ドアドア
ジャンル | アクション |
---|---|
対応機種 |
PC-8801 PC-8001mkII PC-6001・PC-6001mkII FM-7 X1 MZ-2000 パソピア7 MZ-1500 MSX ファミリーコンピュータ [FC] iアプリ(i) |
開発元 |
中村光一 チュンソフト(FC) |
発売元 |
[PC・MSX・FC] エニックス (i) チュンソフト |
人数 |
[FC以外]1人 [FC]1~2人 |
メディア |
[PC-88] 5インチFD、テープメディア [PC-80] テープメディア [PC-60] テープメディア [FM-7]3.5インチFD、テープメディア [X1] テープメディア [MZ-2000] テープメディア [MZ-1500] QD[パソピア7] テープメディア [MSX・FC] ROMカートリッジ |
発売日 |
[PC-88] 1983年2月 [FC] 1985年7月18日 (i) 2004年3月4日 |
売上本数 | [FC] 約20万本[1] |
『ドアドア』(Door Door)は、1983年にエニックス(現スクウェア・エニックス)から発売されたコンピュータゲーム。
ゲームクリエイター中村光一の出世作で、エニックス主催の「第1回ゲーム・ホビープログラムコンテスト」で、賞金50万円の優秀プログラム賞(準優勝)を受賞している。
1985年7月18日にエニックスのファミリーコンピュータ参入第1弾タイトルとして発売された。2004年にチュンソフトがiアプリ版をリリースしている。
パソコン版においては、オリジナルの『ドアドア』発売後の1985年2月に、敵キャラクターに「オタピョン」(後述)や、主人公の仕草、BGMを追加した『ドアドアmkII』が発売された。中村が1984年に起業したチュンソフトの第1号のタイトルがこのPC-6001/mk2の『ドアドアmkII』であった[2]。ファミリーコンピュータ版は『-mkII』がベースとなっている。
ゲームの概要
5層のフロアで構成されるステージで、主人公のチュン君を操作しながらモンスターを誘導しドアの中に閉じ込める。全てのモンスターをドアの中に閉じ込めるとクリア。面数は全20面。
モンスターは種類によって移動のパターンが異なり、フロア間をつなぐ昇降手段も「チュン君・モンスターの両方が使える」階段、「チュン君だけ使える」梯子、「モンスターだけ使える」網の3種類あったり、チュン君だけが降りることができる滑り台などがある。ドアの取っ手が左右どちらに付いているかによってモンスターを誘導する道順を考えなければならなかったりで、クリアには非常に緻密な手順を求められる。ドアは半ドアにして敵が出てくるタイミングをずらすことが可能で、これを駆使することで敵を一網打尽にすることができ、次の面で登場するボーナスアイテムも得点が高いものが出現するので、どんどん得点を稼げる。だが、高得点を目指そうとなるとパズル要素は更に一段と高くなる。奇数×10000点ごとにプレイヤーの残機が増え、最大9人まで増やすことができる。コンティニューが存在しないため(特にFC版)、面を進めていくには高得点確保は必須となる。
オリジナルはPC-8801版。パソコン雑誌『I/O』へのアーケードゲームの移植作品の投稿で名を馳せていた高校3年の中村光一がアーケードゲーム『ディグダグ』を移植してエニックスのコンテストに応募しようとしたが、クローンゲームは断られたため、敵キャラクターを集めて一度にやっつけるという『ディグダグ』の快感を再現しようとゲームデザインした。キャラクターのデザインは同級生の友人が担当した[3]。他機種版もほとんどを中村自身が移植作業を行った[4]。パソコン版の『ドアドア』の累計販売本数は8万本で[1]、大学生だった中村の年収は1,000万円を超えたという[5]。
ドアドアmkII
『ドアドアmkII』はオリジナルがPC-6001mkII版である。画面数は、PC-8801版、PC-8001mkII版、PC-6001mkII版が100面・PC-6001版が40面、ファミコン版が50面。
PC-6001mkII版とPC-6001版はそれぞれ別のソフトウェアだが、同じテープに収録されている。A面にPC-6001mkII版、B面にPC-6001版。PC-6001mkII版では、プログラムをカセットテープから2段階(ローダー、メインプログラム)に分けて読み込むが、ローダー起動時に、プログラム読込み開始と同時に、時間待ちのためにCG表示とBGM演奏を始める[6]。当時としては、『ちゃっくんぽっぷ』等でも同様の技術が組み込まれていたが、CG表示させるものは他にない。BGMもエンドレスの曲がほとんどの中、『ドアドア(mkII)』だけがBGMを2曲演奏している。2曲目演奏終了後に若干の無演奏時間がある。
この凝りに凝ったPC-6001/mkII版は、開発コストを回収できずに赤字になった[2]。
登場キャラクター
- チュン君
- 主人公。作者である中村の「中」から取られている。ボーナスアイテムの「中」の牌もそこから来ている。
- ナメゴン(KYORO KYORO)
- ナメクジ状のモンスター。ひたすらチュン君を追いかけるように移動する。
- インベ君(BIYO BIYO)
- クラゲ状のモンスター。横移動時にチュン君との間に階段があると、必ず昇る癖がある。
- アメちゃん(GUCHA GUCHA)
- ゼリー状のモンスター。横移動時にチュン君との間に階段があると、必ず降りる癖がある。
- オタピョン(PYON PYON)
- オタマジャクシ状のモンスター。チュン君がジャンプするのに合わせてジャンプするので、飛び越せない。ただし、FC版48面のように向かってくるオタピョンを飛び越さなければならないステージもある。
共通の習性
- 各ステージで最後の一匹になると、スピードが格段に速くなり、チュン君が普通に歩いていると捕まってしまう。
- 横移動時に同じ段にて、昇りの階段があった場合、チュン君がジャンプすると、敵はチュン君が上に行ったと勘違いして登ってしまう。ただし、オタピョンはジャンプをするので、使えない。
- 左右の端に矢印がある場合、その方向にワープするが、ジャンプしながらワープはできない。これを使って、追ってくるオタピョンを跳ね返すことができる。
その他
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
- ドアは一度に最高6匹まで入れることができる。最後に閉じ込めた敵の数によって次のステージのボーナスアイテムも変わる。ただし、一度ボーナスアイテムが出た場所は、次から定期的に爆弾が登場し、チュン君が触れると爆発して死んでしまう(敵は触れても平気)。
- ボーナスアイテムはチュン君は甘いものが大好きだという設定であることからスイーツ系の菓子となっており、それぞれ飴玉、ロリポップ、アイスキャンデー、ケーキ、アイスクリーム、そして麻雀牌の中がある。
- PC-8001mkII版はPC-8001mkIISRにおいては動作しない。
- PC-6001mkII版は5の倍数の面だけBGMが通常の曲からアレンジバージョンに変わる。PC-6001mkII版をベースに開発したFC版も同様である。
- 5面 リンダドアドア
- 10面 テクノドアドア
- 15面 おさるドアドア
- 20面 沖縄ドアドア
- 25面 おもちゃドアドア
- 30面 ポッポドアドア
- 35面 ウエスタンドアドア
- 40面 こもりドアドア
- 45面 中国ドアドア
- 50面 演歌ドアドア
- Wiiの『428 〜封鎖された渋谷で〜』には作中のキャラクターをフィーチャーした『ドアドア』が隠しコンテンツとして登場する。残機は無制限で各ステージ5分間のスコアアタックとなっている。
出典
- ^ a b 滝田誠一郎『ゲーム大国ニッポン 神々の興亡』青春出版社、2000年、pp.167
- ^ a b 多摩豊『テレビゲームの神々 RPGを創った男たちの理想と夢』光栄、1994年、p.104
- ^ 多摩(1994)、pp.67-69
- ^ 志田英邦『ゲーム・マエストロ VOL.2 プロデューサー/ディレクター編(2)』毎日コミュニケーションズ、2000年、p.16。中村光一インタビュー。
- ^ 『永久保存版 みんながコレで燃えた! NEC8ビットパソコンPC-8001・6001』アスキー、2005年、pp.66。中村光一インタビュー。
- ^ 『永久保存版 みんながコレで燃えた! NEC8ビットパソコンPC-8001・6001』p.67