カナダオオヤマネコ
カナダオオヤマネコ[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() カナダオオヤマネコ Lynx canadensis
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Lynx canadensis (Kerr, 1792) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
カナダオオヤマネコ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Canadian lynx |
カナダオオヤマネコ(Lynx canadensis、英名:Canadian Lynx)は北アメリカに生息するネコ科の動物の一種。ヨーロッパオオヤマネコとは近縁で同一種とみなす専門家もいるが、本種にはヨーロッパオオヤマネコよりむしろボブキャットに近い特徴も存在する。ボブキャットとは生息域が一部重なるが、本種の方がより大型である。
形態
ヨーロッパオオヤマネコと形態的によく似ているが、本種は体長67-110cm、尾長5-17cm、体重7-17kgとやや小型である。オスはメスより体が大きい。シルバーがかった茶色の毛皮に黒みがかった斑点をもつ。ひだ襟のような首毛をもち、耳の先端には黒い房毛がある。虹彩は黄土色から黄緑色で、瞳孔は円形に収縮する。4月から5月と10月から11月に換毛する。夏毛は冬毛に比べて短く、赤みがかった茶色になる。長い脚と深い毛におおわれた足は、深い雪の中を歩き回るのに適している。[3]
生態
単独で生活し人前に姿を現すことは少ない。灌木などの茂みの中や岩陰によくいる。夜行性で広い縄張りをもつ。木登りや泳ぎもできる。南や南西に面した斜面に巣を作ることが多い[4]。春になると1-5匹(通常3-4匹)の仔を産む。若い個体が生き延びられるかどうかは、縄張り中に獲物となる生物がどれだけいるかに懸かっている。子どもは8-10か月で成獣の被毛に生え換わる。メスは、子どもが離乳し自力で獲物を探すようになるまで育て上げる。
狩りと食性
カンジキウサギ(Lepus americanus)が彼等の主食である。ノウサギなどのげっ歯類に加え昆虫、ネズミ、リス、鳥類も捕食する。このため、約10年のスパンで個体数が減少するカンジキウサギに合わせて、本種の個体数も激減する[5]。ハドソン湾会社(Hudson's Bay Company, HBC)とカナダ政府にこれについての1730年代からの記録が残っている[6]。グラフには特徴的で顕著な増減が繰り返し記録されており、ピーク時の生息数と最低時では10倍ほどの差がある。ピークから底までは約5年かかり、その後すぐに生息数は増加し始める。
分類
カナダオオヤマネコの分類については、この種をLynx canadensisとするかFelis canadensisとするか、さらに言うならオオヤマネコ属の4種(ヨーロッパオオヤマネコ、カナダオオヤマネコ、スペインオオヤマネコ、ボブキャット)は独自の属に分類されるべきか、ネコ属の亜属に分類されるべきか、という議論がなされている[7][8]。現在では独自のオオヤマネコ属に分類する方法が受け入れられている。
また、オオヤマネコ属はベンガルヤマネコ属やネコ属、ピューマと共通の祖先を持つと考えられている[9]。
亜種
現在3つの亜種が認められている。
- L. canadensis canadensis
- L. canadensis mollipilosus
- L. canadensis subsolanus:[1]ニューファンドランドリンクス(Newfoundland lynx)と呼ばれている。カンジキウサギがいないとき、カリブーの子供を襲うことで知られる。
分布と保全状態
カナダ、アラスカの森林に生息する。またアメリカ合衆国モンタナ州、アイダホ州、ワシントン州にも数多く生息し、イエローストーン圏生態系の中心であるイエローストーン国立公園の中にもその姿を見ることができる[10]。ユタ州、ミネソタ州、ニューイングランドでは稀にしか見ることができない。
カナダオオヤマネコは毛皮のための捕獲、各地での生息域減少が原因でその数を減らしつつあるが、IUCNリストではLeast Concern(軽度懸念)にリストアップされている[2]。アメリカ合衆国の大陸中部の48州(contiguous United States)では、米国魚類野生生物局(U.S. Fish and Wildlife Service)によって絶滅危惧種に指定されており[11][12]、コロラド州では1999年から本種の再導入が取り組まれていた。そして2003年には野生で生まれた最初の子供が確認され、再導入は成功を納めつつある。
参考文献
- ^ a b Wozencraft, W.C. (2005). "Order Carnivora". In Wilson, D.E.; Reeder, D.M (eds.). Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.). Johns Hopkins University Press. p. 541. ISBN 978-0-8018-8221-0. OCLC 62265494。
- ^ a b Nowell, K. (2008). "Lynx canadensis". IUCN Red List of Threatened Species. Version 2008. International Union for Conservation of Nature. 2008年11月19日閲覧。
- ^ 『世界の動物・分類と飼育2 〔食肉目〕』 今泉吉典 監修、東京動物園協会、1991年、P.166、ISBN 4-88622-061-4
- ^ Slough, BG (1999). (abstract) “Characteristics of Canada Lynx, Lynx canadensis, Maternal Dens and Denning Habitat”. Canadian Field-Naturalist 113 (4): 605=608 2007年7月23日閲覧。.
- ^ ナショナルジオグラフィック日本公式サイト「オオヤマネコ」解説より
- ^ Weinstein, MS (1977). (abstract) “Hares, Lynx, and Trappers”. The American Naturalist 111 (980): 806–808. doi:10.1086/283212 2007年7月23日閲覧。.
- ^ Zielinski, William J; Kuceradate, Thomas E (1998). American Marten, Fisher, Lynx, and Wolverine: Survey Methods for Their Detection. DIANE Publishing. pp. 77-8. ISBN 0788136283
- ^ Carron Meaney; Gary P. Beauvais (2004年9月). “Species Assessment for Canada Lynx (Lynx Canadensis) in Wyoming” (PDF). アメリカ合衆国内務省, Bureau of Land Management. 2007年6月25日閲覧。
- ^ Johnson, W.E., Eizirik, E., Pecon-Slattery, J., Murphy, W.J., Antunes, A., Teeling, E. & O'Brien, S.J. (2006). “The Late Miocene radiation of modern Felidae: A genetic assessment”. Science 3: 73–77. doi:10.1126/science.1122277. PMID 16400146.
- ^ Potter, Tiffany (2004年4月13日). “Reproduction of Canada Lynx Discovered in Yellowstone”. Nature: Year in Review. National Park Service. 2007年3月19日閲覧。
- ^ http://ecos.fws.gov/docs/federal_register/fr3552.pdf 65 Federal Register 16051 16086
- ^ Canada Lynx - U.S. FWS
外部リンク
- (英語) U.S. Fish & Wildlife "Species Profile" and lynx article index
- (英語) Canadian lynx research at the University of Minnesota - Duluth
- (英語) Hinterland Who's Who - Canadian Lynx[リンク切れ]
- (英語) What Drives the 10-year Cycle of Snowshoe Hares? (PDF) [リンク切れ]