シネマ歌舞伎

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シネマ歌舞伎(シネマかぶき、Cinema Kabuki)とは、松竹株式会社が制作する映像作品の名称である。

シネマ歌舞伎は、歌舞伎の舞台公演を高性能カメラで撮影しスクリーンで上映する手法であり、2005年1月、最初の作品である『野田版 鼠小僧』(作・演出:野田秀樹、2003年8月歌舞伎座にて上演)が東京・東劇で公開された。

シネマ歌舞伎の役割は、歌舞伎座改築後の1年間の観客の8割は40代以上であるため、観客の先細りが心配されており、またNHK-BSの減波のため歌舞伎の舞台放送が減少しており、舞台を見る機会が減少しているため、若年層や地方の観客を掘り起こす地道な努力の一環である。効果はまだ明らかではない。

2014年7月までで23作と、「わが心の歌舞伎座」が上映された[1]

2015年6月の第22作「三人吉三」は、NEWシネマ歌舞伎と称している[2]

作品リスト

上演年月 作品名 備考
第1作 2005年1月 野田版 鼠小僧 作・演出:野田秀樹
第2作 2006年2月 野田版 研辰の討たれ 脚本・演出:野田秀樹
作:木村錦花
脚色:平田兼三郎
第3作 2006年4月 坂東玉三郎-鷺娘(さぎむすめ)-
同時上映 日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)
第4作 2007年1月 京鹿子娘二人道成寺
第5作 2008年5月 ふるあめりかに袖はぬらさじ 作:有吉佐和子
第6作 2008年10月 人情噺文七元結 監督:山田洋次
第7作 2008年12月 連獅子/らくだ 監督:山田洋次(連獅子)
作:岡鬼太郎、改訂・演出:榎本滋民(らくだ)
第8作 2009年2月 刺青奇偶 作:長谷川伸
演出:寺崎裕則
特別篇 2009年5月 坂東玉三郎・中国昆劇合同公演

牡丹亭(ぼたんてい)

監督:十河壮吉
第9作 2009年7月 怪談 牡丹燈籠 原作:三遊亭円朝
脚本:大西信行
演出:戌井市郎
第10作 2009年12月 法界坊 演出:串田和美
第11作 2010年05月 蜘蛛の拍子舞/身替座禅
第12作 2010年10月 大江戸りびんぐでっど 作・演出:宮藤官九郎
第13作 2011年6月 女殺油地獄
第14作 2011年10月 熊谷陣屋
第15作 2012年1月 天守物語
第16作 2012年2月 海神別荘
第17作 2012年3月 高野聖
第18作 2012年9月 籠釣瓶花街酔醒
第19作 2013年9月 ヤマトタケル
第20作 2013年11月 春興鏡獅子
第21作 2015年1月 二人藤娘/日本振袖始
第22作 2015年6月 NEWシネマ歌舞伎三人吉三 演出・美術・監督:串田和美
第23作 2016年2月 喜撰/棒しばり
第24作 2016年6月 歌舞伎NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉

特色

シネマ歌舞伎という手法は、松竹が持つ以下の特色を生かして開発されたものである。

  • 映画・演劇双方の制作・興行・配給の実績を持つ会社である。
  • 現在の歌舞伎の興行については、そのほとんどを松竹が手がけている。

また、撮影には、SONYのテレビ用HDカメラが使用されている。

2008年9月には、銀座・ソニービルにて「シネマ歌舞伎展」が開催され、予告編を中心に編集した特別映像やメイキング映像の上映、撮影に使われた機材や道具類の展示が行われた。

制作方法

2008年現在、シネマ歌舞伎の制作には以下の2種類の方法がとられている。

  1. 舞台をそのまま録画する。
  2. 映画監督が舞台演出にも関わり、撮影後の映像を編集する。(『人情噺文七元結』『連獅子』の制作に映画監督の山田洋次が携わった。)

法界坊以降の作品では、上映画質が低下しているといわれている[要出典]

第1作は東劇のみ上映で、その後もフィルムの巡回上映で5館だったため赤字だったが、2009年「法界坊」からデジタル化されて黒字化でき、「春鏡鏡獅子」(2013年)では39館上映になった。

上映形式

松竹株式会社では、シネマ歌舞伎を「映画でもなく歌舞伎でもない『新しいメディア』」と位置づけており(同社公式サイトより)、通常の映画作品とは異なるルートで公開している。

シネマ歌舞伎の上映形式には以下の特徴がある。

  • 上映は東劇(東京・東銀座)を中心とした松竹系の劇場で、順次ロードショーの形式を取っており、全国同時公開ではない。
  • 松竹系の劇場での鑑賞料金は2,000円の一律料金。

「シネマ歌舞伎クラシック」(東劇のみ上映)を2013年6月、2014年7月び公開した。

脚注

  1. ^ 「シネマ歌舞伎10年 高まる役割」2014年7月18日読売新聞朝刊22面(塩崎淳一郎記者)
  2. ^ 作品一覧 〈第22弾〉NEWシネマ歌舞伎三人吉三(さんにんきちさ)

外部リンク