ゲーム差
ゲーム差(ゲームさ、GB: games behind/games back )は、リーグ戦等において、上位チームと下位チームがどの程度離れているかを表す指標。野球やバスケットボールのリーグ戦においてよく使用される。
算出方法
ゲーム差は、上位チームAに下位チームBが追いつくには直接対戦で最低何試合を要するか、を示すために用いられている。例えば、9勝5敗のチームBが10勝4敗のチームAに追いつくためには、直接対戦で1勝すれば、同じ10勝5敗で並ぶことになる。このとき、AとBの間のゲーム差は1であるが、貯金数(勝数から敗数を減じて得られる数)に着目すると、Aの貯金数6に対しBの貯金数4と、両者の貯金数には2の差がある。すなわち、1ゲーム差は貯金数の差を2で除して得られる数である。
これを数式に表すと次のとおりとなる。
- ゲーム差 = { ( 上位チームの勝数 - 上位チームの敗数 ) - ( 下位チームの勝数 - 下位チームの敗数 ) } / 2
課題
ゲーム差の概念が広く用いられている野球は、貯金数(勝数)ではなく勝率で優劣を争う。ゲーム差概念が生まれたアメリカ大リーグには引分が存在しないため、貯金数(勝数)による順位と勝率による順位とが一致する。一方、同じくゲーム差概念が根付いている日本のプロ野球では引分が存在しており、試合数から引分を除外して勝率を計算している。そのため、貯金数はAがBよりも多いが、勝率ではBがAを上回るケースも生じる。この場合、ゲーム差は有効な指標とはならなくなってしまう。
具体的には、2008年のイースタン・リーグでシーズン終了時に東京ヤクルトスワローズが貯金数では2位の読売ジャイアンツより少ないながらも勝率で上回り、優勝した例がある[1]。
順位 | チーム | 試合 | 勝利 | 敗北 | 引分 | (貯金) | 勝率 | ゲーム差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | ヤクルト | 96 | 55 | 34 | 7 | (21) | .618 | |
2位 | 巨人 | 96 | 58 | 36 | 2 | (22) | .617 | -0.5 |
報道におけるゲーム差の表示
アメリカでは、主に野球(大リーグやマイナーリーグ)、バスケットボール(NBA)でゲーム差が用いられる。アメリカの報道機関は、ゲーム差は常に首位とのゲーム差として表示する。
日本の報道機関がプロ野球の順位表を掲げるとき、大きく2つの方式が存在する。一つは首位チームを基準として、首位チームと各チームとの間のゲーム差を表示する方式で、もう一つは直近の上位チームとのゲーム差を表示する方式である。
前者の方式を採用している主な報道機関には、朝日新聞、日刊スポーツ、スポーツニッポン(東京・北海道・九州版)、スポーツ報知、サンケイスポーツ(東京版)、週刊ベースボール、日本テレビ、TBS、フジテレビ(プロ野球ニュース=CSや一部の中継では後者を使う場合がある)、テレビ朝日、テレビ東京、TOKYO MXなどがある。
後者の方式を採用している主な報道機関には、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞、サンスポとスポニチのそれぞれ大阪版、NHKなどがある。
記録
2位以下チームが1位チームから大逆転優勝した最大ゲーム差の事例として以下のものがある。
- 日本プロ野球(NPB)一軍 - 1963年のパ・リーグにおいて西鉄ライオンズ(現・埼玉西武ライオンズ)が、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)と最大14.5ゲーム差からの大逆転優勝。
- 日本プロ野球(NPB)セリーグ - 2008年のセ・リーグにおいて読売ジャイアンツが、阪神タイガースと最大13ゲーム差からの大逆転優勝(メークレジェンド)。
- メジャーリーグ - 1914年にボストン・ブレーブス(現・アトランタ・ブレーブス)が、ニューヨーク・ジャイアンツ(現・サンフランシスコ・ジャイアンツ)との最大15ゲーム差からの大逆転優勝。