ハマボウフウ

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ハマボウフウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: ハマボウフウ属 Glehnia
: ハマボウフウ G. littoralis
学名
Glehnia littoralis
F.Schmidt ex Miq. (1867)
和名
ハマボウフウ

ハマボウフウ(浜防風、学名:Glehnia littoralis)とは、被子植物セリ科ハマボウフウ属の一種。 海岸の砂地に自生する[1]海岸性の多年草山菜として食用にするほか、漢方薬・民間療法薬として利用される。

形態

は1-2回3出複葉で、小葉は楕円形。葉の表面にはクチクラ層が発達しており、肉厚でつやがある。花期以外は葉はあまり高く伸びず、丈が低い。はゴボウに似て非常に長く、地中深く伸びる。これらの特徴は海浜植物に共通のものである。花期は5-7月ごろで、南方ほど早い。花茎は立ち上がり、大きいものは50cmを越えることもあるが、より背の低いことが多い。白色の毛が多数生える。花序は肉質・白色で、カリフラワーに似る。種子の側面には6-7本のひだがある。

分布

海岸地帯に自生し、カムチャツカ半島以南、日本では北海道から南西諸島にかけて分布。

かつては各地の海岸で知られていたが、海浜侵食河川護岸川砂採取などによるの供給量減少が原因と見られている)等で、近年自生地が著しく減少している。福島県ではレッドデータブックに記載されている(福島県における評価は絶滅危惧II類)。原因としては、海岸線が開発されて分布できなくなった、食用・薬用として採取し尽された、などが考えられる。後者については、民間療法薬としてもてはやされ、糖尿病に効果があるなど、様々な俗説が広まってしまい、乱獲に拍車をかけている可能性がある。

利用

食用

食用としては、新芽が、酢味噌和え(ほんの軽く茹でるのみ)、生食、主に刺身のつま砂糖漬け[要出典]等に利用されてきた。基本的には野草だが、野菜として認識している人もいるほどで、人々にとっては馴染み深い植物であるようだ。「夕食の準備のため、夕方に近所の砂浜までハマボウフウを摘みに行った」等という話もよく聞かれる。食用とするために海岸などで栽培される。また、畑での栽培も可能であるという。実際に家庭菜園で栽培している例もある。

薬用

ハマボウフウの根は、漢方では「北沙参」と呼ばれ、去痰、解熱、鎮咳薬などとして利用される[2]。 日本では、生薬の一種、防風の代用品として利用される。効能は防風と同じか、それより劣るとされている。ハマボウフウの根や根茎などにはクマリン配糖体が含まれ、発汗解熱鎮痛などに用いられる。また、民間療法では婦人病の薬とされるうえ、最近では糖尿病に効能を示すともいわれている。しかし、糖尿病については俗説の域をでておらず、効能があるかは定かでない。

脚注

  1. ^ なお、浜防風の名はボウフウにやや似ることから名づけられたもので、海岸防風林とは関係ない。念のため。
  2. ^ 江蘇新医学院 編 (1977). 中葯大辞典. 上海: 上海科学技術出版社. pp. 644 

参考文献

  • 中西弘樹著 『海から来た植物 -黒潮が運んだ花たち-』八坂書房(2008)
  • 『山野草写真大百花③ 低地・海岸の花』 月刊さつき研究社 1988年