カメオ出演
カメオ出演(カメオしゅつえん)(Cameo appearance / Cameo role)とは、俳優や歌手、監督、時には政治家やスポーツ選手などがゲストとしてほんの短い時間、映画やドラマ、舞台に出演する事。著名人が起用される場合がほとんどであり、脇役でありながら独特の存在感を占めるケースが多いため、遠目からでもはっきりと分かる装飾品のカメオからそう呼ばれるようになった(英語のcameoには「名場面」「山場」という意味もある)。
日本では、クレジットで「特別出演」や「友情出演」として記載される事が多く、カメオ出演という言い方はあまり一般的ではない。日本国外では単に「Cameo」と呼ばれることもある。
事例
監督や主演俳優(女優)の友人や、原作者、作品のモデルとなった人物や作品に由縁の深い人物などが端役で出演することが多い。
1924年には、エリック・サティとその友人たちが無声映画『幕間』(バレエ『本日休演』の幕間に上演された)に出演した。カメオ出演の方法が普及した作品として、1956年の『八十日間世界一周』が挙げられる。この映画の成功以来、カメオ出演はハリウッドなどでもお遊びとして取り入れられ、監督の人脈が映画の中で生かされる事もあり、観客の映画を観る楽しみの一つにもなっている。
最も有名なカメオ出演としてあげられるのは、アルフレッド・ヒッチコックが自身の監督した作品に頻繁に出演した事だろう(アルフレッド・ヒッチコックのカメオ出演一覧参照)。
これらの手法はのちに漫画においても多用され、特に手塚治虫はカメオ出演を漫画で体現したといえる例である。
特別出演
日本においての特別出演とは、物語の一部分でしか登場しない役柄に起用された有名俳優の客演のこと。有名俳優が多用される理由に、シーンの重要性や物語の転機を示唆するのに観客にアピールする効果が高いためである。出演料は、通常の出演時と同じである場合が多い。
ただし、クレジットで「特別出演」とつくことで、クレジット上のインパクトが増すことから、最近のテレビドラマでは毎週出演するにも拘らず、クレジットの順序の都合上で「特別出演」がつけられる場合もある。クレジットの最後の演者(トメと呼ばれる)がさらに「特別出演」をつける場合もある。この場合の「特別出演」のクレジットはカメオ出演とは意味合いが異なって、いわゆる大物俳優であることを示す。また、スポンサーの意向など、特殊な理由があって出演した場合にも「特別出演」がつく場合がある。
また連続テレビドラマ等に1回だけ出演する場合、ゲスト出演と呼ばれることがある。この場合クレジットは毎週出演している俳優とは別に載せたり、ドラマなどの場合、エンドロールの特定の位置(主演者の後やトメの一つ前など)にクレジットすることでゲスト出演であることを明確にする。このとき「特別出演」はつかない場合がほとんどである。
特別出演について、淡島千景は以下のように述べている。
なお、「特別出演」は脇役である事が多いが、一風変わったケースとして特撮ドラマの『快傑ズバット』において、原作者である漫画家の石森章太郎が、その回のある意味中心人物の1人であるプロ野球選手の役で丸々1話に渡って特別出演したという事例がある。
同じ系列として「特別ゲスト出演」というものがあり、連続したシリーズ作品において1・2部で主演していた役者が諸事情で降板することになり、新シリーズの1・2などの序盤にのみ同じ役で出演することを指す。(その後殉職・病死・海外転勤・行方不明などの理由をつけて出演しなくなるというパターンが定番)
友情出演
友情出演は監督や主演俳優が友人の俳優などの芸能人に依頼して出演してもらう場合や、俳優自身が願い出てキャスティングされる場合に表示される。こちらはギャラが通常よりも低い、もしくは0円(いわゆるノーギャラ)である事が多く特別出演とは性質が異なる。ただし、事実上の特別出演でも若手俳優の場合は友情出演とされる事もあるため、区分は厳密ではない。
なお現在、NHKのテレビ番組のクレジットでは「特別出演」や「友情出演」の類の表示は一切行われない。従って、クレジットの他の俳優との隙間を空けるなど、クレジット上の別の対応が行われる場合がある(ラジオでは使われている)。