ハンバーガー・コンチェルト

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ハンバーガー・コンチェルト
フォーカススタジオ・アルバム
リリース
録音 1974年1月 - 3月 ロンドン バーンズ オリンピック・サウンド・スタジオ[1][2]
ジャンル プログレッシブ・ロックジャズ・フュージョンハードロックインストゥルメンタル・ロック英語版
時間
レーベル 欧州連合の旗ポリドール・レコード
アメリカ合衆国の旗アトコ・レコード
プロデュース マイク・ヴァーノン英語版
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 5位(オランダ[3]
  • 16位(ノルウェー[4]
  • 20位(イギリス[5]
  • 39位(日本[6]
  • 66位(アメリカ[7]
  • フォーカス アルバム 年表
    フォーカス・アット・ザ・レインボー
    (1973年)
    ハンバーガー・コンチェルト
    (1974年)
    マザー・フォーカス
    (1975年)
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    ハンバーガー・コンチェルト』(Hamburger Concerto)は、オランダプログレッシブ・ロックバンドフォーカス1974年に発表した通算5作目のアルバム。スタジオ・アルバムとしては4作目にあたる。

    解説[編集]

    経緯[編集]

    1973年10月、フォーカスは新しいドラマーにイギリス人のブルース・ロック・ミュージシャンのコリン・アレンを迎えた[注釈 1]。そして約1か月間のアメリカ・ツアーを行った後、2-4作目と同様にマイク・ヴァーノン英語版のプロデュースにより、1974年1月に本作の制作を開始した[1]

    内容[編集]

    タイトル曲はLPのサイド2全体を占める組曲。タイス・ファン・レール作の「スターター」の冒頭は、ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスが1873年に作曲した「ハイドンの主題による変奏曲」の主題の改作である[注釈 2]。第5部「ウェル・ダン」の歌詞はヨースト・ファン・デン・フォンデルが17世紀に作った戯曲Gijsbrecht van Aemstelに基づいている[1]

    ヤン・アッカーマン作の「バース」は、彼の長男が1973年12月30日に誕生したことを祝って作曲された[8]。この曲は本来3分間程度の作品であったが、制作中に編曲が重ねられて8分間近くもの大作になった。そこで、初期の版を「アーリー・バース」として、アルバムに先駆けて発表されたシングル「ハーレム・スカーレム」のB面に収録した[9]

    CD化に際して「アーリー・バース」がボーナス・トラックとして追加された。1997年にはEMIミュージック・ホランドから『フォーカス・アット・ザ・レインボー』と本作を抱き合わせた2枚組CDも発売された[10]

    反響・評価[編集]

    母国オランダでは、本作がアルバム・チャートで最高5位を記録し[3]、シングル「ハーレム・スカーレム」はシングル・チャートで22位に達した[11]。ノルウェーのアルバム・チャートでは7週トップ20入りし、最高16位を記録[4]全英アルバムチャートでは5週チャート圏内に入り、最高20位を記録[5]

    1974年7月に発売された日本盤LPはオリコンLPチャートで39位となり、チャート順位/売上共に、日本におけるフォーカス最大のヒット作となった[6][注釈 3]。アメリカのBillboard 200では66位に達し、フォーカスにとって3作目の全米トップ100アルバムとなった[7]

    ベン・デイヴィーズはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「『ムーヴィング・ウェイヴス』や『フォーカスIII』ほど完璧でないとはいえ、過去にリリースされた作品が楽しめる方なら、このアルバムも疑いなく大満足することだろう」と評している[12]

    収録曲[編集]

    サイド1[編集]

    1. リュートとリコーダーの為の小品(音楽の歓び) - "Delitae Musicae" (Jan Akkerman) - 1:11
    2. ハーレム・スカーレム - "Harem Scarem" (Thijs van Leer) - 5:50
    3. ストラスブルグの聖堂 - "La Cathedrale de Strasbourg" (T. van Leer) - 4:58
    4. バース - "Birth" (J. Akkerman) - 7:44

    サイド2[編集]

    1. ハンバーガー・コンチェルト - "Hamburger Concerto" - 20:17
      • スターター - "Starter" (T. van Leer)
      • レア - "Rare" (J. Akkerman)
      • ミディアムI - "Medium I" (T. van Leer)
      • ミディアムII - "Medium II" (J. Akkerman)
      • ウェル・ダン - "Well Done" (T. van Leer)
      • ワン・フォー・ザ・ロード - "One for the Road" (J. Akkerman)

    CDボーナス・トラック[編集]

    1. アーリー・バース - "Early Birth" (J. Akkerman) - 2:55

    パーソネル[編集]

    脚注[編集]

    出典[編集]

    1. ^ a b c Discography - FOCUS - THE - BAND”. Official Focus homepage. 2015年12月25日閲覧。
    2. ^ Focus (2) - Hamburger Concerto (Vinyl, LP, Album) at Discogs
    3. ^ a b Focus - Hamburger Concerto - dutchcharts.nl
    4. ^ a b norwegiancharts.com - Focus - Hamburger Concerto
    5. ^ a b FOCUS | full Official Chart History | Official Charts Company - 「Albums」をクリックすれば表示される
    6. ^ a b 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』(オリジナルコンフィデンス/1990年/ISBN 4-87131-025-6)p.255
    7. ^ a b Focus Awards | AllMusic
    8. ^ 2020年に発表されたCD・ボックス・セットの50 Years: Anthology 1970-1976のライナーノーツより。
    9. ^ Focus (2) - Harem Scarem (Vinyl) at Discogs
    10. ^ Focus (2) - Live At The Rainbow / Hamburger Concerto (CD) at Discogs
    11. ^ Focus - Harem Scarem - dutchcharts.nl
    12. ^ Davies, Ben. “Hamburger Concerto - Focus”. AllMusic. 2015年12月25日閲覧。

    注釈[編集]

    1. ^ 前年にピエール・ファン・デル・リンデンが脱退したので後任を探していたタイス・ファン・レールから相談を受けて、プロデューサーのマイク・ヴァーノンが推薦した。ヴァーノンはイギリスの様々なブルース・ロック・ミュージシャンの作品の制作に携わってきて、アレンと仕事をしたことがあった。
    2. ^ 1974年7月にポリドール株式会社から発売された日本盤LPでは、"Trad. arranged by Thijs van Leer" と記されていた。
    3. ^ 本作発表後の1974年6月末から7月にかけて、初来日公演が行われた。2020年に発表されたCD・ボックス・セットの50 Years: Anthology 1970-1976には、7月2日に大阪フェスティバルホールで録音された'Birth'が収録された。

    外部リンク[編集]