酢酸水銀(II)

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酢酸水銀(II)
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識別情報
CAS登録番号 1600-27-7
特性
化学式 C4H6O4Hg
モル質量 318.70 g/mol
外観 白色の結晶
密度 3.27 g/cm3, 固体
融点

179°C (分解)

への溶解度 25g/100 mL 水(10°C)
危険性
NFPA 704
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3
 
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酢酸水銀(II)(さくさんすいぎん(II)、Mercury(II) acetate)は、化学式がHg(O2CCH3)2有機金属化合物である。通常は略してHg(OAc)2と書かれる。不飽和有機化合物から有機水銀化合物を合成する試薬として用いられる。

芳香族炭化水素はHg(OAc)2によって“水銀化”(mercuration)を受ける。水銀上に残った酢酸基は塩化物によって除去することができる[1]

C6H5OH + Hg(OAc)2 → C6H4(OH)-2-HgOAc + HOAc
C6H4(OH)-2-HgOAc + NaCl → C6H4(OH)-2-HgCl + NaOAc

Hg2+中心はアルケンに付加し、水酸化物アルコキシドの付加を誘導する。例えば、メタノール中でアクリル酸メチルを酢酸水銀(II)で処理するとα-水銀エステルを与える[2]

Hg(OAc)2 + CH2=CHCO2CH3 + CH3OH → CH3OCH2CH(HgOAc)CO2CH3 + HOAc

二価水銀は硫黄配位子としての相性が非常に良く、Hg(OAc)2はチオールの保護基であるアセトアミドメチル基の除去試薬として使うことができる。また、Hg(OAc)2チオカーボネートエステルからジチオカーボネートに変換する一般的な試薬である。

(RS)2C=S + H2O + Hg(OAc)2 → (RS)2C=O + HgS + 2 HOAc + "HgO"

参考文献[編集]

  1. ^ Whitmore, F. C.; Hanson, E. R. "o-Chloromercuriphenol" Organic Syntheses, Collected Volume 1, p.161 (1941).http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=CV1P0161
  2. ^ Carter, H. E.; West, H. D. “dl-Serine” Organic Syntheses, Collected Volume 3, p.774 (1955). http://www.orgsyn.org/orgsyn/orgsyn/prepContent.asp?prep=CV3P0774