ヤブコウジ

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ヤブコウジ
Ardisia japonica 3.JPG
福島県会津地方 2016年10月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Agiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: ツツジ目 Ericales
: サクラソウ科 Primulaceae
亜科 : ヤブコウジ亜科 Myrsinoideae
: ヤブコウジ属 Ardisia
: ヤブコウジ A japonica
学名
Ardisia japonica (Thunb.) Blume[1]
シノニム
和名
ヤブコウジ(藪柑子)[3]

ヤブコウジ(藪柑子、学名: Ardisia japonica)は、サクラソウ科ヤブコウジ属常緑小低木。林内に生育し、に赤い果実をつけ美しいので、栽培もされる。別名、十両(ジュウリョウ)。

従来の新エングラー体系クロンキスト体系では、ヤブコウジ科の種としていた[1]

特徴[編集]

常緑の草状の小低木。細くて長い匍匐茎があり、斜上するは円柱形で、高さは10-30cmになる。茎の上部と若い花序にはごく短い粒状の毛が生える。は茎の2節あたりに3-4個輪生し、深緑色で光沢があり、長楕円形または狭楕円形で、長さ6-13cm、幅2-5cmになり、5-8対の葉脈があり、先端はとがり基部はくさび形、縁には低く細かい鋸歯がある。葉柄は長さ7-13mmになる[3][4]

花期は7-8月。花序は散形状になり、葉腋または鱗片葉の腋につき、花序柄の長さは1-1.5cmで、2-5個のを下向きにつける。花は白色または帯紅色で両性花であり、径6-8mmになる。花冠は5裂し、花冠裂片は長さ4-5mmの広卵形で、片巻き状に右回りに並び、腺点があり、花柄の長さは7-10mmになり、微小な軟毛が生える。は5深裂し、萼裂片は広卵形で長さ1.5mmになる。雄蕊は5個あり花冠裂片より短く、花筒の基部について花冠裂片と対生する。雌蕊は1個で花冠と同じ長さ、子房は卵円形で上位につき1室ある。果実は液果様の核果で径5-6mmの球形となり、10-11月に赤色に熟し、中に1個の大型の種子が入る[3][4]

分布と生育環境[編集]

北海道(奥尻島)、本州、四国、九州に分布し、丘陵地林内の木陰にふつうに生育する。国外では朝鮮半島中国大陸台湾に分布する[3][4]

人間との関わり[編集]

正月縁起物ともされ、センリョウ(千両、センリョウ科)や、マンリョウ(万両)、カラタチバナ(百両)と並べて「十両」とも呼ばれる。寄せ植えの素材などとして使われる。日陰や寒さにも強く、栽培が容易なことから観葉植物としても利用されている[5]

それとは別に、斑入り品などの変異株が江戸時代より選別され、古典園芸植物の一つとして栽培され、それらには品種名もつけられてきた。古典園芸植物としての名前は紫金牛(これで「こうじ」と読ませる)である。現在では約40の品種が保存されている。

明治年間にも大流行があり、四反の田畑を売って買う者もあり[6]、現代の金額で1000万円もの高値で取り引きされたこともあった[5]。明治20年ごろに葉の変わりものが流行し、新潟県の豪農・市島家が培養した朱の司は1鉢千円の値を付け、明治31年にはその投機性から新潟県知事が「紫金牛取締規則」を発令して販売を禁じるほどの流行熱となり、ブームは大正後期まで続いた[7][8]

縁起物として扱われた経緯から、落語寿限無』の中の「やぶらこうじのぶらこうじ」とは本種のことと推測される。寺田寅彦は筆名のひとつに藪柑子(やぶこうじ)がある。

生薬としては紫金牛(シキンギュウ)と称し、特に中国でよく用いる。

下位分類[編集]

和名、学名はYistによる。

  • シロミヤブコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume f. albifructa (H.Hara) Sugim. - まれに見られる白い果実をつけるヤブコウジの品種 [4]
  • ホソバヤブコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume var. angusta (Nakai) Makino et Nemoto - 和名のとおり葉が細く、狭卵形で長さ2-5cm、幅0.6-2cm。伊豆大島屋久島台湾に分布するヤブコウジの変種 [4]
  • シラタマコウジ Ardisia japonica (Thunb.) Blume var. angusta (Nakai) Makino et Nemoto f. leucocarpa (Nakai) Sugim. ex T.Yamaz. - 白色の果実をつけるホソバヤブコウジの品種で、伊豆大島に記録がある[4]

ギャラリー[編集]

 
 
藪柑子をあしらった江戸期の印籠酒井抱一の下絵によるもの。 

脚注[編集]

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  1. ^ a b ヤブコウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ ヤブコウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d 『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』p.174
  4. ^ a b c d e f 『日本の野生植物 木本II』p.159
  5. ^ a b ヤブコウジの育て方 みんなの趣味の園芸
  6. ^ 三千円の籔柑子の話 『徒然の友』 、味潟漁夫 (入沢八十二) 編 (薫志堂, 1896)
  7. ^ 紫金牛『盆栽流行史 : 附・各種培養繁殖法』此君園主人 著 (立命館出版部, 1934)
  8. ^ 蘭とその歩み公益財団法人 中野邸美術館

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
  • 茂木透、石井英美他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』、2001年、山と溪谷社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]