-0 

関連項目

外部リンク