シアン化水銀(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。MSBOT (会話 | 投稿記録) による 2012年4月20日 (金) 14:50個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.7.3) (ロボットによる 変更: fa:سیانید جیوه(II))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

シアン化水銀(II)
識別情報
CAS登録番号 592-04-1
PubChem 11591
特性
化学式 Hg(CN)2
モル質量 252.63 g/mol
外観 白色粉末
密度 3.996 g/mL
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

シアン化水銀(II)(シアンかすいぎん に、Mercury(II) cyanide)は、化学式が Hg(CN)2 と表される水銀シアン化物で、猛毒の白い粉末である。

実験室レベルでのジシアンの合成法の1つは、シアン化水銀(II)の熱分解である。

2 Hg(CN)2 → (CN)2 + 2 HgCN

シアン化水銀(II)は、配糖体の合成のための Koenigs–Knorr reaction (en:Koenigs–Knorr reaction) の助触媒としても利用される。

シアン化水銀(II)が初の殺人毒薬に使われたのは1898年のことである。犯人ローランド・B・モリニュークスは、手紙を使って2人の人間にシアン化水銀(II)入りの薬を送った。最初の被害者ヘンリー・バーネットは、この毒入りの薬を飲んだ12日後に水銀中毒で死亡した。2番目の被害者キャサリン・アダムズは、薬を飲んで30分以内にシアン化物中毒で死亡した。この2つのケースの結果の違いは、それぞれの被害者の酸性度によるとされる[1]

脚注

  1. ^ Emsley, John (2005), The Elements of Murder, Oxford University Press, ISBN 0192805991